公開された津波シミュレーションを分析

災害危険区域の見直しを検討するために気仙沼市が行った津波浸水想定の再シミュレーション。最後になった内部検討資料だと公開せず、災害危険区域もそのままになりましたが、情報公開請求によって再シミュレーション結果が開示されました。

これまでの経緯は4月13日のブログを読んでください。また、このページの最後に一覧表(審査請求資料①災害危険区域を巡る動き(修正版)2020.4.13)にまとめましたので参考にしていただきたいです。

【公開された浸水想定は補正済み】

今回は、公開された再シミュレーションを分析します。

最初に、結果が補正されていたことを報告します。再シミュレーションの設定条件に「当初のシミュレーションから変化はみられるものの、建物の構造に影響を与えないと判断できる範囲については除外する」という項目が加わりましたが、これは2m以内の浸水なら木造家屋でも流されにくいという専門家のアドバイスを受け、災害危険区域よりはみ出ても浸水深2m以内ならカットしたそうです。

一方、災害危険区域から再シミュレーション結果が縮小した場合は、たとえ浸水しない結果になっても、安全を考えて1m未満の浸水深エリアである「黄色ゾーン」を維持するよう補正しました。

簡単にいうと、災害危険区域から出た分はカット、縮小した分は反映させないので、想定浸水範囲は災害危険区域も再シミュレーションも変わらないことになります。

【各地区で浸水深が変化】

浸水範囲についてはチェックできませんが、浸水深から読み取れることがあります。

急斜面でもなければ、浸水深はだんだん浅くなるわけですから、災害危険区域で際が黄色ゾーンだったのに、1~2mの青色ゾーン、2~3mの水色ゾーンに変わったところは、その先をカットされている可能性があります。小泉や田中浜のように10m以上の「赤色ゾーン」が拡大した地域がある一方で、鹿折や石浜のように浸水深が浅く変化した地域もあります。

例えば、鮪立漁港は堤防高を9..9mから8.1mに変更した分、背後地の浸水深は「1m未満」の黄色ゾーンから「4~5m」の薄黄色ゾーンに変化しました。災害危険区域設定時は防潮堤を少しの津波が乗り越えてくるという想定でしたが、堤防高を下げた再シミュレーションでは防潮堤と同じ高さまで背後地は津波でいっぱいになる想定になったのです。

※下記に浸水深に変化が見られた主な地区を比較してみます

【浸水深も反映させずに運用】

このことは、災害危険区域に住宅を建てるときに必要な除外認定に影響します。安全を確保すれば建築が認められる制度で、その判断基準は津波シミュレーションの浸水深です。50㎝の浸水想定ならその分だけ盛土すれば許可が出ますが、5mだと木造住宅は不可能になります。

この問題を一般質問で取り上げましたが、市は「対応を変えると不公平感を生むので、当初のシミュレーションを基準として運用したい」とし、再シミュレーション結果を反映させる気はありませんでした。

これでは災害危険区域が正しく設定されているか検証できないので、補正前の再シミュレーション結果の公開請求をしました。結果は7月20日までに出る予定です。

※各地区の比較図です


今川悟一般質問の概要  2020.6.23

情報開示された津波シミュレーションについて                

防潮堤計画の変更などに伴って、市は津波浸水想定の再シミュレーションを行い、その結果を情報公開制度に基づいて開示しました。その内容、今後の取り組みなど次の3点について説明を求めます

問① 6月5日に公開されたシミュレーション図は補正されたものでした。補正の内容と理由、その経緯について説明してください。また、昨年8月の市議会東日本大震災調査特別委員会では、この修正について説明がありませんでしたが、その理由と今後の対応を示してください

菅原市長 情報開示された津波シミュレーションについてお答えいたします。本市の最終シミュレーションは、各種復興まちづくりに係る事業が、災害危険区域を基礎としていることから、復興事業に大きな齟齬が生じていないか、住宅の安全性に大きな問題がないかを内部検証する目的で実施したものであり、昨年8月にはその旨とその結果として災害危険区域の変更は行わない事を説明したものです。従って、今回開示したシミュレーションの補正等について説明をする場面ではありませんでした。

今回の開示については、津波シミュレーションは誤差や不確実性を伴うものであることを前提として、市民の安全性を確保した上で、本市の復興事業等との整合性を保ちつつ、必要又は適切と思われる補正を行っており、その補正の考え方についても付記したところであります。今後の対応については、現在、今川議員から補正前のシミュレーションについて開示の請求があり、当局として検討しているところでありますので、その結果と合わせて示します。

今川 補正の内容について答弁がありませんでしたので、説明してください。

村上住宅課長 補正の内容は、がけ地などの海岸線において、住宅などの建物が将来的にも建設されることがないと判断される箇所及び危険区域設定時の津波シミュレーションと比較して変化がみられるものの、建物の構造に影響はない判断される範囲については除外しました。

今川 その説明は設定条件として公開されたデータにも記されていました。新聞報道で2mまでは除外するとの内容もありましたので、もっと詳しく説明してください。

村上住宅課長 今回浸水域が拡大した箇所の安全性の確認という部分ですが、他の自治体の危険区域の設定などを鑑みて、これまで有識者から浸水深について2m以下なら全壊の可能性が大きく低くなるということを踏まえて、各自治体がそれぞれの判断で災害危険区域を指定しました。そういったことを踏まえて、本市も住宅の安全性の参考にして検証しました。

今川 はっきり説明してください。災害危険区域から再シミュレーションがはみ出た場合は、想定浸水深が2m以下であれば除外したということだと思います。もっと分かりやすく説明してください。

菅原市長 2mで線引きしたという話は担当はしていないと思います。はみ出るところも引っ込むところも当然でてくるので、 最後の砦のようなものがあれば安心感が高くなります。そういう意味で他のまちの標準が、2mまでの浸水は木造家屋においてはほとんど流されなかったことに基づいていますので、実際にそのところが2mになるのか1.8mになるのかは不確実性も伴って確定できないわけです。そういう意味で、最後に災害危険区域を変更しなくていいと、そのときに不安が極端に生じないことを整理するためにそういう考え方があるんだなと、再度思い出したところです。そういう意味で、以前にも話させてもらったと理解しています。

今川 この件に関しては補正前のデータの情報公開を申請していますので、それが出ればはっきりした議論ができると思います。その結果を待ちたいと思います。いまのところは、7月20日まで決定を待ってほしいという通知が届いていますので、それ以降にまた質問します。

問② 修正されたシミュレーション図を分析すると、災害危険区域の範囲に変更はなくても、想定される浸水深が大幅に変わったエリアがあります。例えば鮪立漁港背後地では、災害危険区域の設定では1m未満でしたが、堤防高の変更を反映させた再シミュレーションでは6mほどになったところがあります。想定浸水深は災害危険区域の範囲設定には関係ありませんが、建築確認申請の除外認定においてはその判断基準となり、浸水深に応じた対策を講じれば住宅を建てられることになるため、最新データを反映させる必要があります。市の対応を伺います

菅原市長 想定浸水深の取扱いについてでありますが、住宅等の建築を制限する災害危険区域における建築制限適用除外認定は、市が例外的に建築を認める規定です。現行の災害危険区域を維持していくにあたりご指摘のような想定浸水深が変化するケースが局所的に見受けられます。このような箇所については、変化が生じた要因や防潮堤等の計画変更に係る各地区での検討経緯も踏まえつつ、建築制限適用除外認定にあたっては、「災害危険区域内における住居の用に供する建築物の禁止」という、建築基準法本来の趣旨に照らして、安全を基本とし保守的に運用してまいります。

今川 保守的に運用するということは、再シミュレーションで危ない結果が出たところは反映させていくということでしょうか。「保守的」の考え方を説明してください。

村上住宅課長 シミュレーション結果が変わったことで、除外認定の対応を変えることは不公平感を生むことにもつながりますので、対応の変更は非常に難しさがあるものと考えています。基本的には災害危険区域を維持するとともに、除外認定も当初のシミュレーションを基準として運用していきたいと考えています。保守的というのは、除外認定の在り方について安全側の判断をとっていきたいということです。

菅原市長 除外認定して家を建ててもらうための規定ではなく、家を建ててもらわないための基本的な考え方ということになります。そのうえで建てる場合にどうするかというと、今回のシミュレーション結果として深くなったから、1mだったところを1.75mで運用しますかということはなかなか難しいということが課長の答弁です。1mで運用するしかないのかもしれませんが、実際にはこういう結果が出たこともあるので、市としては勧めないということをまずは第一にお話しすることが保守的な運用です。逆に20㎝浸水する想定だったところがゼロになった場合、ゼロでいいということも不適切で、それは20㎝やってもらう。それは課長が言ったように、すでに20㎝高くして建てた人が隣にいるということは不公平だという意味です。保守的の意味は除外認定をしていくというより、災害危険区域内には家を建てないということをより強く話をしていくということだと理解しています。

今川 気仙沼市は災害危険区域に災害公営住宅を建てているので、すべてを制限するのは難しいと思います。市民が持つ土地にどんな建物を建てるかを規制する災害危険区域と、そこに建てられる建物を規定する除外認定については、はっきりした基準がないと難しいと思います。

復興期間が終われば、被災者以外の住宅建設へ移行していきます。そのときに災害危険区域内の土地も候補になると思います。そのときに、市としては勧めないけれど建てられることになりますが、再シミュレーションの結果は示すのですか。

菅原市長 市としても国としても最初から勧めていません。

今川 除外認定は建てられるルールです。勧めなくても建てられるわけです。10cmの浸水想定でも建てさせなくするのですか。

菅原市長 それは除外認定を適用するということでありますが、基本的には勧めていることではないということになります。津波ハザードマップが出てより危険になるわけですから、そういうことも説明していく必要があると思います。

今川 いままでは復興の支援制度で災害危険区域に建てることは不利であることで、ある程度の規制がかかっていたのですが、被災者以外の方々が建てる場合は支援制度がないので、災害危険区域に建てる人は出てくると思います。一つはっきりさせておきますが、再シミュレーションの結果は除外認定の申請に来た人に見せるのですか。

菅原市長 決めていないので、決めなければなりません。震災直後を思い出してほしいのですが、ここに津波が来たという石碑が建てたのになぜ教訓が生かされなかったかというと制度がなかったからです。基本的な精神はそこに戻って考えなければならない。

問③ 再シミュレーション結果の取り扱いを巡る議論を通して、災害危険区域の課題が浮き彫りになりました。当初は復興事業において宅地を買い取って移転を促進する区域という意味合いが強かったのですが、その名前の影響で危険な区域と安全な区域を線引きするイメージが強くなったため、シミュレーション結果の差異が混乱を招いてしまうのです。そこで、災害危険区域の考え方について定期的に市民に情報発信し、世代が変わっても正しく理解してもらう努力が行政には求められます。そういう観点だと、再シミュレーション結果と災害危険区域に差異について、市民に説明することは気仙沼市の責務だと思います。特に防潮堤計画が大きく変更された地域への説明は欠かせません。災害危険区域の位置づけと市民への説明責任について、市長の考えを伺います

菅原市長 災害危険区域の課題と市民への説明については、ご指摘のようにL1・L2を基本とする津波防災の考え方、津波シミュレーションの性質、災害危険区域の設定方法、その後の復興事業、再シミュレーションした場合の変化の取扱いと考え方などについては、行政的にも市民的にも将来にわたり理解しておくことが、安全な市民生活の上で必要であります。

来年度以降には、津波防災地域づくり法に基づく、最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合の浸水想定が宮城県より示される予定であり、これを踏まえ、新たなハザードマップの作成を行う予定であります。その際には先に述べた各項目について整理を行い、各地区で説明してまいります。更に、将来においても一定の期間毎に説明の機会を設けてまいりたいと考えおります。

また、当初のシミュレーション時から、防潮堤計画が大きく変更された地区については、変更により想定される浸水状況の変化などもお示ししており、その影響について一定程度の理解をいただいているものと認識しておりますことから、今、改めて説明の場を設けることは想定しておりません。

今川 理解してもらうのは難しい内容になっていますし、地区ごとに内容もことなるので、地区ごとの説明が必要だと思います。再シミュレーション結果を見たいという市民からの問い合わせもありました。例に挙げた鮪立地区では、災害危険区域はもう変更されたと思っていた人もいました。地域の方々と相談して、必要ならば説明に行ってほしいと思います。一度相談してくれませんか。

村上住宅課長 各地区への説明は、来年度以降に県から最大級の津波の想定が出る予定ですので、これらを踏まえて説明に伺いたいと思います。

今川 最悪の想定に合わせてしまうと、ますます分からなくなると思います。その前に、求めがあれば地区に出向いて説明することは可能ですか。

村上住宅課長 現時点では各地区をまわっての説明は考えていません。

菅原市長 最悪の想定といまの想定を一度にすると分かりづらいという話ですが、結局はその話をしない限りは津波ハザードマップの話はできない。そのときに時間がかかっても話さないと、避難してもらえなくなると危惧しています。あなたの家は安全性はあったのだけれども、今回は別の観点から残念ながら広げられましたので、必ず逃げてくださいというような話をしていかなければならないと思います。

驚くことがあったのですが、20日の岩手日報に岩手県は津波防災地域づくり法のことだと思いますが、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の津波想定が東日本大震災より高かったということでを踏まえて、もしかすると防潮堤の効果を反映させるかもしれないという記事でした。

今川 防潮堤の有無などによって変化があったところは、いま説明しておかないと、災害危険区域と再シミュレーションと最悪の想定を一緒に説明することになるので、やはり分かりにくくなると思います。求めがあっても説明しませんか。

菅原市長 求めがあった場合、いま私や課長が話したことを伝えてみるということに最初はなると思います。

今川 それでも必要だというなら拒むわけではないのですね。

菅原市長 市としては市民の安全を第一に考えて、全体の行政運営のスムーズさも考えていかないとならないし、当然、市民の皆さんの不安や疑問の応えるということも、併せて解決していきたいと思います。


気仙沼市の災害危険区域を巡る動き                   (今川まとめ)
2011 6.1 国交省による市街地復興パターン調査がスタート(2012.3.9まで)

・住宅再建の意向調査、市街地かさ上げのための津波シミュレーションなどをコンサルタントに委託

7.11 今後の住まいに関する意向調査を発送(締め切りは25日)

・市内への居住意向、居住形態、希望地を調査

9.9 宮城県が気仙沼市内の防潮堤の高さを公表
9 復興パターン調査の津波シミュレーション結果が市に提供される
10.7 気仙沼市震災復興計画を策定
10.31 国土地理院が震災による地盤沈下を反映させて水準点を改定
12.7 津波防災地域づくりに関する法律が成立

・最悪の想定に基づいた津波シミュレーションの実施と公表を義務付け

2012 3~5 災害危険区域指定のための津波シミュレーションを実施

・県が示した堤防高で設定

・災害危険区域の素案は4月中に示す予定だったが条件設定等で遅れる

5.11 市議会東日本大震災調査特別委員会に災害危険区域の基本的な考え方を説明

・暫定版のシミュレーション図(3月実施分)を示す

・災害危険区域が決定した後でも「条件が変わって安全が確保されれば見直しということは今後当然出てくる」と市は答弁

・防潮堤の高さが変わる可能性について、菅原市長は「宮城県としては現在出している数字(堤防高)を変えるつもりはないということです。前提が変わらない限り変わらないということで当市としても進めていきたい」と答弁

5.17 宮城県が海岸ごとの堤防高や復旧スケジュールを公表
5.26 災害危険区域説明会スタート(6.2まで16会場)
6.5 災害危険区域指定へ向けた個別相談会スタート

・がけ近による利子補給を期待して1時間待ちの行列

6.8 被災地域の不動産鑑定評価を公表

・震災前より2割前後下がる

6.14 災害危険区域に関する条例を市議会へ提案

・「区域の指定に当たっては被災された方々に丁寧に説明し、理解を得ながら進めるとともに、区域の見直し・変更が生じた場合には事前に議会に説明することを強く要望する」と付帯意見をつけて25日に可決

6.22 災害危険区域内の宅地の公費買い取りを宣言
7.9 災害危険区域を指定(13.8㎢/浸水面積18.65㎢)
7.11 海岸防潮堤等整備に関する市民説明会・意見交換会をスタート

(29日まで12会場)

7.30 今後の住まいについての意向調査を発送(締め切りは8.20)

・住宅再建の手引を同封し、住宅の再建方法、防災集団移転や災害公営住宅の希望箇所、災害危険区域内の宅地の買い取り希望などを調査。

9.20 市議会一般質問への市長答弁

・シミュレーションにおける防潮堤の高さは、2012年3月時点での宮城県データを基本とし、6月定例議会前に一部が変更となり、公表された防潮堤の高さに整合させて設定しました。

・今後、個々の防潮堤の計画が具体化され、背後の状況により防潮堤  整備を行わない場合や、高さを原形復旧にとどめる場合、または位置が海岸から大きく後退するケースなどが予想され、最終的に決定された段階で、必要に応じ、再度シミュレーションを行い、設定区域の変更について検討を行うこととしています。

10.12 災害危険区域の設定データの情報開示
10.18 三陸新報で設定ミスの記事

・建設部は「各地区の堤防高が決まった段階で年度内にも津波シミュレーションを再び行い、危険区域を変更したい」とコメント

10.22 住まいの再建に係る市独自支援策の案を市議会に説明
12.19 市議会一般質問への市長答弁

・防潮堤の設置場所と高さは、その背後のまちづくりの基本となるものであり、住民に居住の制限を課する災害危険区域の設定と一体となってその意義を有するものと考えている。よって、今後防潮堤の位置などの計画を変更する際には、必要に応じて再度津波シミュレーションを行い、災害危険区域の設定に及ぼす影響について十分に検討した上で決定することが必要と考えている。

災害危険区域の変更を行うこととする際には、十分な説明などを行いながら対応する。

12.29 今後の住まいについての意向調査を発送

・防災集団移転、災害公営住宅の希望地区などを調査

2013 3.1 市誘導型防災集団移転の仮申し込みスタート
6.28 災害公営住宅仮申し込みスタート
7.24 災害危険区域内の被災宅地買い取り説明会(7.31まで6会場)
2014 6.25 市議会一般質問への市長答弁

・再シミュレーションは施設や背後地整備の計画が固まった段階

・民有地を自力でかさ上げした地盤高は反映させない

・災害危険区域の変更の是非を含めて検討する

8.20 内湾地区の災害危険区域を指定(0.116㎢)

・当初は2012年10月の予定だったが防潮堤議論で遅れた

11.11 気仙沼復興レポート⑨「危険区域と災害リスク」を発表(今川HP)
2015 12.16 市議会一般質問への市長答弁

・市内で整備予定の87海岸107地区のうち43海岸47地区で堤防高が変わっている。地元と協議を進める中で、個別にシミュレーションを行った小鯖地区、鮪立地区、鶴ヶ浦地区は影響があると捉えている。

・災害危険区域の変更は、まず再シミュレーション結果が住戸に影響を及ぼす場合、関係する方々の事情を聞いた上で、計画の変更を行うかどうかを決定する。できるだけ不利益を被る人が出ないようにすることを原則としたい。

・見直しによって被災宅地が新たに災害危険区域となる場合は、対象者の意向により、被災宅地の買い取りや防災集団移転への参加を案内する。見直し前に受けた被災宅地の買い取りや各種の住宅再建に影響が生じることはない。すでに再建した住宅が新たに災害危険区域となる場合には、今後の新築、増改築に制限が生じることなどを十分に説明するとともに、個々の事例によっては利用可能となる支援制度も案内しながら理解を得ていきたい。

・災害危険区域の変更は、計画がすべて固まってから津波シミュレーションをかけるのが正しいと思うが、大きな影響があるところは早くしていきたい。災害危険区域の考え方については、どこまでシミュレーションの結果だけに頼っていくかとなると、ある程度は運用というところがないと、住宅再建や土地利用に不利益が出てしまう。そういう観点で考えていかざるを得ないと思っている。四角四面でやっていくことにやや無理がある。やがて、津波防災地域づくり法によって、より保守的な形で設定される。災害危険区域だけに頼るよりも、より安全な対策が取れると思う。

・津波シミュレーションにはお金がかかり、復興予算で確実に補填されるという自信もなかったので、最初は職員もためらっていたが、登米沢の件は、シミュレーションをかけた方がいいと思った。部署の連携が必要だった。市民に無駄なお金を使わせることがないようにしていきたいと思う。登米沢の方には必要があれば担当から声をかける。

12.28 被災宅地買い取り期限

・買い取り対象5411筆194haのうち3420筆113haを買い取り

2016 3.8 津波シミュレーション業務委託費用を2016年度補正予算に計上

(2970万円でパシフィックコンサルタンツ東北支社が受託)

・災害危険区域は津波シミュレーションを基に区域指定しており、各種防護施設の変更状況を踏まえ、再津波シミュレーションを実施し、災害危険区域の見直しについて検討を行うことを目的とした。内容は基本情報の収集と設定、津波シミュレーションによる浸水想定区域図の作成とした

・夏まで結果を出し、庁内で方針を決定した後、秋~冬に説明会したいと答弁

2017 2.28 国土地理院が地盤隆起を反映させて水準点を改定
7.6 災害危険区域設定時と異なる防潮堤(43カ所)の情報開示
7.11 市議会震災調査特別委員会で高さの変更が生じた防潮堤を説明

・事情に合わせ、納得できる、市民にも分かりやすい対応したいと答弁

8.11 気仙沼復興レポート㊷「最悪の想定に備える」を発表(今川HP)
9.26 市議会一般質問

・市街地復興パターン調査の津波シミュレーションについて質疑

10.11 気仙沼復興レポート㊹「復興パターン調査と浸水想定」を発表(今川HP)
12.20 市議会一般質問への市長答弁

・災害危険区域の見直しを検討するための津波シミュレーションは、地盤隆起分を反映させ、構造物データを現計画に更新する。BRT専用道は反映を検討中。現在の住戸にできる限り不利益を与えないように対応することを原則とし、見直しの必要性の有無について検討する。

・すでに補助をもらっていたり、建てたり、直したりした人たちが何らかの権利を失うこととか戻されたりすることがあってはいけない。そのことと危険区域の線引きということは慎重に考えなければならない。線は引くけどこういう風にするのか、線も引かないのか。突き詰めていくとすべては仮定の話で成り立っているので、仮定の話に振り回されて現実の生活だとか、家庭のお金の問題だとかに大きく関わってくることをどう考えるかということも併せて考えなければならないし、シミュレーションをかけた結果としてこういうケースは我々としても危険だから看過できないということを総合的に考えなければならない。その果てにはもしかすると、昨日の議論の中であった大谷の街区をどう扱うかに整理の仕方が絡んでくることがあるかもしれない。または物理的にやるしかないのかもしれない。そういうことに少し時間がかかると考えている

2018 6.20 一般会計予算事故繰越についての質疑への市長答弁

・シミュレーションは実際にやってみないと何とも言えないというのは、実は私の感想です。というのは、一浜一浜の防潮堤の計画を最終的に詰める段階で、いろんなシミュレーションをしてみたりするわけですけれども、そうすると、さまざまな要因で少しずつ変わったりすることがままあります。それを見ていて、ある意味怖いなと実は個人的には感じています。ですから、もしかすると、極端な、言葉だけがひとり歩きするとあれですけれども、かけ直したら1,000軒違っていましたとか、影響が出る家が。30軒なのか、1,000軒なのか、1,500軒なのかというような、そういうような非常にラフな見通ししか今立てられない状況にあると思う。

・そういうことを想定すれば、1回で結果を出して、それからその対処について相当しっかり考えないといけない。住宅の安全性とまた補助というものに手をつけられるのかどうかということも含めて、相当時間をかけて考えなくてはならないことだろうなと思いますし、ある意味いろんな解釈をすることによって、とにかく現在住宅再建をした人が不利にならないようにということ。では、これから何かを起こそうとする人が、災害危険区域の変更によって、そのことに本当に対応できる我々が財源とかを持っているのか、そういう非常に大きな問題になりかねないなと思っています。そういう意味では、1回、これがとりあえずのファイナルですというものをかけてから検討していくというのが事務方としてはやりやすいことなのかなと思う。

・余り影響のないところがあれば今かけて、私が思っているような懸念も早目にわかったほうがいいのではないですかという考え方も実はあるんだろうなと思う。一方で、防潮堤で決まっていないところはわずかになってきていますので、そこはどこまで待てるかということとのバランスで考えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、災害危険区域見直しというもののやり方について、そこから出る影響について、原則はこれまで不利な人ができないようにと言ってきましたけれども、そのことは守れると私は思って言ってきましたが、それ以上のことができるかどうか、やるべきなのかどうか

2019 2.28 市議会一般質問への市長答弁

災害危険区域のための津波シミュレーションの再実施は、一部未確定の防潮堤があることから、仮設定の箇所を含んだものとなるが、現時点で可能な限り最終形に近い防潮堤等の構造物や地盤隆起を反映させた設定データを作成しているところで、これをもとに市全域のシミュレーションを3月末までに完了させることとしている。その後、本シミュレーション結果、実浸水範囲及び復旧・復興状況を総合的に踏まえ、災害危険区域見直しの有無を含めた対応方針を6月までに示したいと考えている。

・シミュレーション結果の公表は、津波解析モデルは完全には実浸水域を再現できないとされていることから、差異の扱いについて学識経験者の見解をいただくなどして、判断したいと考えている。

・住宅再建の支援策については、災害危険区域を変更する場合、既に再建した方々が不利益とならないような方策について、財源等を勘案しながら検討する。

・3月末に出たデータだけのものを示すことは、混乱を招く可能性があると、今現在の我々が得ているシミュレーション結果の予想からはそう考えている。

・6月までに対処方針も含めてお知らせするとき、そのときにデータが何もなくてということに説得力があるかというと、それは苦しいというか、よくないのかなと私は思っています。ただ、そのときにしっかりとして、シミュレーションはこうなったけれども、ここは過去のデータがこうだとか、ここはこういうふうに考えましたというような注釈を各地域につけていかざるを得ない状況だと思う。

・ある程度の最初の設定とはずれがあると思いますので、それが科学的にお話をできる部分と、科学的だけで済む場所と、あとはもう防災の点でこういうふうに考えましょうよというようなことも加味して、災害危険区域はこう最終的になるという、今回の場合はこうしておきましょうよと、こういうふうなことになると思います。

・データだけで全てを判断していくということにはならないと思いますので、そこを合理的に説明できるような形にして6月に示せればと思っていますけれども、そのときにデータを一つもお見せしないでということは、実際はできないと思います。

8.9 市議会震災調査特別委員会に「災害危険区域は現状維持」と報告

・再シミュレーションの結果、復興事業に影響する変化はなかった

・浸水想定域が拡大するエリアに建物はない

再シミュレーション結果の情報公開請求
8.23 再シミュレーション結果の情報公開請求に対し、市が非公開決定を通知

【非公開理由】

・再シミュレーションは復興事業に大きな祖語が生じていないかを内部検証する目的で実施した

・比較検証した結果、概ね大きな変化は確認されなかった

・結果が公表されれば、災害危険区域が再シミュレーションそのままに見直されると市民の誤解を招く

・シミュレーションに不確実性があるにもかかわらず、災害危険区域と再シミュレーションの正否や適法性に関して誤解が生じ、復興事業の内容及び手法等の妥当性に対し誤解に基づいた意見主張がなされる可能性が高く、これにより公正な判断を行うことが困難となり、そのことをもって市民に無用な混乱を生じさせるおそれがあり、今後の復興事業の公正または円滑な執行に著しい支障が生じると認めたため

11.11 非公開決定に対する審査請求

◇市民の権利を著しく規制する災害危険区域が正しく設定されているか確認することを拒むものであり、市民の監視と参加による公正で開かれた市政の推進を定めた気仙沼市情報公開条例に違反している

【疑問点の整理】

・再シミュレーションの費用が平成28年度補正予算に計上される際、目的は「災害危険区域の見直しについて検討を行う」だった。その際、結果について説明会を開催する考えが示されていた

・鮪立地区の防潮堤計画変更の際、再シミュレーションによって想定浸水区域が拡大することが説明された。「大きな変化」の有無は市の解釈によるもので、安全面からも第三者の検証が必要である

・建築制限を実施する災害危険区域は、公平公正に決められるべきである。その前提となる津波シミュレーションの結果は重要な情報であるが、指定時と実際の防潮堤計画に差異が生じたことで、その対応について市民と十分に話し合わなければならない。「誤解を招く」として非公開とするのは、市民参加の市政を否定するものである

・シミュレーションの不確実性は市民と共有すべきことであり、「誤解に基づいた意見主張」をおそれて情報を非公開にすれば、市民による監視機能が失われてしまう。これを前例とすれば、行政にとって都合の悪いあらゆる情報が非公開となってしまう

・シミュレーションの不確実性は市民と共有すべきことであり、「誤解に基づいた意見主張」をおそれて情報を非公開にすれば、市民による監視機能が失われてしまう。これを前例とすれば、行政にとって都合の悪いあらゆる情報が非公開となってしまう

・防潮堤の計画を変更すれば、災害危険区域も変わる可能性があるという行政と市民の共通認識のもと、内湾、鮪立、小鯖、浦の浜などでは防潮堤について議論してきた。議論の過程では再シミュレーションの結果も示されている。その経緯を無視して、「無用な混乱」と一括りにして非公開にすれば、市政に対する信頼が失われてしまう。再シミュレーション結果が示された地区と、示されていない地区の公平性の問題もある。市民意向とは関係なく、災害危険区域指定時の防潮堤の有無の設定が変更している海岸もあり、これは市側のミスといえる。市のミスから発生する混乱を回避するための非公開は「無用な混乱」ではなく、第6条5号の規定の乱用である

12.25 審査請求に対する市からの弁明書送付

【反論内容】

・再シミュレーションの目的が「災害危険区域の見直し検討」からより包括的な目的に変化したことは非公開の理由と関連性がいな

・鮪立の説明資料は個別のシミュレーションであり、今回の再シミュレーションとは異なる。シミュレーション結果の変化の大小で非公開の判断をしているわけでもない

・災害危険区域は市が指定するもので、市民から広く意見を聞き、合意で決める制度となっていない

・津波シミュレーションが科学的な手法として信頼性が高いものと一般に認識される中で、不完全な情報を含んだ文書を公開することは、再建方法を選択した際の正当性に対する疑念や将来的な不安感が増幅することになり、市民に無用な誤解を与え、または混乱を招くとし市は判断した

・個別のシミュレーション結果は防潮堤整備の合意形成のための資料である

12.27 市の弁明に対する反論書を提出
2020 1.29 反論書に対する市からの弁明書送付
1.30 弁明書に対する反論書提出
2.19 情報公開審査会(三條秀夫会長)を開催
3.31 情報公開審査会が「非公開決定の取り消しが相当」と答申

【判断理由】

・情報公開条例第6条第5号に該当し、「今後の復興事業の公正または円滑な執行に著しい支障が生じる」ことを非公開理由としたが、5号における「事務事業」とは、公開した情報を事業対象者に知られることにより、遂行が不能または著しく困難になるものである。津波シミュレーションは対象者が想定できず、公開することによる著しい支障があるとはいえない

・シミュレーション結果を公開することにより誤解による意見主張がされるということは推測の域を出ないし、仮にあり得るとしても、市民に対してできる限り誤解を生まないよう丁寧な説明を行うことにより回避できる事態である

・災害危険区域の指定が広く市民の意見を反映させるものではないとすると、市民の誤解に基づく意見により災害危険区域の指定が公正に行えなくなるということは想定しがたい

・市民が市の事務事業に意見を主張すること自体は何ら妨げられるべきことではなく、それを「支障」であるかのように評価するのは適切ではない

5.21 市が非公開決定の取り消しを裁決

◇再シミュレーションが公開されることにより、誤解に基づいた意見主張がなされることは十分に考えられ、災害危険区域の指定や変更の公正な判断に影響がないとはいえないし、各種復興事業の内容や手法等の妥当性に関し数多くの小かい働き掛け等がなされ、事業の正当性に影響が出る可能性は否定できない。しかし、仮にそのような事態が生じると予測できるとしても、市民に対してシミュレーションの目的、手法、信頼性、災害危険区域の指定・変更との関係、各種復興事業への影響等を可能な限り丁寧に説明することで、一定程度回避することが可能であると思われる。市民が市の事務事業に意見主張すること自体は妨げられるものではないことを踏まえて考えると、市民の意見主張等による支障が具体的に相当の蓋然性をもって発生すると認められない限り、このような懸念があることだけをもって、事務事業への著しい支障があるとすべきではない。

5.21 裁決を受けて再度公開請求
6.5 再シミュレーション結果を公開。補正が判明

【補正内容】

・災害危険区域をはめ出た分は浸水深2mまでは除外

・災害危険区域から縮小しても、現行の浸水深が1m以内ならそのままとする

6.5 補正前のシミュレーション結果の公開を請求
6.19 情報公開の決定期間延長を通知

・公開することによる事務事業に対する支障の内容や程度等について関係機関等の意見を踏まえた判断を必要とするため、7月20日まで決定期間を延長する

6.23 市議会6月定例会の一般質問

・補正内容や説明責任などについて市長が説明

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