東日本大震災と同じ地震が発生する確率は「300年以内に0.2%」

防潮堤や災害危険区域の問題で何度か紹介してきましたが、あらためて地震調査委員会が発表している「地震発生確率」を説明します。実は政府の機関が、東日本大震災と同じタイプの地震が発生する確率を「100年以内でほぼ0%」「300年以内で0.2%程度」という長期評価を発表しているのです。

地震の長期評価(三陸沖)_page028

地震調査委員会は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて平成7年7月に制定された「地震防災対策特別措置法」によって設置された政府の特別機関「地震調査研究推進本部」にあります。この委員会の中に、長期評価部会があり、毎年1月に地震の発生確率を発表しています。震災前には、宮城県沖地震の発生確率を「30年以内に99%」と公表していました。震災後には、津波の予測や評価を担当する部会も設置しています。

東日本大震災で巨大津波を発生させたのは「東北地方太平洋沖型地震」です。震災後にこのタイプの震源域や発生間隔などが調査され、平均発生間隔は「600年程度」と評価しました。地層に残った津波堆積物などから過去2500年間に4回の巨大津波(15世紀、869年、4~5世紀、紀元前3~4世紀)が襲来していることが確認されたことから導き出した最新の知見です。津波は繰り返し発生しますが、プレート境にたまったエネルギーが解放されたばかりなので、次の発生までかなり時間があるということです。ただし、サンプルが少ないので、評価の信頼度は「C」に分類されています。

明治三陸津波を発生させた「三陸沖北部から房総沖の海溝寄り津波地震」の発生確率は、「30年以内に30%程度」「50年以内に40%程度」です。アウターライズ地震といわれ、昭和三陸津波の原因となった「正断層型」も同じ領域で発生しますが、発生確率は「30年以内に4~7%」「50年以内に6~10%」です。被災地で計画されている防潮堤は、このように発生頻度が高い津波を対象に高さを決めています。宮城県沖地震の評価は、震災の影響が判断できずにいて「不明」のままです。

地震の発生確率

もし、震災前に東北地方太平洋型地震を想定していたとすると、震災直前の発生確率は「10年以内に4~6%」「30年以内に10~20%」という評価だったので、発生確率が低いから安心ということではありません。

東北地方から視点を移すと、南海トラフは「30年以内に70%」という高い確率になっています。東南海・南海地震では、東海から九州にかけて約4万棟の津波被害がせ想定されています。朝5時の津波襲来の場合、死者8600人が想定されますが、避難意識が高ければ3300人に減らせるそうです。

東日本大震災の教訓を伝えていくことが大切です。

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