一般質問で病院、防災、教育を議論【気仙沼市議会2月定例会報告①】

1カ月に及んだ気仙沼市議会2月定例会が終わりました。議案審議や一般質問など議論のポイントをまとめましたので、4回に分けて市民の皆さんにお伝えします。

1回目は私の一般質問です。

今回は会派代表質問がありましたので、これまでの答弁後の対応、そして震災8年の節目に合わせて防災について質問しました。特に津波浸水地で再建した事業所の避難対策について議論をスタートさせました。

私の一般質問は、まずは課題を投げかけて市当局の考えを聞き、次の回にその考えに対して議論を掘り下げ、さらに市の対応がどのように行われているかチェックする手法を取り入れてます。

【救急のコンビニ受診に特別料金を】

今回の質問の成果としては、市立病院に導入を提案していた選定療養費について、新年度に市民説明会を行うということを確認したことです。選定療養費は紹介状のない患者から初診料を特別徴収したり、緊急性のない時間外診療(救急外来)を受けた場合に特別料金を加えたりする制度です。

導入により、診療所と大規模病院の役割を分担することができ、市立病院は高度な診療、手術や入院に専念できます。この制度導入を提案したのは、市立病院が本来の機能を果たせない心配があったからで、そのことは病院自体もホームページ(気仙沼地域の救急医療は本当に危機的状況にあります)などで訴えてきました。

今回の答弁により、導入の課題も浮き彫りになりましたが、市立病院を気軽な医療機関として課題を先送りするのか、本当に困っている人を助ける二次医療機関とするのか、選定療養費導入の是非をめぐる議論の中で考えてほしいです。

【高校の在り方を議論する組織設置】

今回で三回目の議論となった高校の在り方については、ずっと求めてきた議論の場がようやく実現しそうです。新年度には県教委主導で高校の在り方を議論する場を年2回程度開催することになり、それに加えて市としても議論の場を用意することを確認できました。

県内で圏域でも気仙沼・本吉地域の生徒数減少は著しく、対応が後手になると、鼎が浦、気仙沼西が統合されたように、数合わせの統合ばかりが進んでしまいます(詳しくは2017年10月のブログまたは気仙沼復興レポート⑤被災地の高校教育環境)。登米や大河原では、統合によって新たな高校をつくり、地域の課題解決を目指しています。そのためには県教委主導ではなく、地域が立ち上がらなければなりません。

課題はその議論をリードしていく人材です。その課題を解決するためには、高校の在り方、人口減少と少子高齢化、若者流出、産業構造などについて市民の間でもっと議論していく必要があります。そのため、統計分析係の役割についても議論しました。

※下表は本吉地区の中学卒業者数の推計です

 【震災8年。防災を再考しよう】

今回特に力を入れたのは、防災に関する議論です。

市が7年がかりで作成した震災の記録集と検証報告書が、ようやく年度内に完成します。市民と職員450人から聞き取ってまとめた大作ですが、残念なのはそれぞれ300部しか発行しないことです。もちろん、市のホームページで公開されますが、せっかくの記録をたくさんの人に見て、教訓を語り継いでほしいものです。

福島県いわき市では販売用に5000部を用意し、1冊1000円ですでに半分が売れています。岩手県釜石市では教訓集として全戸に配布しました。菅原市長がその必要性を認めて「検討する」と約束してくれましたので、まずは完成品を見たうえでこの議論は継続していきます。

 

【災害危険区域見直し検討は6月に対処方針】

防潮堤計画の変更などに合わせて、市は年度内の災害危険区域の津波シミュレーションを再実施します。その結果を受け対処方針は6月までに示されることになりました。

【浸水想定域の事業所避難は】

最後に時間をかけて議論したのは、災害危険区域内で再建した事業所の津波避難についてです。

震災では、事業所の管理下にあったため、指示が出るまで避難を許されないというケースもあり、市としても特別な対応が必要です。

市の答弁では、事業所向けに研修機会を提供していくほか、現状調査も行う考えが示されました。「100回逃げて津波が来なくても、101回目も逃げて」という教訓の通り、避難しても津波が襲来しないことは何度もあります。それでも避難するためにどうすればいいのか。魚市場に水揚げされた魚は、お店だったらお客さんはどうするか、商品は…。それぞれの事業形態によって、心置きなく逃げるための検討が必要なのです。

この議論も始まったばかりで、私自身も答えは持っていません。それでも、向き合わなければならない課題ですので、調査内容や結果などについてさらに議論を続けていきます。

一般質問の詳細は下記の通りです。次回からは議案や予算の審議で分かったことを報告します。


今川悟の一般質問 2019.2.27

1.これまでの提言への対応と政策の成果について                     

年度末にあたりまして、これまで一般質問で議論したこと、市が取り組んできた政策の成果など次3点について確認します。

【質問1】 市立病院の救急医療体制を維持するため、昨年6月定例会で議論したところ、市からは広報を強化するほか、病院の機能を明確にする「選定療養費」の導入を検討していく考えが示されました。その後の取り組み、今後の対応とスケジュールを示してください。

菅原市長 市立病院の救急医療体制維持のため、広報の強化と病院機能を明確化する選定療養費の導入については、院内会議でその必要性をあらためて認識し、導入に当たっての課題を整理しているところです。その中では、病院側としての受入態勢の確保はもとより、地域の医療機関との連携や市民への周知が重要と捉えています。

このため、来年度には宮城県地域医療計画における当院の役割、救急医療の実態、選定療養費の必要性などをテーマとして、病院独自に市民説明会を行うことを計画しています。

開催時期や会場等は未定ですが、当院の実態や考え方を説明し、市民の方々の意見を広く聞き取り、今後の病院運営に役立てていきたいと考えています。併せて、病院ホームページの更新等を随時行い、市民の方々への広報はもとより、医師や医療技術者、看護師等の確保にも努めたいと考えており、取り急ぎ、研修医・専攻医向けのパンフレット作成とホームページ作成を予定しています。

なお、選定療養費の導入時期については、計画中の市民説明会や病院事業審議会での議論を踏まえ、その後の対応になるものと考えています。

今川 選定療養費の対象には「紹介状のない初診」と「緊急性のない時間外診療」がありますが、どちらの導入を検討しているのですか。

菅原病院事務部長 院内で検討しているのは、初診料と時間外診療の両方です。

今川 新年度に説明会ということですが、検討項目としては金額、導入する科、他の医療機関との話し合いなどいろいろあると思いますが、どんな項目を検討しているのですか。また、現段階で方針が決まっているものがあれば示してください。

菅原病院事務部長 検討項目はさまざまあり、まず一つに考えなければならないのは、選定療養費の必要性を住民の方、そして地域の一次医療を担っている医師会等々に理解を頂き、協力を頂くことが大前提になると思います。そのうえで、当院にしか診療科がないというところもあり、すべての診療科で例えば初診料を頂くのか、それとも当院にしかないものについては初診といいましてもここでしか診られないので除いていくのか、あとは金額についても高いところだと5000円に消費税、安いところでも2000円くらいに消費税という形になっており、どのあたりで検討するかを考えていきますが、現時点で決まっているものはありません。

今川 説明会はそこまで詰めての説明になるのでしょうか。必要であるかどうかだけの説明会になるのかどちらでしょうか。

横田副院長 説明会は私が出向いて説明したいと考えています。市民の方に対しては新たな負担を強いることになのます。選定療養費がなぜ必要なのかの説明から入ることがやはり理解をしていただくことになります。国の進める医療分担政策、病院への患者集中を是正することで、機能的に初期診療は診療所、専門医療は病院でという考えが1994年に改正医療法で示されています。具体的には紹介状がなく200床以上の病院を受診すると、選定療養費として別途徴収金が生じることで分担を進める政策と理解しています。国は平成28年に500床以上の病院には徴収を義務化し、昨年4月から400床以上も義務化しました。このような流れを受けて、全国の300床以上のほぼほぼすべての病院で選定療養費を導入しています。

考えなければいけないのは当地方の医師の充足率の問題です。気仙沼地域は10万人当たり121人の医師しかいません。全国平均が230ですので、半分近い、だいたい6割前後の少ない医師で何とかやっています。そういう中で機能分担が果たして正しい考えなのかということです。あと仮に選定療養費が導入されると、当院の現場では患者数が数年後には減っていくと思います。いまの1日の外来患者数は980人ほどですが、同規模の病院では600人くらいが適正と考えていて、どう考えてもこれは多すぎます。いろいろな弊害が起きています。待ち時間であったり、説明時間が足りないということです。選定療養費が導入されると、いまの外来数がおそらく数年後には800人くらいまで減るだろうと、そうすると一人当たりの医師の外来患者数が20人を切ってくるので、待ち時間は30分くらい短縮できるのではないかと、それと紹介状をもとに診療情報をあらかじめ整理されていますので、その次の検査・治療が非常に効率的に行え、これは医療の質の向上につながります。それと、丁寧に患者さんの話を聴く時間が生じれば優しい医療ということになります。

ただ、患者さんは病院を受診する際、いままでは何かあったら市立病院という流れがある中で、病院を受診する前には開業医を受診しないといけないということや、自分の都合に合わせて気軽に当院を受診する、あと紹介なしで受診すると2000~5000円の経済的な負担が生じるということは、患者さん、市民にとっては痛手ですので、果たして理解が得られるか。それは地域を回って意見を聞きながらということになるかと思います。

今川 前回この質問をしたのは、震災前に「気仙沼地域の救急医療は本当に危機的状況にある」と訴えた取り組みがあったからです。そのときも先生たちが地域に出向いて直接住民とお話ししましたが、やはり実態をいかに伝えるかということだと思いますので、おっしゃた通りなぜ必要なのかを訴えてほしいです。ぜひお願いしたいのは、市民からすれば何でもやってくれる病院を期待してしまうのですが、本当に困っている人を救う病院として守らなければならないということですので、他市町との比較をお願いしたい。県内の同規模の病院ではここしか選定療養費を導入していないということですので、ほかの状況も説明して、市立病院の本当の役割について説明してください。最後に、市民説明会では病院審議会の報告もあるのか確認します。

菅原病院事務部長 審議会の審議状況等の報告について、市民説明会の中で行うかどうかはまだ検討していません。というのは、選定療養費の問題であったり、当院の役割であったりという説明をしていく中で、市民とさまざまな意見交換をしたいからです。こちらから一方的に説明するのではなくて、ご意見を頂戴したいということもありますので、さまざまなものを盛り込んでしまうと、説明で終わったとならないように注意したいと考えています。

今川 市立病院に対する市民の期待は大きいので、そこで出てきた意見に対する回答等はしっかり広報等でPRしてもらい、これをきっかけに市立病院に対して理解が深まるようにお願いします。


【質問2】 急激な少子化によって統廃合が避けられない地元の高校の在り方について、官民で議論するための組織立ち上げを昨年6月定例会で再度議論したところ、「県教委の高橋教育長から30年度中にプレ意見交換会か本格的な組織になるかは別にして、話し合いを一緒にやらせていただきたいとの話を頂いている」と答弁がありました。その後の対応と今後の見通しを示してください。また、小・中学校の再編議論を通して、高校だけでなく、小・中学校を含めた気仙沼ならではの魅力ある学校づくりについて、市民とともに考える時期が来ていると思いますが、義務教育環境整備計画の進め方と合わせて市の考えを伺います。

齋藤教育長 地元の高校の在り方について、官民で議論するための組織立ち上げについてですが、教育委員会としましては、当地域における高校の在り方について懇談する場の設定を県と調整してきましたが、実現には至っていませんでした。しかし、今年に入り、県教委から新年度に県立高校の今後の在り方に係る懇談会を年2回程度開催したいという提案があり、市としては、教育委員会以外の職員のほか、生徒の進学や進路の指導に関わった経験がある方、保護者またはその経験者、OB、OGである若い世代など、気仙沼・本吉地区のあるべき高校の構成に知見のある市民の方々にも参加いただける会を目指し、県教育委員会と協議していきます。

次に、高校だけでなく小・中学校を含めた気仙沼ならではの魅力ある学校づくりについては、義務教育環境整備計画を進める中でいただいた意見や市PTA連合会との懇談、ESDや海洋教育での実践など、多くの機会で得た情報を整理しながら、市の将来像「世界につながる豊かなローカル」にも通じる気仙沼らしい魅力を高める取り組みを進めていきたいと考えています。

今川 いまの答弁だとだいぶ後退した気がします。年2回程度の懇談会に市民も参加してもらうというのは最低限の方法です。少子化が急激に進む中で急いだ取り組みが必要だというところから議論してきて、それならば県教委を待たずに市の方でも取り組んでみようという答弁があったと思うのですが、年2回のペースで実態に対応できる結論を出せるという考えでいまの答弁なのでしょうか。

齋藤教育長 年2回というのは県教委からの提案ですので、これから進めていかなければならないのは、県教委主導だけでなく、この地域の独自の会を立ち上げて広く意見を伺うという態勢で進めていきたいと考えています。したがって年2回ではなくもっと回数が増えていくと思います。

今川 そうすると県教委主導では年2回ですが、それにプラスアルフェして市の方でも部会なり別組織をやっていくということで確認してよろしいですか。NHKの番組で最近、海士町に気仙沼の方々が視察に行き、先進的な取り組みをしている高校を見てきましたが、その取り組みと今回の高校の在り方の取り組みは何かリンクしていくのでしょうか。別物なのでしょうか。

齋藤教育長 海士町との関りについて詳しいデータを確認していません。しかしながら当地域として考えていかなければならないのは魅力ある高校づくりは大切ですので、子どもたちが将来こういう職業に就きたいというときに、そういった科がなかったときにどういう状況になるのか、心配される課題もありますので、そういったことも含めて参考にさせてもらいます。

今川 もうちょっと関りがあると期待していたのですが、意欲がある方々がせっかく見てきたものをフィードバックしてもらい、これからの高校の在り方を大いに語ってほしいと思います。そういったメンバーがいるということは配慮して頂けますか。

菅原市長 海士町に特定する必要もないと思いますが、そういう意味で答弁を作成するにあたりまして、私も入って話をしました。OG・OBということを入れたのはそういう意味も含んでいると理解して頂きたい。市の危機感としては、小・中学校の統廃合とはまるで別な意味を持つと思っています。というのは高校は県内一学区になっているので、県教委がいろいろ学校再編をしようと思うと、つじつまとしてはどの人もどこへでも行けて、将来やりたい仕事の授業をできる形になっていている。そういうことだけではいけないだろうと高校の時点で市外に出るということは、その後の仕事と人生に密接に絡んでくると思いますので、よくよく吟味が必要と思います。

県から一つのまとまったものが出たときに、気仙沼・本吉圏域が唯一、10年間で3割の生徒が減少すると、ほかはマックス2割。そういうところにあって、しかしながら気仙沼高校と西高校の統合があったばかりだということも影響していると思いますが、当座の5年間は動かさないということも見えたわけです。という中で、今回、県の方であらためて会を開きたいと言ってきたことについては、次の5年間はということにつながるととるべきだと思っています。そういう意味で気仙沼・本吉地域において、高校生の皆さんがなるべく地域において自分の進路を全うできるように、希望のところに行けるような形を目指すべきと市当局は考えています。その形としては広く現在現場にいる人たちの意見、またはその経験をした人たちの意見を聞けるような状況をつくらなければいけない。そういう意味で、教育長から答弁あったいろんな方たちに入ってもらいましょうと、これは県教委がそのままハイ分かりましたというかどうか、必ずしも楽観はしていません。しかしながら、問題意識はそういうところにありますので、市としてもバックアップしていきます。

今川 市長のおっしゃる通りと思いますが、教育問題だけではなく、人口減少とか愛郷心とかいろんなものに高校は影響するので、さっきのメンバーに教育関係者はいたのかもしれませんが、まちづくりとか市長部局の関わりが見えてこなかった。その関わり方を確認したい。

菅原市長 市当局としてまちづくりの観点や産業の観点から何らかの意見を言っていく必要性は考えていますので、メンバーに市職員も入るように協議に加えて頂きたいと思っています。

今川 小・中学校の再編は、第三段階の対象校でも複式学級が想定されるところは地域懇談会へ入っていくという話ですが、具体的な対象校を説明できますか。

熊谷学校教育課長 平成31年度の児童数はほぼ確定しているので、その部分についてはお答えできますが、その後の児童生徒については引っ越しによる転入・転出等があるので、確定できないのでお答えできません。平成31年度については複式学級が予想される学校は小学校1校です。また、数からすれば複式学級に該当するものの、複式学級については2学年足して13人以上いれば複式解消加配で解消するための先生が加配される制度があり、それによって複式学級の対象であるが何とか免れる学校は2校です。

今川 学校名は答えられませんか。

熊谷課長 現時点ではしっかり検討していませんので、この場で公表することは控えたいと思います。

今川 それでは、どのタイミングでどのように公表するのですか。

熊谷課長 第三段階に入っているが複式の可能性があるという学校について、どのタイミングで説明または懇談会をするということについては、まだ決まっていないのでいまは明らかにできません。


【質問3】 震災復興・企画課内にあった「統計係」を平成30年度から「統計分析係」に改称しましたが、その理由をはじめ、活用例と成果を説明してください。また、統計や各種データを分析し、庁内の政策形成に活用するだけでなく、地区別・行政区別の将来人口推計を地図上に色分けして可視化するなど、人口減少や少子高齢化の実態と影響などについて地域や市民へ積極的に情報提供していく役割も求められていると思いますが、市の考えを伺います。

菅原市長 統計分析係の役割についてですが、本市の施策推進に際し、客観的根拠に基づいた政策立案を行うため、昨年4月、これまでの統計係から統計分析係に改称し、統計調査業務に加え各種統計資料及びデータベース等の分析業務を行っています。

今年度は基幹統計である工業統計、住宅・土地統計、漁業センサスの各調査業務を実施しながら、地区別・行政区別の高齢化率・年少者率について分布図を作成し、まちづくり関係団体と共有を図ったほか、各種統計調査結果の分析を行ったり、総務省や県等が行うデータ分析研修に積極的に参加したりしました。

今後は民間が行うランキングデータや他自治体の統計データ等を比較しながら、人口減少・少子化の対策を探るととともに、市が保有する情報のオープンデータ化を検討していきます。

なお、地区別または中学校区別の将来人口推計についてはすでに行い、数値データはできておりますが、これを地域や市民に分かりやすくする可視化の手法について検討していきます。

今川 だいぶデータが揃っているようで楽しみですが、オープンデータ化についてもう少し説明してください。また、他市町との比較も分かるのですが、庁内にも相当なデータが統計以外にもあり、例えば出生数について健康担当や学校教育で持っているデータがあるのに、すれが統計分析係に集まる仕組みになっていません。その仕組みづくりが必要です。

小野寺震災復興企画課長 オープンデータは行政が保有している情報をオンライン上で加工できる情報として公開する取り組みで、先進自治体があり、国もその方向性を進めるということですので、本市も積極的に取り組みたいと思っています。現在でも統計分析係でまとめている統計書のデータは加工可能な形で公開していますので、その部分だけはオープンデータ化になっているのですが、オープンデータ化の部屋みたいな形のものを設けて、行政で持っているデータを二次加工できる形のものとして公開していきたいと思っています。その折に、健康や教育、水産産業も含めてのせられるものは検討していきたいと思います。

庁内のデータ集約については、オープンデータ化でエリアを設ければ集まる仕組みはできると思いますが、すべてのデータをどのように分析して政策に生かせるかということになると、膨大な業務になりますので、行政がいま主として行おうとしている方向性に合ったものは優先的に分析してきたい。具体的には地域づくりの活性化に役立つものであったり、人口減少対策に役立つものであったりといったところをまずもって優先するべきものと考えています。

今川 できれば活用の前に、どんなデータがあるかということは統計分析係に集約してもいいという考えでした。特に驚いたのは、去年生まれた子どもの中で、第一子、第二子、第三子の割合のデータでした。そういうデータも統計分析係に入ってきて、クロス集計することも検討してほしい。毎年出している統計書の活用も課題で、この中には市内でのお酒の販売量、自動車の数、交通量とかいろいろなデータがあるが、それが公営住宅のアルコールの問題などに生かされているかというと、そこまで共有できていないのではないでしょうか。そういうところをアドバイスする役割をぜひ統計分析係で持ってほしい。データを集めるとともに、そのデータを関係する課に配布するという機能は持っているのですか。

小野寺課長 現在のところは地域づくりの活性化につながるデータは企画部内で情報提供・共有はしていますが、いまお話の健康づくりとか産業系への提供についても、統計書をまとめているのは統計分析係ですので、その中にどんな情報がどんな形で入っているかは把握しており、参考となる部分は庁内で活用できるように共有していきたいです。


2.震災検証と事業所の防災について                      

震災から8年を迎えるにあたり、震災の記録と検証、沿岸で再建した事業所の防災活動が一層重要になっていますので、次の3点について説明を求めます。

 質問1】 東日本大震災の市の対応について、災害記録誌として年度内にまとめることにしていました。完成した記録誌の配布方法、一般向け販売の有無、概要版の作成、活用方法について伺います。また、新たに復興の記録誌づくりに着手するため、昨年の6月定例会で「予算確保を指示している」と答弁しましたが、その後の対応を説明してください。また、次の災害の被害を抑えるため、記録にとどまらずに検証も行うことが期待されますが、市の考えを伺います。

菅原市長 災害記録誌については現在、東日本大震災時の災害対応の実態と課題、教訓を後世へ継承するため、個々の現場での経験を取りまとめた「記録集」と、客観的に災害対応業務の実態とその課題を検証する「検証報告書」を作成しており、本年度内の完成を予定しています。

完成した記録集と検証報告書は、それぞれ300部ずつ印刷することにしており、配布方法は記録集のヒアリング調査に協力いただいた市民、民間事業者、防災関係機関、市議会議員及び他自治体等へ配布するとともに、市ホームページ上でも閲覧できるようにする予定です。なお、一般向け販売及び概要版の作成については、現在のところ考えていません。

活用方法については、市の災害対応能力の向上と体制の強化に向け、その基礎資料として活用するほか、今後同様の大規模災害が想定されている地域の災害対応に役立てていただければと思います。

また、復興の記録誌は、集中復興期間及び復興創生期間の10年間の本市の歩みをまとめるものとして、新年度から編さんに着手したいと考えていますが、当面は資料の収集などの準備作業を行いますので、当初予算には特に計上していません。今後、必要に応じ、適宜予算を確保していきますが、その財源としては復興交付金の活用を想定しています。

今川 記録誌は平成24年から7年かかりで完成させることになるが、当初は防災計画の見直しに活用するための検証でした。それがヒアリングする相手も増え、震災そのものの記録になってきました。残念なのは300部だけの印刷で、ホームページで公表するとのことだが、これだけの力作をできるだけ多くの方に見てほしいと思います。いろいろ調べてみると、いわき市では5000部を販売用に用意して1000円で販売し、5年で2500部を売った。いまも毎年100部以上が勉強用、観光客用として出ている。ホームページで膨大な量を見てもらうより、概要版でも構わないので販売用の印刷を検討してほしいです。

庄子危機管理監 現在、業務委託の中で記録集と検証報告書を作成しており、その仕様の中では300部で動いている。記録集は職員200人、民間の方々150人の協力で記録集をつくったので、300部のうち150部は協力してもらった人に配り、残りは庁内各課、公民館、図書館、出先機関等に配布して備え付けると考えています。従いまして、この業務の中で増刷したり、概要版をつくることは現在のところは考えていません。

今川 現在の業務でできないことはわかりますが、せっかくつくったものをたくさんの方に見てもらいたい。そもそもは同じような被害を繰り返さないためにつくったので、たくさんの人に見てほしいのではないか。釜石市では販売せずに、市民向けに教訓集を作成して全戸に配布しました。そこにはてんでんこに逃げろ、率先して避難しろということが書いてある。検証して分かったことを市民にフィードバックした。今回の事業はこれで終わるにしても、将来的に販売したり、概要版を市民に配ったりということを考える余地はありませんか。

庄子危機管理監 概要版は検証報告書が完成した段階で、仮に作るという方向性になれば、どのようなものが作成できるか検討していかなければならないと思っています。販売については、現段階では考えていないことが実情です。

今川 ホームページにあっても存在が分からなければたどり着かないので、概要版なり芽に触れることが大切だ。特に気仙沼市は震災遺構の指定管理に年間5000万円以上支出するなど防災に力を入れていくのだから、記録誌が300部しかなくて、ホームページでしか見られないというのは残念です。市長の考えを伺います。

菅原市長 できた内容をよく見たうえで、そこからどう皆さんにお伝えする形にするか、そのままということも抽出ということもあるでしょうし、それが釜石の冊子だと思います。そういうことはしていかなければならないと思います。というのは、震災遺構においてもそういうものがきちんと並んでいて、ほしい人にありませんということは言ってはいけないと思います。その対応という意味合いも含めて検討します。

今川 実費販売でも構わないので、多くの人に見てほしいと思います。これから10年分の歩みのまとめに着手するということですが、釜石市では検証委員会を市民や専門家を交えて設置した。気仙沼市は危機管理課が主導して今回はまとめましたが、次は市民参加で進めるということは検討していますか。

小野寺震災復興企画課長 構成、プロセスはさまざまな事例も見ながら、これから考えていきます。釜石の例もあるし、阪神淡路では10年史、20年史をつくっている例もありますので、それはそれで検討していきます。

今川 分かりました。まずは年度内に完成する記録集を拝見してからにします。


【質問2】 災害危険区域のための津波シミュレーションの再実施について、事業費を平成30年度に事故繰り越していましたが、現在の状況と結果の公表、今後の対応とスケジュールを示してください。また、この結果の影響を受ける可能性がある住宅再建の支援策について、どのように調整していくのか説明してください。

菅原市長 災害危険区域のための津波シミュレーションの再実施についてですが、一部未確定の防潮堤があることから、仮設定の箇所を含んだものとなりますが、現時点で可能な限り最終形に近い防潮堤等の構造物や地盤隆起を反映させた設定データを作成しているところであり、これを基に市全域のシミュレーションを3月末までに完了させることにしています。その後、本シミュレーション結果、実浸水範囲及び復旧・復興状況を総合的に踏まえ、災害危険区域見直しの有無を含めた対応方針を6月までにお示ししたいと考えています。

なお、シミュレーション結果の公表については、津波解析モデルは完全には実浸水域を再現できないとされていることから、差異の扱いについて、学識経験者の見解を頂くなどして判断したいと考えています。

また、住宅再建の支援策については、災害危険区域を変更する場合、すでに再建した方々が不利益とならないような方策について、財源等を勘案しながら検討していきます。

今川 6月までに対応方針を示すということと、シミュレーション結果そのものは専門家と相談してから公表するということだと、別々になってしまうのですか。

菅原市長 3月末に出るデータだけのものを示すのは、混乱を招く恐れがあるということは、今現在の我々が得ているシミュレーション結果からの予想です。6月までに対処方針を示すときに、データが何もなくてということに説得力があるかというと、それは苦しいというか、良くないと私は思っています。シミュレーションはこうなったけど過去のデータはこうだとか、ここはこういう風に考えましたという注釈も各地域につけていかざるを得ない状況だと思います。

最初の設定とはある程度のずれがあると思いますので、それが科学的にお話しできる部分と、防災の点でこう考えましょうということを加味して災害危険区域は最終的になるのだと思います。データだけで判断していくことにはならないと思いますので、そこを合理的に説明できる形にして、6月に示せればと思っていますけれど、そのときにデータを一つも見せないでということは実際はできないと思います。

今川 6月に示されるということですので、それを見てからまた議論させてもらいます。


【質問3】 災害危険区域内で事業所の再建が進む中、津波避難対策の強化が求められています。住民自治組織による避難訓練や避難マップづくりとは別に、災害危険区域内、特に避難困難地域の事業所に対して防災対策の啓発と指導はどのように行っていますか。そもそも、災害危険区域内で働く人の数を把握していますか。また、経済・産業団体との連携、経営者や働く人向けの研修機会の提供についても伺います。東日本大震災では、事業所の判断によって働く人たちが逃げ遅れた例も少なくありませんでしたが、その教訓を市はどのように考えているのか説明してください。

菅原市長 災害危険区域内の事業所に対する津波避難対策の強化についてですが、防災対策の啓発と指導については、震災後、東日本大震災の浸水区域を基本とした地区津波避難計画を策定しており、地区内各事業所等に配布しているほか、市ホームページへ掲載し、事業所等の避難計画の検討や市津波総合防災訓練等に活用していただくよう周知に努めています。

なお、災害危険区域内で働く人の数は現在、把握できていませんが、今後、災害危険区域内に再建している事業所の現状を調査するとともに、事業所に対し、地区津波避難計画の周知を行うほか、復興の進捗により、宮城県が新たに作成する津波浸水想定区域図を踏まえ、事業所、学校、地区住民の方々とワークショップを開催しながら、事業所のみならず、観光客や来訪者を意識した津波避難計画の見直しを進めていきます。

また、経済・産業団体との連携、経営者や働く人向けの研修機会の提供については、今後、関係部署や東北大学災害科学国際研究所等と連携を図りながら、津波避難対策とともに事業継続計画(BCP)等に関する研修会の開催も検討していきます。

なお、本市としては、震災の津波避難の教訓として、地震による大きな揺れや津波警報・注意報が出たら迷わず自らが率先して避難の行動に移り、周囲の人にも同様の行動を促す「率先避難」や「声かけ」を行うことや、日ごろから避難場所や避難経路を確認しておく等、家庭や学校、地域、職場内での災害の備えについて話し合いや点検等を行うことを通じ、市民の防災に対する意識を高め、津波死ゼロを目指していきます。

今川 それぞれの事業所には消防計画があり、その中には津波避難の計画が入っています。消防計画を所管する消防署との連携は考えていますか。

庄子危機管理監 消防計画は消防署に届出することになっており、今後は検証等する際には、連携するようにします。

今川 自宅や学校では避難場所が分かりやすいけれど、働いている場合は難しい。26年3月に策定した気仙沼市津波避難計画のアンケートでも、働いている人たちは津波の想定や避難所の情報を知らない人が多かったことが反省点としてわかっている。教訓について再度説明してほしい。

庄子危機管理監 教訓ということで、いろいろな事情があって避難できなくて命を落とした方が多数いたということが事実です。避難所がどこにあるのか、どのルートを行けばいいのか、学校や家庭、あるいは職場内で話し合いをして認識しておくことが非常に大切ではないかなという答弁をしました。

今川 私も避難するとき、率先避難と言いますが、管理下においてバラバラに逃げようとしたら業務命令だから勝手に行動するなと怒られている人もいた。事業所の管理下にある人たちと、率先避難は少し違うと思います。特に津波の危険区域で働いている方々は、工場とか組織だったところが多く、事業所の管理下にあるときの避難方法は別に考えなければならない。事業所における率先避難についてどう考えていますか。

庄子危機管理監 津波が発生する恐れがある場合、警報や注意報が出た場合、即避難してもらうことについては、事業の規模に関わらず一貫してこれまで申し上げてきた。避難の仕方は各事業所でそれぞれ考え方あるので、市としては平成26~28年にワークショップを開催した沿岸地域については地区の避難計画を作成しているが、復興が進んで土地の形、道路の形が変わってきたところもありますので、あらためてワークショップ等を開催しながら各事業所にも避難の在り方について啓発しながら、最終的には率先避難になるようにもう一度話をしていきたい。

菅原市長 基本的には一定程度の人数がいる事業所については避難訓練をしてもらうことが大事だと思います。常日頃から。その折に、バラバラに逃げましょうという訓練はないと思います。ですから、事業所としてはまとまっていて人数も確認しながら、一人も逃げ遅れを出さないという形がいいと思いますが、しかしながら、その事業所の全員がまとまらなければスタートできないということてばいけない。事業所のサイズや配置によって効率的なやり方があると思うので、そういうことを含めて必要だということ指導していかなければならないと思います。もうひとつ別なケースであったのは、お金を払わないと出られない飲食店のような場合はどうするか、それはレジやお店の人とかが率先して逃げるので、ほかの人たちもどんどん逃げてくださいと、早めの避難を誘導することができるということがあります。どちらかというと、この率先避難の言葉には、そちらのイメージが多くあると思う。ケースバイケースはあるが、間違った捉え方をされないように、ある程度例を示しながら指導することがいいのかなと思います。

今川 事業所の現状調査をするということですので、その調査の中でいまのような訓練をしているかどうかも調査してもらい、その結果をもってまた議論したいと思います。気仙沼市の津波避難計画には事業所の避難対策という項目があり、訓練、自動車避難の抑制対策などの課題がすでに出ているので、その課題に取り組んでいく時期に来ていると思いますので、調査と次回以降の議論の中で事業所の防災についてまた取り上げます。

2 Comments

  1. Kさん

    ご無沙汰しております。

    地元の医療機関に働いていて日々感じていることを書かせてください。

    病院に関してですが、市立病院が市民に求めるばかりで、一番大事な市立病は市民から何を求められているのか?
    その視点が全くないのではないでしょうか?

    先日もFacebookで書きましたが、当院で意識不明になった患者がいました。当院、整形外科が専門であり、念のために心臓などに異常が無いか調べた方が良いとドクターが判断し、市立に紹介しようとしたところ「意識を戻して大丈夫そうなら帰していいじゃないですか?」との返事が返ってきました。
    確かに重症化しているわけでなく、その時点では緊急性はありませんが、この対応には疑問が残りました。

    また、うちもそうですが、市内の診療所はドクターの高齢化が進んでいます。閉院が進むことで、市内の診療所で受診できる診療科の偏りが顕著になるのではないかと心配しています。

    特に深刻だなと考えているのが、小児科で、佐々木先も三条先生もご高齢で、小児科は全国的になり手がいないので、近い将来に市内の小児科がゼロになる可能性があります。
    産科も市内に診療所がなく(婦人科はある)、少子化に直結する一番大事な入り口の部分に不安を感じています。

    では、どうすれば良いかと言われれば、これは大変難しい問題で解決策もなかなか提示できないですが、

    また「本当に困っている人」と書いておりますが、その定義は大変に難しいと感じます。
    それは第三者にとっては大したことがなくても、当人達にとっては「本当に困っているだよ」「死ぬかもしれないだよ」と本気で思っていたりするのですね。
    とくに震災後の様々ストレスから、精神的に不安定になっている人が増えている昨今、病院に行く事で安心を得る人は少なくないと、現場で感じます。
    この街には、そうした心のケアを行う体制が足りないのではと考えています。そうした気軽に医療相談やカウンセリングをする場所が必要なのかもしれません。
    僕も実態をきちんと調べていないので、憶測でしか話せなくて申し訳ありません。。

    最後に少子高齢化が進む中で、この街に必要ではないかと思う資料をリンクしておきます。何かの参考になればと思います。

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits1996/3/3/3_3_51/_pdf

    Reply
    1. 今川 悟 (Post author)

      お久しぶりです。

      医療現場の実態を教えてくれてありがとうございます。

      正直、市立病院にはもっと頑張ってほしいのですが、根本的な問題は人材ですので、やれる範囲で改善していかないと、医師確保はますます困難になってしまいます。
      この質問の本当の狙いは、医療訴訟であった若者の死を防ぐためでした。

      原因はいろいろありますが、大きな一つは医師の余裕のなさです。選定療養費導入の是非はあると思いますが、導入を巡る議論の中で病院の実態を明らかにし、これからどうすればいいのか、みんなで真剣に考えることが真の目的です。

      その中で、地域の開業医の実態と今後の見通しも調査する必要性を感じました。これからの時代はいろいろな意味で「選択と集中」が求められます。何を優先するのか、もっと議論していきたいです。

      Reply

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