気仙沼市の財政のお話

29日、30日と新人の市議会議員を対象とした説明会があり、各部署の業務を学んできました。
復旧・復興事業をはじめ、雇用対策、観光振興、行財政改革、福祉、教育、土木、病院など、さまざまな事業の現状と課題について説明を受け、あらためて市の仕事の多さに驚きました。
一番気になったのは、やはり市の財政です。
気仙沼市の震災前の一般会計予算規模は270億円前後でしたが、25年度には2000億円以上に膨らみました。
予算が増えたのは復旧・復興事業のために国からお金がたくさんきているからで、もともと地方交付税への依存度が高かった市単独の財政状況は大変厳しい見通しにあります。
例えば、最も大切な市税収入ですが、その約半分を占めていた固定資産税は震災で多くの建物が失われるなどして著しく減収しています。
固定資産税と都市計画税を合わせて震災前に33億円あったのに、昨年度は21億5千万円まで減りました。被災地を対象としていた減免(免除または割引)の分は地方交付税で国から補てんされていましたが、来年度からはその当てもなくなります。それなのに、復興は思うように進んでいません。
困ったことに、市町合併による特例措置として得られていた約13億円(年間)も、27年度から少しずつ減らされ、32年度にはなくなってしまう見通しです。
さらに、頼りにしている地方交付税まで減少が確実です。市民1人当たり12万円の計算で交付されているのですが、現在は22年の国勢調査結果をもとにしているため、震災後の人口減少は影響していませんでした。しかし、27年に行われる国勢調査をもとに変更されてしまう予定です。もしも人口が7000人減れば、交付税は10億円ほど減ることになるそうです。
固定資産税は、事業所や住宅の再建が進めば回復しますが、市による被災宅地の買取が進んでおり、どこまで回復するかはまだ分かっていません。
つまり、合併特例の期限、人口減少、固定資産税の減少がトリプルパンチとなり、市の財政は危機にさらされるのです。
震災がなければ、合併後の市役所のスリム化が進められ、交付税減額に耐えられるようになっていたはずですから、国は被災地の特例措置について検討を始めました。
国の支援策に期待したいところですが、この危機感を市民と行政が共有し、「我慢するところは我慢する」という意識が必要です。
復興事業の中にも市の負担がある事業があり、市の借金は増え続けています。
暗い話になりましたが、気仙沼には世界三大漁場があります。市に過度な負担をかけず、産業が元気になる道を目指しましょう。これからは「気仙沼の底力」を見せるときです。

気仙沼市の26年度予算(パンフ)_page028

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