新年度予算のポイント【気仙沼市議会2月定例会報告②】

気仙沼市議会2月定例会の報告第二弾です。今回は新年度予算について報告します。

2019年度一般会計当初予算は804億円です。このうち震災復興分は505億円で、年度途中でさらに復興予算が追加される見込みです。

【復興は仕上げへ】

予算の内容から復興の状況が分かりますが、公営住宅に続いて盛土かさ上げなどの造成工事はほとんど終わる一方で、用地買収や事業間調整が進んだことで防潮堤や道路の工事が本格化しています。

災害復旧で残った大きな建物は気仙沼中央公民館の再建、復興事業だと大島のウエルカムターミナルで、大きな公園の整備もこれからです。復興の終盤になり、大型車両の走行で損壊した市道の補修も始まり、その規模は100路線で50億円規模とみられています。

復興創生期間は2020年度までですので、2019年度は仕上げに入らなければなりません。明らかに復興期間を過ぎてしまう工事に復興予算が認められにくいためです。少なくても工事に着手しておく必要があります。

なお、市が震災後にスタートさせたDMO、水産資源活用研究、まちづくり協議会運営補助など新たな政策の多くが、限りある復興予算を財源としており、今後の事業継続と財源確保について市民を巻き込んだ議論が必要となっています。

【唐桑、面瀬で保育所整備着手】

新年度の注目事業は最後の別表にまとめましたが、子育て支援関係が目立ちます。3万円の誕生祝金支給、保育士確保、病児保育、それに唐桑と面瀬で認可保育所の整備に着手します。喜ばしいと思いますが、保育所整備はもともとの計画から遅れており、復興に目途がついてようやくという気がします。唐桑は2021年度、面瀬は2022年度の開園を目指します。

保育所整備は、消費税引き上げに合わせて10月からスタート予定の幼保無償化に向けて急がなければならない政策です。保育料が無料なのに、子どもが預けられないという不公平は避けなければなりません。そういう意味では、1人3万円の誕生祝金を支給するくらいなら、低年齢児を主体に40人以上もいる待機児童の解消にもっと力を入れなければならないでしょう。

【消費税増税で割増し商品券も】

消費税増税に合わせて、影響緩和と消費喚起を目的にまたもプレミアム付き商品券(低所得者と子育て世帯に2万5千円分を2万円で販売)が販売されます。対象者は約1万6千人ですので、販売総額は約4億円。このうち8千万円がプレミアム分として国から補助されます。国策なので改めようがありませんが、総額約8千万円の割増しのために準備などのコストが4千万円かかってしまいます。

【クルーカードで健康ポイント】

新規事業では、健診や健康セミナーに参加した市民への健康ポイント事業、階上への市民農園整備、老朽化した新月公民館の建替えに注目しています。

健康ポイントは気仙沼クルーカードに付与されますので、加盟店で利用することができます。クルーカードは観光客の動向を調べるためにスタートしましたが、市民サービスへも発展することになり、そのシステム利用費の値下げについてカード会社と調整しています。新年度にはキャッシュレス化との連携にも取り組みます。クルーカードの仕組みについて知りたい方は2017年4月のブログをご覧ください。

市民農園はお伊勢浜に近い杉ノ下地区高台(津波避難タワー付近)へ整備します。区画数は仮申し込みで決めますが、1区画は5m×5mで年間3000円で貸し出します。開園は2020年3月の予定です。

新月公民館は地域要望で体育館が加わり、当初2億3千万円と見込んでいた総事業費は1.6倍となりました。新年度は埋蔵文化財調査と地質調査を行い、2020年度の完成を目指します。

【ゼロベースでの見直し】

復興期間終了後の厳しい財政運営を見据え、新年度予算の編成に当たり、市は事業と事務をゼロベースで見直しました。対象としたのは全ての事業794件、事務2337件で、このうち事業342件でヒアリングを終え、73件を見直し、19件を廃止することにしました。

当初予算には1800万円ほどの削減効果が反映されたと説明されました。詳しくは一覧表をご覧ください。


新年度予算のポイント

事業名・概要 予算額 内容
総務費  

市政情報等番組制作及び放送業務

 

2111万円

コミュニティFMに1831万円(日~金曜日に1日90分)、ケーブルテレビに280万円(月~金曜日に1日10分)の放送を委託。FMへの支援は開局した2017年度からから5年間で、財源は復興基金。2020年度からは経営状況によって縮減を検討する

 

市役所インターンシップ 68万円 優秀な人材を市役所に確保するため、大学2・3年生就業研修を受け入れる。時期は7~9月で、20人が5日ずつ。

 

地域おこし協力隊事業 6266万円 隊員15人の報酬、受け入れ業務委託の費用。隊員は水産資源研究、DMO、まち大、まるオフィス、地域エネルギー、モーランド本吉に配置

 

まちづくり等の担い手人材育成 1427万円 復興支援員制度を活用し、ぬま塾、ぬまトーク、ぬま大学、高校生マイプロジェクトアワードの開催を業務委託。財源は震災復興特別交付税

 

生活路線バス運行業務委託 1億3280万円 路線バス7路線13系統、乗合タクシー4路線8系統、市民循環バス1路線2系統を運行する。一般財源は8936万円

 

民生費 誕生祝金支給 968万円 少子化対策と子育て支援のため、4月以降に生まれた子の保護者に3万円の商品券を支給する。年間見込みは320人

 

 

保育士確保対策

 

350万円

待機児童の解消を図るため、市内の保育所や幼稚園に新規就職した人へ10万円、移住(UIJターン)の場合は移住費用として10万円を助成する。この事業とは別に、奨学金返済の支援制度(年10万円)もある

 

 

病児保育

 

439万円

保育所の児童が保育中に体調不良となった場合に、専門的に対応する看護師を雇用して配置する事業に補助する。保育所版の保健室のようなもの。新年度は私立認可保育所1施設が予定。この事業とは別に、鹿折こども園でも病児保育がスタート(臨時職員としての看護師雇用に400万円)する

 

(仮称)唐桑保育所整備 1900万円 唐桑保健福祉センター「燦さん館」の近くを予定。新年度は設計業務と地質調査、2020年度は建築工事と外構工事を予定。財源は過疎対策事業債(7割が交付税措置)

 

(仮称)面瀬保育所整備 5719万円 新年度は面瀬公民館隣接の用地取得と地質調査、造成設計、2020~2021年度に造成工事、設計業務、建築工事、外構工事を予定。財源は過疎対策事業債

 

 

プレミアム付商品券準備

 

3473万円

10月の消費税引き上げに合わせて2.5割増し商品券を発行。低所得者、0~3歳児がいる世帯へ2万5000円分を2万円で販売。1万6100セット、約4億円となる見込み。対象者には通知する。利用店は募集。30年度補正予算と合わせて約4000万円の準備経費となる。プレミアム分約8000万円は6月補正予算に計上予定

 

衛生費  

健康ポイント

 

488万円

健診、健康づくりイベント、体力アップセミナーに参加した市民に健康ポイントを付与。気仙沼クルーカードを活用する。国民健康保険特別会計でも441万円の事業費を用意した。実際のポイント付与分は事業費の約4割

 

農林水産費  

市民農園整備

 

78万円

市民の農業に対する関心を高めるとともに、健康増進と生きがいづくりを目的に市民農園を整備。場所はお伊勢浜海水浴場近くの高台(避難タワー付近)。1区画5×5mを年間3000円で貸し出す。整備面積はプレ申し込みをもとに決める。2020年3月に開園予定。

 

気仙沼漁港地域防災・減災計画策定 750万円 大規模災害発生時に水産物の生産・流通機能を早期再開させるために必要な事前対策や役割分担を検討し、事業継続計画(BCP)を策定する

 

 

水産資源活用研究会補助金

 

2000万円

水産資源の多角的利用を目指した取り組み。2014年度から6年間で累計7750万円を補助。財源の半分を依存している地方創生推進交付金が新年度で切れるため、販売に力を入れて新規財源獲得による自立を目指す

 

 

クッキングスタジオ運営経費

 

356万円

新魚市場2階に整備したクッキングスタジオの維持管理、料理教室開催経費などを計上。魚食普及、観光と水産の融合も目指す。市が2年間直営しておぜん立てするため、水産課内に専任職員を配置。その後は指定管理とする

 

漁業共済加入促進事業補助金 819万円 新たに加入した漁業者を対象に、初年度は自己負担額の3割、二年目は2割、三年目は1割を補助する。加入促進が目的で、継続補助とはしない。

 

商工費 本吉パーキングエリア休憩施設整備 1092万円 三陸道本吉PA内に軽量鉄骨造39㎡の休憩施設を整備。観光情報の発信などに活用する。オープンは6月。今後、物販施設も運営者が見つかれば整備する方針

 

気仙沼観光推進機構事業補助金 1億189万円 観光コンベンション協会や気仙沼推進機構の運営、クルーカード発行、有料ガイド育成、観光関係者の海外視察などに充てる

 

創造的産業復興支援事業費補助金 3003万円 市内で起業または地域資源を活用して新事業を展開する事業者に、経費の二分の一以内で50万~1000万円を補助する

 

教育費  

スクールバス運行

 

1億3219万円

学校統合に伴う7路線、震災関連1路線の通学を確保。計196人が利用する見込み。1人当たりの経費は年67万円。統合に伴う国庫補助は小学校5年、中学校3年で終了する。今後、一般財源からの負担が増えるため、コスト削減策を検討する

 

 

新月公民館新築整備

 

3635万円

老朽化した新月公民館を新月中学校付近に移転整備。新年度は埋蔵文化財発掘調査と地質調査、設計、2020年度は建築工事、現施設解体などを予定。地元要望に応えて体育館を整備するため、総事業費は当初見込み2億3000万円の1.6倍となる。体育館整備は「日常生活の中で生涯にわたりスポーツに親しむ環境づくりのため」

 

災害復旧費 中央公民館災害復旧 6008万円 新年度は地質調査と実施設計、2020年度に建設工事などを予定

 

 

市営野球場災害復旧

 

853万円

仮設住宅の撤去に伴い、球場再開のために事務室と本部席の天井改修、メインスタンドのモルタル防水などを行う。夜間照明やバックネットなどすべて改修すると2億3200万円となるため、野球関係者と優先順位を協議する

 

 

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