会計年度任用職員、保育無償化などのポイント【市議会9月定例会の報告】

気仙沼市議会9月定例会のポイントをまとめました。決算以外でも会計年度任用職員、保育無償化、教育課題への対応など、さまざまなことが決まりましたので、そのポイントをお伝えします。 

【嘱託・臨時職員は会計年度任用職員制度へ移行】

・2018年度の臨時職員250人、嘱託員312人の計562人がそのまま会計年度任用職員に移行すると仮定すると、9億6100万円の人件費が12億9800万円(2018年度決算ベース)に増加する

・会計年度任用職員制度に移行しても、総人件費は現状に合わせたいが、間に合わない場合は数年かけて取り組む。

・試験は複数会場に分けて1日で実施する予定。事務職と専門職の日程はずらす。事務職は350人程度の受験を見込み、一次試験は教養試験、二次試験は面接を行う。専門職は教養試験ではなく書類審査とする。

・期末手当(年2.6カ月分)は6月と12月に正職員と一緒に支給する。

・契約更新は最大2回まで(最長3年)で、その後は再募集による試験となる。

・嘱託職員・臨時職員のときと同じ部署に配属すると「同じ働き方になることを危惧している」「人事課が一括で採用し、異動の形で各部署に配置したい」「もう一つ上の仕事をしてほしい」。

・職長、管理職、館長は別な任用を考えたい。

・2020年度までを目途に検討している定員管理適正化計画には会計年度任用職員を含める

今後の予定
10月 職員、臨時・嘱託職員対象の説明会
11月 任用職種と職員数等の決定
12月 会計年度任用職員の公募

議会に人事給与システム改修等にかかる補正予算案上程

1月 採用試験
2月 採用結果(合否)通知
3月 配属先内示
4月 任用・職員研修

 

【南気仙沼復興市民広場は芝生化。費用見込みは24000万円】

・南気仙沼復興市民広場はサッカー2面分がとれる多目的広場と市、2020年度末までに造成等の基盤整備を終え、その後に必要な施設整備やグラウンドの芝生化を行う。

・芝生は種類や植付、維持管理体制も含めて民間団体の協力などを相談し、2019年度内の整備内容決定を目標とする。

・復興事業以外の施設整備に約4億円必要で、このうち芝生化には2億4000万円を見込んでいる

・気仙沼中央公民館は1月に建設委員会を立ち上げ、中高生によるワークショップも行った。多機能化、まちづくりセンター化を見据えて、年度内に設計を固め、その後すみやかに着工したい

 

【旧ごみ処理場跡地に防災物資拠点】

・水梨の旧ごみ処理場跡地に防災物資集積配送基地を整備するため、建築、造成、橋梁の実施設計を行う。発電機や照明、避難所運営備品などを収納する施設で、復興創生期間の2020年度内に完成することが復興予算(復興交付金効果促進事業)を使う条件となる

・橋梁整備が課題で、場所を変更する可能性もあり

・小原木公民館(旧小原木中)と本吉総合体育館へ搬入口設置のための設計も行う

 

【高校教育、中学の部活支援を考える会議体をそれぞれ設置】

・少子化による小規模化と統廃合が心配される県立高校について、魅力化を含めた在り方を検討するため、「気仙沼市学校教育の在り方検討会議」を10月に設置。大学教授、県教委幹部、市内の教育関係者、産業、福祉、まちづくり団体のメンバー20人程度で構成予定。第二期教育大綱に意見を述べるとともに、市民ワークショップなどを通して2020年9月までに在り方を検討する

・少子化の受け、中学校の部活動の対策を考えるため、中体連、校長会と会議体を設置する。一関市で開かれる中体連陸上大会へのバス補助、中体連運営費の補助を子育て支援策として前向きに検討する。体協、体育振興会と総合型スポーツクラブの検討会議を早急に立ち上げられるように研究する

 

【保育無償化。対象は1305人】

・消費税増税に合わせ、3~5歳の保育所・幼稚園を10月から無償化。住民税非課税世帯は0~2歳児の保育も無償化される。市内の児童福祉施設の入所児童1376人のうち1305人が無償化の対象

・無償化による財政負担は年間1億3400円で、来年度からは国が1/2、県1/4、市1/4の割合で負担する。2019年度は国が交付金で全額措置する

・無償化の対象外となったのは通園送迎費、食材料費、入園料、行事費、保育用品費など

・保育無償化の対象外となった副食費は、0-2歳保育を利用していない世帯、弁当持参のケースもあることからバランスをみて無償化に加えなかった。今後も子育て支援の視点で研究する。試算では0-2歳児すべての無償に年5千万~6千万円、認可外を含めるとプラス2千万円となる。3-5歳児の副食費は3千万円以上

・市立認可保育所は0-2歳児の3割(114/426人)、私立認可外保育施設は27/67人が保育料の震災減免を利用している。無料・半額だから保育所を利用することで、待機児童の増加に影響していることが考えられる

 

【医師会高等看護学校閉校方針を受けた対応】

・医師会附属看護学校への補助金は2018年度で450万円(前年より100万円増)。高等看護学校が2023年度末で閉校する方針が示されており、市全体での看護師確保対策を事務レベルで検討中。現時点で明確な対応は定まっていないが、全国には様々な事例があり、市の課題、看護師の勤務状況などを分析し、市でできることを検討する。菅原市長は「補助額を減らさないことによる准看の支援もある。市立病院附属看護学校の指定校推薦の学校を増やしたり、定員について配慮することも考えたい」と答弁

・市立病院附属看護学校の卒業生の内訳は市内出身13人(進路は市内7人・県内1人・県外1人、進学4人)、県内10人(県内6人・進学4人)、岩手13人(県内5人、岩手5人)。入学当初から市内に残らないという人も。残るための施策を考えたい。指定校推薦のほか、市内に残る人用の定員枠も可能。職員の地元枠は公平性の観点から難しい

・看護学生奨学金は2020年度から導入する。薬剤師、助産師も対象とする予定。貸与型で勤務すると免除にする事例が多い。


【復興関係】

・復興祈念公園は来年9月30日までに完成予定

・毎年500万円積み立てている復興記念事業の内容はまだ検討も始めていない。2020年度の復興計画総括により、翌年度とするか、地域の関わり方をどうするかなどを検討する。

・市営駅前駐車場の2018年度の利用は一般2万458台、ハローワーク利用者1万7673台(6月から)だった。一般は30分、ハローワーク利用者は2時間の無料としている。

・復興交付金はあと2回の申請ですべて盛り込む予定

・12月に復興創生期間後の国の方針が示される

・買い取った被災宅地は利活用未定地14.3haが点在しており、さらに増える見通し。現在は1筆ごとに交付金を確定して国の許可を得ているが、交付金が確定した後の2021年度以降に手続きが緩和されるので譲渡を促進したい。2020年度の草刈り費用は当初に1000万円計上した

・市営住宅の家賃は2018年度末で245人(10万円未満は124人)が滞納していた。住宅公社で訪問、呼び出しでも支払わない場合、裁判を検討する。

 

【防災・防犯】

・300冊配布した震災対応証言集の増刷は考えていないが、ニーズが高まれば検討する

・震災対応検証記録集は本編600ページ、資料編600ページの見込み。2020年度に900部を印刷する考え

・市内の防災士は67人、県の防災指導員講座受講者は396人

・防犯団体が設置する防犯カメラの補助制度は仙台や名取であり、新年度導入に向けて事例を研究する。

・津波避難誘導看板は現在の150枚に50枚、海抜表示プレートは35枚に150枚を追加したい

 

【教育】

・義務教育環境整備計画による第3段階の統合対象校への説明会がスタート。計画の統合時期を目途とするが、統合時期は柔軟に決定する。1年間程度は準備期間を確保したい。計画の見直しは少子化が進行する中、「現計画の目標が達成された後に取り組むべきと考える」と小山教育長

・月立小の統合は、道路整備を含めた通学手段、情報提供不足が課題であると小山教育長。小規模特認校は13年間で3人の利用という実績を真摯に受け止めなければならず、大島への導入は「可能性は否定しないが今のところ考えていない」

・気仙沼市の奨学金制度(大学生は月3万円)は1年の猶予期間ののち7年以内に償還することになっているが、2018年度の貸付は17人で、年度末の貸付合計は111人で6240万円。長期滞納は18人で494万円

・小・中学校から市教委への施設修繕要請(2018年度で299件)はリスト化して各校と共有している

・普通教室以外のエアコン設置は国の動向を注視して対応する

・コミュニティスクール化は全市挙げて促進するが、各校の事情もあるので順次進めていく。階上中学校は2020年4月から設置の予定

・放課後こども教室はモデル事業を検討。10月には具体的な話し合いを始める

・学校の環境整備などを手伝う有償ボランティアは協働教育プラットフォーム事業の活用を検討する

 

【スポーツ】

・市総合体育館「ケー・ウエーブ」の屋外プレスポーツ広場入口付近が陥没したため、2300万円かけて原因と対策を調査する。体育館の池から浸透した水の影響と考えられ、対策に多額の費用がかかることが心配される

・旧気仙沼西高校の校庭は、陸上競技協会から練習場所確保の要請を受け、市教委が管理の一部を担うことで、故障中の外部水道とトイレの修繕が完了次第、使用が可能となる見込み

・市営球場のスタンドやトイレ、ダッグアウト、バッグネット、スコアボード、本部席などを1億5000万円かけて改修する。仮設住宅撤去に伴うグラウンドの復旧工事が県によって行われており、来春には供用開始する。経年劣化と判断されたために復興予算は認められず、一般財源を充てる。ナイター設備はレクリエーションや行事に使える最低限のもので、受電設備を含めると1億円以上かかるので、継続して検討する

・全国大会出場の激励金については市長の交際費で対応してきたが、報奨金の制度化に向けて取り組む

 

【子育て】

・子ども医療費の助成は中学3年生まで拡大しており、2018年度は延べ5万8633人に1億1780万円を支給した。内訳は県補助分(小学校入学前は1/2)が4887万円=当初予算は5700万円=、市独自に拡大した小学校1年生から中学3年生で6892万円=8000万円=。計2000万円が執行残となった。市独自支援のうち6500万円を過疎債に頼っている

・鹿折こども園で冬場の日照を通日遮っていた林の一部(児童館側の約400㎡)を462万円かけて伐採する。

 

【医療・福祉】

・医学生奨学金は2014年度から12人(2018年度は4人)に貸付した。研修医は8人受け入れ、残っている人もいる

・市立病院の選定療養費は早ければ新年度から導入する

・唐桑の患者輸送バスは10/1~12/22まで混合乗車の実証実験を行う

 

【環境】

・再生可能エネルギー活用推進調査は概要版を議会に配布する準備を進めている。対象とした唐桑大沢、片浜、小泉は進めづらい結果となった。送電網に限界がある

・祝日のごみ収集は今後の状況をふまえて検討する

 

【経済・観光】

・ネットを利用したホヤぼーやセレクトショップの売上は377万円(前年は352万円・52社)

・朝市・マルシェの調査に基づき、2019年度は月1回ペースで勉強会を行っている。アンケートも予定している

・鹿折金山モンスターゴールドの特別展示は準備費用(実行委員会負担金)として2018年度で919万円支出したが、産総研からの借用条件について調整に時間がかかり、実行委で繰り越した。2019年夏の開催は延期となった

 

【農林漁業】

・遠洋漁業組合によるメカジキとヨシキリサメのMSC認証は本審査経費1556万円の1/3の518万円を補助する予定だったが、2次予備審査で条件を満たせなかったため、2018年度の申請はできなかった。資源水準の調査が不十分との指摘で、国の力が必要である。組合は引き続き取り組みたい意向を示している。予備審査には計200万円を補助済みである

・磯焼け対策となる藻場ビジョン策定へ、県は10月に磯焼け対策会議を設置する。藻場調査も予定されている。「かなり規模の大きな対策が始まると思う」と水産課長

・市民農園は90区画×年3千円の利用料金で支出を賄う

 

【公共施設・インフラ】

・市民の森にあった雨天休憩施設は8月17日に焼失した。原因は不明。施設は「再建するつもり」(市長)。防犯対策としてカメラの設置を検討する

・管理方法を気仙沼、本吉と統一した唐桑の集会所は、13施設のうち宿を除く12施設が指定管理者に移行済み。10年間で8施設を建替える約束だったが、その優先順位はすでに地元に示した。前期(令和2~5年度)は崎浜、松圃、宿、石浜、後期(6~9年度)は中井老人憩いの家、中、鮪立老人憩いの家、舘老人憩いの家。各期内の優先順位は自治会で協議して決める。自治会所有の集会施設に対する支援は検討中で、なるべく早く示すと答弁した

・水道事業は決算時に中・長期の収支シミュレーションに基づいた経営分析を2019年度決算が示したい

・水道事業の嘱託員は2018年度で5人、臨時職員は3~4人だった

 

【行政】

・コミュニティFMへの市政情報発信委託費(CM料)は30年度で1800万円。FM会社の収入の57.5%を占めている。全体の収支が増えている。2020年度は金額減らせるように検討していく(秘書広報課長)

・ふるさと納税による寄付は2018年度で8598件・1億9965万円(経費を除いた収入は9111万円)。使いみちは寄付者の希望を確認しているが、寄付額が見通せないので、あらかじめ当初予算で計上している事業で使ってきた。今後は充実した内容で報告できるようにしたい

・業務にICT(情報通信技術)を導入し、効率化を図る。具体的にはスマートフォンで住民票の申請書がつくれたり、RPAによる文字の自動読み取り機能を試験導入したりする考え。若手プロジェクトチームでワンストップ窓口、AI・RPA活用、SNS活用、内部情報システムの起用通過などを研究する。

・日経新聞と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが設立する「一般社団法人スマートシティ・インスティテュート」に賛助会員として参加する予定

・マイナンバーカードの普及率は全国平均13.5%に対して気仙沼市は12.3%である。市職員の保険証は3年3月から導入予定で、年度内に全職員のカード取得を目指す

 

気仙沼市職員の病気休職状況
病気休暇

(7日以上)

うちメンタル不調
7~30日 ~90日 ~180日 180日~
2010年度 101 / 1360 1 3 9 4 17
2016年度 84 / 1496 2 5 9 2 18
2017年度 91 / 1530 0 5 11 0 16
2018年度 114 / 1533 0 10 12 3 25

2019年9月補正予算の主な事業
ICTの利活用・導入検討

198万円

業務効率化のためのICT導入に向け、情報収集して試験導入する。マイナンバーカード普及促進にも取り組む
本吉パークゴルフ場補助金

300万円

本吉放牧場に民間組織が整備するパークゴルフ場整備を、太陽光発電会社の寄付を活用して助成する
松くい虫被害木の駆除

480万円

大島の亀山付近の県道沿線を主体に松くい虫の被害木を伐倒・駆除する
道の駅「大谷海岸」整備

3億1479万円

防潮堤工事で移転する道の駅施設を再整備する。BRT待合室なども整備する
大島ウエルカムターミナル外構整備8358万円 施設整備は年内に終了するが、オープンは年度内の予定。12月議会に指定管理者を提案予定
公営住宅カルテ作成

500万円

公営住宅等長寿命化計画の見直しにより、維持管理に必要なデータベース、団地カルテを作成する
防災物資集積配送基地実施設計 6871万円 旧ごみ処理場跡地への集積配送拠点倉庫の建築、小原木公民館と本吉総合体育館の搬入口設置の設計など
学校教育在り方検討会議経費

150万円

少子化の中の高校の在り方などについて提言する会議を設置。市民ワークショップも予定している
市営球場改修工事

1億5000万円

災害復旧で認められなかったスタンドやトイレ、スコアボードの改修工事を行う
市総合体育館陥没被害調査

2300万円

屋外プレスポーツ広場で発生した陥没の原因を調査し、対策を検討する
消防屯所発注支援業務

1216万円

魚町、内の脇、磯草、長崎、南町、片浜の消防屯所復旧の支援業務
海水浴場トイレ等整備

9718万円

小泉、お伊勢浜海水浴場のトイレとシャワー更衣室を再整備する

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