新型コロナ交付金の使い道で議論【気仙沼市議会速報】

気仙沼市議会の12月定例会が終わりました。

翌朝の新聞記事で取り上げていましたが、新型コロナ対策のための臨時交付金の使い方について、議論がありましたので報告します。定例会全体のポイントや一般質問の成果は後日あらためて報告する予定です。

【新型コロナ対策臨時交付金とは】

新型コロナの影響が長引く中、国は各自治体に新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を交付し、国の施策ではカバーしきれない地域の実情に応じた取り組みの財源としました。主に感染拡大防止のほか、事業の継続や雇用の維持、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化に充てられています。

地方創生の名目もあり、比較的自由に使える分、使途はさまざまで、佐賀県では「誓いの鐘」に設置に使おうとして議会で修正されるなど、各地で問題にもなっています。

【1次、2次合わせて気仙沼市に11.2億円】

気仙沼市には第1次で2億7722万円、第2次で8億4328万円が配分されました。閣議決定を受け、第3次の配分も予定されています。

第1次分は5月に予算化し、県の休業協力金の一部負担と上乗せ(支給額は計40万円)、協力金の対象外とした業種への10万円支給、宿泊施設の支援金(15万~100万円)、タクシーデリバリー、マスクや消毒液の購入などに充てました。

第2次分は7月に約6億円を予算化。感染予防のための店舗リフォーム、市出身の学生への地場産品積み合わせの給付、学校や保育所の衛生用品購入、宿泊施設への追加支援金(15万~250万円)、妊婦・農漁業者への10万円給付、小中学校の各教室へのプロジェクター設置、小中学校の職員室へのエアコン設置の一部財源などに充てました。

【朝ドラ、コンテナ船誘致にも活用】

そして9月には、残額を活用した約2億円の予算が計上されました。福祉施設の換気設備、同時流行が心配されるインフルエンザの予防接種補助、避難所の感染対策のほか、NHKの朝ドラを盛り上げるための実行委員会への補助金5000万円、消防団の防火衣と活動服に2124万円、コンテナ船誘致の調査検討費用1800万円も予算化されました。

朝ドラ実行委員会への補助金とコンテナ船誘致は「新型コロナ収束後を見据えた地域振興のため」、消防団の予算は「団員の7割が勤め人であり、全員分ない防火衣を複数の人で着回しをしないために全員分用意。活動服はオレンジ色の部分を増やして視認性を高めることで密接を防ぐため」との説明でした。

いずれも新型コロナ対策としては疑問がありましたが、議会へは事前の相談もなく定例会最終日の追加提案だったため、補正予算全体の執行スピードを考慮して認めることにしました。

【いま使うか、先に備えるか】

このころは、商店主の皆さんから「小売りも厳しい。ほかの自治体のように割増し商品券を発行できないか」との相談が寄せられており、担当課ともその可能性について議論していました。

しかし、菅原市長は「一過性のイベントよりも、今後のために使いたい」という考えのもと、特に大型店で利用される傾向もある割増し商品券には否定的で、朝ドラやコンテナ船誘致を優先しました。そして新商品開発に対する補助金1000万円(1事業者の上限は50万円)も用意しました。

救済策としていま使うか、収束後に備えた投資に使うか、たしかに難しい判断です。それでも、新型コロナ対策のための交付金を、朝ドラのように新型コロナがなくても予算化しなければならない事業に充てることへの疑問は消えませんでした。

【安波山のテラス改修に交付金1890万円】

前置きが長くなりましたが、ここからは今回のお話です。

5月、7月、9月に予算化した交付金事業は、想定よりも利用が少なかったり、別の財源が見つかったものがあり、残金と合わせて1億円分の事業を12月定例会に予算計上しました(詳細は予算参考資料)。

金額が一番大きいのは、安波山の山頂手前にあるウッドデッキ「ほしのてらす」の全面改修費用1890万円です。1991年に整備し、2004年と2008年に一部改修していますが、老朽化が著しく、全面改修が必要となりました。

新型コロナ対策とは関係ないように思えますが、三密対策と新型コロナ収束後の経済回復を理由としています。計画的な改修時期よりも早く改修することで、朝ドラ放映に間に合わたたいとのことでした。ちなみに中腹駐車場に近い「ひのでてらす」は2018年度に改修を終えています。

【答弁によっては修正案提出を準備】

これまでの疑念もあり、今回はさすがに認められないと思い、テラス改修費をカットした予算の修正案(修正動議)を用意して本会議での審議に臨みました。修正案を提出するにはもう1人の議員の賛同が必要です。この質疑で疑問点が解消されなければ、賛同者を募って修正案を提出することを会派内で相談していました。

多くの議員がこの支出には疑問を抱いており、施設の老朽化の程度、新型コロナ対策の交付金を充てる優先度などについて質疑がありました。私は、観光関係者が「新型コロナで事業者は疲弊している。困っている人たちための即効性のある事業に使ってほしい」と話していることも伝え、新型コロナに関係なく整備しなければならない施設であり、臨時交付金を充てるべきではないと問題にしました。

【「第3次が確実になったことで改修費に」と市長説明】

菅原市長は「いま予算化しないと春に間に合わない」「第3次交付金で経済対策ができることが確実となったことで、今回は改修費用に充てることを決断した」「「議会へ説明する機会が不十分だったことは認めざるを得ない」などと答弁しました。

実は、新型コロナ対策にはこれまで一般財源も充てていましたが、結果的に8500万円ほどが浮きました。そこで私は、そのお金を使うか、新型コロナで中止になった事業を整理して予算を組み替えて出てくるお金を使うなど、臨時交付金はほかの使い道を考えるべきだと訴えました。

こうした議論によって、新型コロナ対策の優先順位は①医療機関を守る②防護・衛生③個人の生活を守る④経済―と確認しましたが、国県の施策、バランスとタイミングもあり、菅原市長は「(今後の追加配分もあり)途中で整合性を説明するのは難しいが、最終的な仕上がりでは説明がつくようにしないといけない」と理解を求めました。市立病院が新型コロナの影響で3億円超の赤字となっており、その対策も必要となることから、一般財源を新型コロナ対策へ充てることにも消極姿勢でした。

予算の組み替えについては、来年の2月定例会での補正に向けて準備を始めていますが、感染状況が日々変化する中、それぞれの事業の不用額を見定めるタイミングが難しく、どのくらいの財源を確保できるかはまだ分からないとのことでした。

【疑問視しても、結局は全会一致で可決】

新型コロナ対策に充てた一般財源が浮いたのに、それを使わずに新型コロナ対策交付金で安波山のテラスやモーランドの看板を改修するこについて、市の言い分は理解できましたが、納得はできませんでした。しかし、第3次では優先順位を慎重に考える姿勢が見えたこと、予算化の前に議会や関係者と情報共有すると説明したこと、予算修正には時間も手間もかかることなどから、修正案を提出しても可決される可能性が低いと判断し、修正動議は出しませんでした。新型コロナ対策と関係性が低い事業への交付金充当について慎重に検討することなどを求める付帯決議案も用意していましたが、全会一致での採択が難しそうだったので、こちらも日の目を見ませんでした。

新聞では「議会は疑問視したが、結局は可決した」と紹介されました。

令和元年度予算で計上された新月公民館の建設関連費用で、すぐ近くに新月中学校の体育館があるのに公民館にも体育館を造るのは無駄遣いだと思い、修正案を用意したこともありましたが、結局は賛同者を集められずに提出を断念しました。

今回のことを含め、どうすべきだったのか、いまでも悩んでいます。

※補正予算の詳細は予算説明資料をご覧ください⇒ 予算説明資料

※下表は12月定例会で承認された補正予算の主な事業一覧です

          気仙沼市の補正予算による主な事業          2020.12
新型コロナ対策 安波山のほしのてらす改修 ポストコロナの観光誘客のため、老朽化したウッドデッキを全面改修する。気仙沼を舞台とする朝ドラの放映開始に間に合わせるために急いで計上した
1890万円
お試し移住 三密を避けるための移住、2地域居住を促すため、災害公営住宅でお試し移住を受け入れるための環境整備を行う。マッチングサイト登録、ガイドブック作成、首都圏でのイベントを開催も計画する
1061万円
集会施設のトイレ水洗化 感染拡大防止のため、市有集会施設のトイレを洋式に改修する。対象は生活改善センター、本吉漆原コミュニティーセンター、舘老人憩いの家など13施設
743万円
モーランド本吉の看板改修 新型コロナで来場者減少しているため、案内看板6基を建替え・修繕するとともに、パークゴルフ場の案内を加える
299万円
住宅リフォーム補助 地域経済回復のために用意したリフォーム補助(一律10万円)が好評で当初予定していた50件分では足りないため、93件分の予算を追加する。
930万円
ホヤデリの延長 タクシーによる飲食店のデリバリーサービスに対する補助期間を来年3月まで延長する。当初は480万円の予算だった。1件あたりのタクシー代の上限は1500円。年度内に8000件の利用を見込む
780万円
本吉唐桑商工会の支援 感染症対策のための相談体制の整備、防止にかかる費用の一部を支援する
185万円
商店街の売り出し支援 消費喚起のため、年末年始売り出しを支援。1団体あたり200万円を上限に、賞品の上乗せに対して補助する。上乗せは、商店街の負担分と同額以内にする。
530万円
ふるさと納税へ電子クーポン活用 ふるさと納税の返礼品に電子クーポンを加え、飲食や体験で使えるようにする。気仙沼クルーカードを活用するため、電子クーポンの発行機能を追加するなどの費用を計上した
578万円
中央公民館へプロジェクター購入 コロナ禍で各種イベントの分散開催を想定し、映像上映に対応するプロジェクターと周辺機材を購入する
207万円
ワクチン接種の準備 ワクチン接種に必要な体制を整えるため、健康管理システムの改修、接種クーポン券や通知の準備、医療機関との連携・調整に取り組む。財源は国の補助金
1583万円
ひとり親世帯臨時給付金 コロナ禍で1人で子育てと仕事を担うひとり親世帯に臨時給付金を再給付する。1世帯5万円に第2子以降は3万円を追加する。既存予算と合わせて約1億円となり、国の補助金を充てる
3637万円
そのほか 復興市民広場の芝生化等 グラウンドの芝生化、防球ネットやクラブハウス、陸上設備などを整備する。
4億2574万円
南運動広場の仕上げ 野球ができる多目的広場としてグラウンドや防球ネット、ダッグアウトなどを整備する
2億3766万円
海の道トイレ復旧 港町の岸壁にあったトイレを復旧する。
5041万円
ビーチクリーナーの購入 各海水浴場で共同利用するビーチクリーナーを購入。自走式で漂着物と砂を分類する。回収した漂着物は市が処理する
262万円
ビーチサッカー用ゴールの購入 小泉海岸の被災建物として注目されたシーサイドパレスの親会社である和光建設の寄付により、小泉海水浴場の砂浜で普及を目指しているビーチサッカーのゴール1組を揃える。普段は旧小泉中校庭に置く
60万円
市営テニスコートのWEB予約 管理人が常駐しなくなったため、WEB予約システムを導入する。まずはテニスコートに導入し、市営球場などへの拡大も検討する。予約状況の確認、料金徴収などの機能もある
199万円

 

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