昨年の出生数は260人。15年で半減【気仙沼市】

今朝の三陸新報でも記事になっていましたが、気仙沼市の昨年の出生数は260人(出生届出ベース)でした。

2018年は初めて300人を切って297人となって衝撃が広がりましたが、さらに37人も減ったのです。ようやく少子化対策に力を入れ始めたのに、なぜ出生数は減り続けているのでしょうか。

気仙沼市の場合、高校卒業とともに若者が市外に出て、その半分も帰ってこないため、急激なペースで少子化が進んでいます。全国では30年間で出生数が3割減っていますが、気仙沼市では7割も減っているのです。

【少子化の原因は親世代の流出】

子どもの数が減っているというよりは、親になる世代の数が減っているということです。これに全国的な課題である未婚・晩婚化が加わるのです。

それでは、具体的なデータから分析していきます。

まずは1960年以降の出生数のグラフをご覧ください。団塊ジュニア世代をピークに減少し続けていることが分かります。50年間で84%も減少しました。

次に出生数の推移に、2020年3月末の住民基本台帳を基にした各歳人口を加えたグラフをつくりました。例えば1975年は1399人が生まれましたが、現在43歳になる市民は754人だということが分かる資料です。おおむね出生数の半分程度が定住人口となっていることが推測できます。

もし生まれた人が全員気仙沼に残っていれば、出生数は2倍になると考えることができます。2019年なら単純計算で520人です。

※出生数は年次、年齢は年度のデータになっているので誤差があることはご了承ください

【このままだと10年後には100人台へ】

より詳しく見るために、2020年3月の女性の人口をグラフにしました。気仙沼市は24~39歳の出産が多いのですが、その人口が減少していくことが分かります。

こうした傾向から算出されているのが国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計です。5年ごとの推計値を平均して出生数に置き換えると、次のグラフのような予想ができます。このままのペースだと年間出生数は10年後に100人台となるのです。

今回は出生数を中心にまとめましたが、それ以外の人口動態も深刻です。出生数が減り続ける一方で、死亡数は増え続け、2年連続で1000人を超えました。さらに転入を転出を上回ったままで、市の人口は昨年1年間で1266人減りました。

出生数を増やすためには、若者の流出を防ぐかUターンを増やし、さらに男女の出会いを増やすとともに、子どもを産み育てやすい環境をつくっていくということになります。雇用環境も関わるため、簡単に成果は出ませんが、諦めずに対策を続けていくことが大切です。

もう少し踏み込むと、環境が充実した仙台圏から離れた都市というハンディがあるので、周辺都市との連携が重要になると個人的に考えています。気仙沼だけでは限界があるので、南三陸町や陸前高田市、一関市などと子育てや教育、婚活支援などでもっと連携していくことが必要だと感じていますので、具体的に動いていきたいです。

1 Comment

  1. jun

    的確な資料と分析、興味深く読みました。アバウトな認識しか持ち得ない市民(議員)が散見される折、大変勉強になりました。
    資料のまとめと発信、ご苦労様でした。

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