気仙沼市の復興にはさまざまなポイントがありますが、私はJR気仙沼駅前の在り方を注目しています。観光の玄関口となる駅前の一等地に194戸分の災害公営住宅が建ち、さらに公益スペースもある複合施設の整備が計画されているからです。
■駅前に194戸の災害公営住宅
気仙沼駅前には、12階建て(64戸)と13階建て(131戸)の災害公営住宅を建設します。すでに12階建ては建設中で来年10月の完成予定です。13階建ては、市内で最も遅い2017年5月の完成を予定しています。
13階建ての完成が遅れるのは、狭い敷地内での工事のため、2棟同時に建設することが難しく、複数の地権者から用地取得も必要だったためです。当初は28年3月の完成の計画で入居者を募集しました。
■立体駐車場を建設
災害公営住宅には1戸当たり1台の駐車場を用意することにしており、立体駐車場を整備します。気仙沼駅前にあった市営駐車場のスペースがなくなるので、立体駐車場には市営駐車場の機能も持たせます。
■3階建ての別棟に注目
2棟は居住スペースのみで、集会所は別棟になります。この別棟は3階建てで、集会スペースのほか、商業用スペース、公益スペースも検討しています。公益スペースの内容は明らかにされていませんが、国の出先機関が入ることが想定されているようです。
ちなみに、南郷住宅には2階建てのコミュニティーセンター(写真㊦)が併設されました。
■公益スペースは「年内に方向性」
気仙沼駅を出てすぐの場所に建設されるため、商業スペースを含めてその内容が気になるところですが、地域への相談はなく、まちづくりの議論にもなっていないのが残念です。市議会では公益スペースについて、「年内に方向性をまとめる」と答えています。
なお、災害公営住宅と立体駐車場の建設に伴い、既存の市営駐車場は東側に移動しました。今までは定期駐車10台分を含めて49台のスペースがありましたが、移転先では26台に減ります。定期分は別な場所に確保しました。気仙沼では駅前に車を置いて、一関へ行くこともあり、一般の駐車スペースが満杯になって列車に乗り遅れることにならないか心配しましたが、今のところ問題はないそうです。
■別棟の建設は2017年4月から
集会スペースのある別棟は、2017年4月から建設を始める計画です。まだまだ時間があるためか、注目されていませんが、私はこの別棟が駅前のにぎわいづくりのカギになると思っています。大船渡線の気仙沼以北、そして気仙沼線がBRT化された場合、気仙沼駅の役割はより重要になります。遠距離交通の要としてだけでなく、気仙沼の観光の玄関口としても大切なスペースです。
■鉄路とBRTの結節点の役割とは
今後、三陸道の延伸に伴って、仙台への高速バスの利用頻度が高まっていきます。そのバスターミナル機能をどこに持たせるのか、鉄路とBRTの結節点となる気仙沼駅の駅前機能と合わせて、もっともっと議論が必要です。
表題の「気仙沼駅+災害公営住宅=賑わい?」の式は、集会スペースの入る3階建て別棟の内容、BRTと鉄路の結節点の工夫が加わって、完成すると思っています。
高速バス南三陸線が志津川以南を三陸道経由にするのかもしれませんがいずれにしても志津川以北はBRT専用路に乗り入れて鹿折を起終点にし市役所と魚町でも乗降できるようにしたら良いと思うんですが、どうでしょうか。
高速バスに乗りながら、BRTの専用道を走れたらいいのになぁと思っていました。どのようなハードルがあるか分かりませんが、ぜひ実現したいアイデアです。