自信が若者を伸ばす

地元に無関心だった高校生や若者たちが、なぜ積極的にまちづくりに取り組むようになったのか?震災後に気仙沼で活動を始めた団体などを集めた「みやぎ地域復興支援会議」(4日・市役所)で、その答えが分かった気がしました。

IMG_0899県が主催した支援会議には、市内外から100人近くが出席しました。気仙沼で中・高校生の学習支援などを続けるNPO法人「底上げ」、唐桑で活動するまちづくりサークル「からくわ丸」、そして南三陸町復興推進ネットワークがそれぞれの活動内容を発表しまし、パネルディスカッションも行いました。

底上げ、からくわ丸の仕掛け人は、いずれも震災後に東京や兵庫から移住してきたIターン組の若者です。その若者たちが地域に溶け込んでいったのは、地元の若者や高校生たちと組んで活動しているからです。「押しつけの支援ではなく、伴走者としてともに創り上げたい」とは底上げ理事の成宮崇史さんの話です。気仙沼を大好きになってくれた〝よそ者〟に熱意に、地元の若者たちは「なんで地元の人でないのにそこまでできるの」と刺激されたのです。

からくわ丸代表の立花淳一さんは、生まれも育ちも唐桑ですが、震災前はまちづくりに関心が無かったそうです。しかし、兵庫から移住した加藤拓馬くんらに誘われて一緒に活動するうちに、地元の良さに気付き、東京での活動発表会などを通して自信を持ち始めたといいます。「自分が発信してもいいんだ」。立花さんは驚きと同時に楽しみを見出したのです。小さな成功体験と仲間が、まちづくりへの思いをさらに高めてくれています。

活動は地元の子供たちを対象とした「いなか学校」などです。ゲーム世代で地元を知らない子供たちに、自然との遊び方を伝えることで、地元への愛着を高めてもらうことが目的です。子供を巻き込むことで、父母や祖父母の世代も参加しやすくなったといいます。加藤君は移住組の役割を「地元の良さを見える化すること」と話していました。地元の人にとっては当たり前のことが、実は特別なことだという驚きに気づいてもらうためです。

IMG_0897地元の高校生で立ち上げた「底上げユース」の阿部愛里さんは、中学校の卒業式前日に震災に遭いました。大好きな太鼓を叩けなくなり、持て余していたエネルギーをまちづくりに向け、高校生のアイデアと行動力で恋人ツアーなどを成功させました。愛里さんのまわりには「こんな田舎とは早くおさらばしたい」という友人もいましたが、活動を通して地元の良さに気付き、「日本で一番地元が好きな高校生になりたい」と宣言したそうです。

愛里さんは「高校生の多くが学校と部活ばかりに時間を費やしているが、それ以外の楽しみ方があってもいいのではないでしょうか」と問題提起しました。「もっと子供の力を信じてほしい」「大人も子供も一緒に地域のことを考えたい」という願いは、会場の大人たちに届いたと思います。震災はたくさんのものを奪いましたが、震災をバネに子供たちはたくさん成長しています。ちゃんとバトンを渡せるように、大人も頑張らないといけません。明日へのエネルギーと、若者定住へのヒントをもらった会議でした。

 

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