復興、福祉、教育で伝えたい47のポイント【気仙沼市議会2月定例会報告④】

4回シリーズでお届けした気仙沼市議会2月定例会の報告の最終回です。復興を主体としたインフラ関係、子育て支援をはじめとする福祉関係、教育環境、市政関係について48のポイントをお伝えします。

【市営住宅基金62億円に。利息は年62万円】

復興関係で注目し続けているのは災害公営住宅の維持管理ですが、国からの補助金や家賃収入から維持管理費を差し引いた額を積み立てている市営住宅基金は、2018年度分などで新たに約26億7千万円を積み増し、残高は約62億円となりました。

62億円を金融機関に預けても、普通預金のために年利は0.01%で利息は年間でわずか62万円。将来の大規模改修や解体に備えるとはいえ、増税や復興債発行で賄った復興予算の使い道としては疑問が残ります。市営住宅の収支シミュレーションは長寿命化計画の改定の中で算出中であり、7月までには災害公営住宅債の繰上げ償還など基金の活用方法も含めて内容が示されるため、さらに議論を続けていきます。

なお、災害公営住宅の一般公募は3回で160室に対して延べ421件の申し込みがあったため、移住者用に活用することは慎重な検討が必要との考えも示されました。将来的な対策は必要なので研究していくそうです。

【小・中学校再編は第三段階も一部協議へ】

福祉関係は予算の中で紹介しましたので、教育関係に移ります。小中学校の再編について、第二段階に見通しがつくまでは第三段階には入らない方針が示されていましたが、「第三段階対象校でも複式学級への移行が想定される学校は、第二段階の月立小と併行して地域懇談会を進めたい」との答弁がありました。

「それぞれの地域の実情に耳を傾ける姿勢で臨みたい」「そのほかの第三段階対象校にも再編計画の説明を個別に行いたい」「統合するのかしないのかで始まると議論が深まらず、少子化の現実を共通認識してそれぞれ何ができるかから臨みたい」との考えも示されました。コミュニティスクールは小学校7校、中学校4校で32年度の設置を目指して準備を進めているそうです。

第三段階で複式が想定される学校名は示されませんでした。複式学級の基準は2学年合わせて16人以下で、ただし1年生を含む場合は8人以下です。来年度の児童・生徒数の予定(2月1日現在)=別表参照=を見ると、基準以下となる学校もありますが、13人以上だと教員の加配による複式解消が可能ですので第三段階の対象校で複式学級が生じる学校はない見通しです。

【市営野球場へのナイター整備は試算7600万円】

市営野球場は仮設住宅の撤去に伴い、グラウンドの芝養生を経て2020年度から利用できる見込みです。スタンドの復旧と合わせてナイター設備の新設を検討してきましたが、ナイター設備の見積もりは7600万円で復興予算を充てることができません。

スタンドやバックスクリーンの改修を含め、野球関係者の要望通りにすべて整備すると2億2300万円もかかりますが、確保できた災害復旧費は本部席の改修など853万円だけ。中央公民館隣接地に復旧する南広場には簡易ナイター設備が整備することを検討しており、今後、財源を探しながら野球関係者と優先順位を協議することにしています。

※そのほかのポイントは下記にまとめました。

 


■インフラ関係

【片浜の区画整理へ交差点改良】

・県道からの2つの交差点は災害復旧を予定していたが、警察との協議によって拡幅することにした。

【鹿折の土地区画整理は年度内に造成完了】

・宅地の造成工事は年度内に終了する。完成セレモニーは鹿折地区まちづくり協議会と相談する。残った宅地の引き渡しは5月からで、公園は秋までかかる。事業として終了するのは換地処分、清算金処理が終わってから。造成工事の請負額変更は今回が最後となる。

【南気仙沼復興市民広場の進捗率26%】

・事業費ベースの進捗率は26%。用地取得は168筆・3万8435㎡のうち150筆・3万4325㎡で契約済み。建物補償は3件のうち1件。公園としての設計は2020年度以降となる

【被災宅地】

・本格的な譲渡は2020年度以降。原則公募による

【大島架橋は強風で通行止めに】

・橋の中央に風速計を設置して強風の場合はゲートで通行止めにする。電光表示の情報板も用意する

【下水道整備は本町に変更】

・新年度は田中前の下水管整備を計画していたが、都市計画道路整備に合わせて本町(450m・1億2千万円)に変更

・下水道事業会計は2020年度から公営企業法へ移行する

【水道料金改定はいつ】

・消費税2%増税の転嫁は6月定例会へ提案したい

・水道料金を復興期間後の2021年度から改定する場合、2020年度中に議案を出さないといけない。そのためには5年分の収支見通しも示さないといけない。今までは事業持続のための費用を見てこなかったが、今後は維持するための費用も加えたい

・水道事業からガス事業への長期貸付金の残高は5140万円(2018年度末)

・一関市から八瀬簡易水道の室根地区の一部カバーについて相談があった。供給可能量は1日当たり413tで利用は300t程度。昭和55年建設の施設の老朽化し、管の破裂が多く、現状では難しい。数年後には水道会計と一緒になるだろう。一部地区に遅れないか検討したいが、水源開発を解決した上での話になる

【国道284号の高規格化】

・5月ごろを目途に民間の促進組織を立ち上げたい

【市道の補修は100路線で】

・復興事業による大型車両通過増で損壊した市道は、100路線を復興予算で補修する予定。計画路線は資料がまとまりしだい公表する

・道路の穴などをSNSを使って市に情報提供する仕組みは新年度から試験導入する

【渋抜川のボックス上部は緑地帯に】

・神山川への放流渠工事は9月の完成を予定。渋抜川のボックス化した部分の上部は緑地帯を検討。ポンプ場の年間維持費は550万円

■ 生活福祉関係  

【婚活支援の実績は】

・民間委託で相談会やセミナーを26回開催して延べ129人が参加した。セミナーは3~9人、交流会は男性7~12人、女性2~7人と想定より少なかった。新年度は従業員対象も検討する

【市立病院の役割とは】

・来年度は病院独自に説明会を開く。広域医療計画に基づく気仙沼市立病院の役割、救急医療の現状、選定療養費の必要性などをテーマにする

・新年度の常勤医師数は現状をキープする見込みだが、研修医は減りそう

・救急車の現場滞在時間が長いのは患者情報の確認、家族との連絡などのためで30分以上の例もある。院内には救急管理委員会を設置している

・リハビリ病床は48床あるが26床で運営。看護職員24人必要なのに16人しか夜勤対応できず、リハビリ技師も不足

・耳鼻咽頭科は嘱託医のため対応できない手術もある

【新年度から健康ポイント】

・健診や健康セミナーに参加した市民のクルーカードに健康ポイントを付与

・機械を用意して会場でポイントを付与

・混乱を防ぐために会場でカード発行はしない

・ポイント付与のためにカード会社へ手数料が発生する

【社協の移転は未定】

・市民福祉センター「やすらぎ」を福祉の拠点と位置付けるため、指定管理者の社協の本所移転を協議中。当初は「2019年度以降の早い時期」と説明してきたが、まだ移転時期ははっきりしていない。

【待機児童45人。病児保育スタート】

・12月時点の待機児童は45人で、0歳28人、1歳14人、2歳2人、3歳2人。保育士確保対策(10万円支給)は新年度当初には間に合わない

・保育士奨学金返済補助は6人が利用している。満額利用は1人だけ

・市立保育所の臨時保育士は当初16人の採用を見込んでいたが、応募が少なく、約6人分の予算を減額した。予定通り採用していれば、もっと多くの児童を受け入れられた。保育士バンクも利用につながらず、OBなどのツテを頼っている状態。

・私立幼稚園の施設給付型への移行によって、勤務年数などに応じて職員の処遇が改善される。病児保育は私立認可保育所と鹿折こども園で新年度からスタート。看護師を配置し、入所児童が具合が悪くなった場合に預かる。イメージとして学校の保健室のようなもの

・児童福祉施設等再編計画の見直しによって、市が民間の参入を支援する。新たな子育て支援計画の議論の中で民営化推進を具体的に打ち出したい

・鹿折子ども園と私立認可保育所1施設で病児保育を新年度からスタート。看護師を採用し、通所している児童の体調が悪くなった場合に保護者が迎えに来るまで預かる。実施可能な施設から順次導入していく

・保育無償化への対応は6月定例会で予定

■ 教育・スポーツ関係                                        

【2020年度に給食調理場の再編】

・老朽化した調理場を廃止し、2020年度には中央給食センターと本吉共同調理場、小原木共同調理場に集約する。

■ 市政関係  

【ゼロベースの事業見直し】

・行政改革の一環として昨年終盤から市の事務・事業をゼロベースで見直した。事業794件、事務2337件のうち事業342件のヒアリングを終了し、継続250件、見直し73件、廃止19件となった。そのうち20件は新年度予算編成に反映した

・ゼロベースの見直しは必要性、経済性、市の関与性で評価した。6月ごろ再開する。市民の意見反映は次の段階。年度内に終わらせる日程を組み、全項目の公表を検討する

【新年度に行革大綱指針と個別施設計画】

・行財政改革の指針となる大綱は大枠の方向性に先進事例を加え、事務・事業見直しのプロセスや成果も反映させ、2019年度の早い時期の完成を目指す

・公共施設等総合管理計画に基づいた施設類型ごとの個別施設計画は2019年度内に策定

【人口減少対策本部を設置】

・新年度から市長を本部長とした人口減少対策本部を庁内に設置する。「事例を研究して前例にとらわれない対策を展開する」と菅原市長

【入札制度を改善】

・工事の仕様書に準備期間を明示することにしたが、今のところ実績はない。土木工事の入札対象を地元に絞り込むことは、まだ入札不調も発生しており、一歩踏み出せないでいる

・地元調達率は工事236件・80億円のうち件数81.9%、金額43.4%。物品は193件・4億3千万円のうち件数は81.4%、金額85.4%。学校・病院給食は10%台で同じ規格で大量に納入することが難しいことが理由

【2020年度に職員の定員適正化計画策定】

・2020年度までに定員適正化計画を策定する

・新年度中に人材育成基本方針を策定する

【滞納対策室を新設】

・収納対策室を新設する

・債権ごとに数値目標を公表して達成を目指す

1 Comment

  1. 山内松吾

    マニフェスト大賞受賞おめでとう㊗️ございます。
    これからも市民のために一層ご活躍されますようお願いします

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