気仙沼に地域電力会社誕生。エネルギーも地産地消

気仙沼市に地域電力会社「気仙沼グリーンエナジー」が誕生しました。電力自由化を受けて、電力の地域内循環を目指す取り組みで、地元で発電された太陽光エネルギーなどを調達し、まずは市の公共施設に販売します。一般家庭にも電力供給を拡大して、5年後には2億円の売上を目指します。

電力自由化と再生可能エネルギー普及により、地方自治体と企業が連携した地域電力会社が各地に設立されています。市によると、岩手県北上市や宮城県加美町など35社以上の先例があります。

気仙沼市は日本初のスローフード都市宣言、スローシティ認定で食材の地産地消に力を入れてきましたが、エネルギーの地産地消にも取り組みます。

【公共施設の電気代は年間500万円節約】

震災後に気仙沼市へ寄せられたさまざまなアイデアを実現するために設立された一般社団法人・気仙沼市住みよさ創造機構が、計画を進めてきました。資本金は5000万円で、ノウハウを持つ国際航業を中心に機構会員企業などが出資する予定です。気仙沼市も500万円出資します。

気仙沼グリーンエナジーの事業計画によると、市内の木質バイオマス発電、太陽光発電から電力を調達し、公共施設、企業、家庭に販売します。公共施設は昼間の電力消費が大きい市役所、小・中学校、保育施設など74施設を対象とします。

契約内容によって東北電力より基本料金や電気使用料を安く設定し、今まで年間で計1億4661万円かかっていた電気代が約500万円節約されます。わずか1年間で出資額を回収できることになります。

【5年後には売上2億円。5人雇用】

小売事業登録などを経て、今年10月から電力供給を開始する予定です。工場、一般家庭にも販売を拡大し、5年後には5437kWの契約を目指します。電力の地産地消率は67%となるそうです。

2023年度には5人の雇用につなげ、売り上げは2億566万円、経常利益1528万円を計画しています。電力の需給管理はノウハウのある民間会社に委託してスタートしますが、2022年度までの内製化を目指します。公共施設の屋根などを借りて太陽光発電設備を自ら設置する事業も展開します。

コストを抑えて電力を販売するため、安く販売しても利益が得られる仕組みです。東北電力の送電網を利用し、安定供給のために東北電力の発電所などから常時バックアップする仕組みも構築しました。

課題はバックアップ電源を確保するための卸電力市場の価格上昇に対する備えで、その依存度を低減させることが重要なのだそうです。発電事業者の売電価格は東北電力と変わりませんので、エネルギーと経済の地域内循環の趣旨に賛同した事業者の協力が欠かせません。

【市内の発電能力は一般家庭全世帯分へ】

気仙沼市内では間伐材などを活用した木質バイオマス発電、熊山の風力発電、約300カ所の太陽光発電設備(FIT制度認定分)により、計約9000の発電能力を持っています。

約160億円の事業費をかけて市有地に来春稼働予定の本吉町のメガソーラーなど、さらに計画されている再生可能エネルギーは8万3000㎾ほどあり、市内の一般家庭全世帯分を賄えるほどの発電能力を持つことになります。

各種データから推測すると、市内の電力市場は100億円規模と考えられます。地域電力会社が担うのはその2%ほどですので、電力市場の巨大さが今回のことでよく分かりました。

エネルギーの地産地消は藻谷浩介さんの著書「里山資本主義」でも指摘されていましたが、震災後の再生エネルギー普及とその活用に取り組む気仙沼が注目されるようになるかもしれません。

なお、気仙沼市は再生可能エネルギー活用推進などのための環境未来都市構想モデル事業の検討も続けています。

3 Comments

  1. 小西晴子

    この取り組み、素晴らしいです。

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  2. kanazawa

    「コストを抑えて電力を販売するため、安く販売しても利益が得られる仕組みです。」
    「発電事業者の売電価格は東北電力と変わりません」
    消費者は東北電力から買っても新会社から買っても同じ電気の価格という認識でよろしいですか?

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    1. 今川 悟 (Post author)

      現在の契約より安価に設定しますので、消費者側にもメリットがあります。
      利用形態によって設定が異なり、業務用だと基本料金が安くなるケースと、電力料金が安くなる2パターンがあります。気仙沼市の公共施設は高圧施設で基本料金、低圧施設だと両方が抑えられ、年間で500万円節約できる見通しとなっています。

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