なぜ、少子化時代に待機児童が増え続けるのか【気仙沼の保育所事情】

気仙沼でも待機児童が問題となっていますが、なぜ少子化時代で保育所に通う子どもが少なくなっている中で、待機児童が発生するのでしょうか。気仙沼の保育所事情を解説します。

3月23日の気仙沼市子ども・子育て会議の報告では、認可保育所と認定こども園は11施設の定員664人に対して、入所する児童は592人(3月14日現在)です。しかし、希望する施設に入れない「入所保留児童」は26人もいます。このままだと「待機児童」になってしまいます。

※次の表は認可保育所ごとの新年度の児童数(3月14日現在)です。

【共働き増加? 0~2歳で待機児童発生】

原因は、0~2歳児の低年齢児の保育ニーズの増加です。0歳児は45人の定員に44人、1歳児は130人に104人、2歳児は104人に117人が希望しました。このうち1歳児では14人が入所保留になっていますが、鹿折や階上を希望しているのに定員がいっぱいだったり、受け入れるための保育士を確保できなかったりしているためです。

保育士1人当たりで担当できる子どもの数は、0歳児で概ね3人、1~2歳児は概ね6人、3歳児で概ね20人という基準があります。低年齢児の保育ニーズに応えるためには、保育士の確保、施設の整備が必要なのです。

なぜ、低年齢児の保育ニーズが高まっているのでしょうか。認可外保育施設を含めた1~2歳児の保育ニーズは2015年度で237人でしたが、2017年度は291人まで増えています。考えられるのは、女性の社会進出による共働き世帯の増加です。被災地の場合、世帯分離によって核家族化が進んだり、住宅再建の資金確保のために共働きが増えたり、復興特需で仕事も選べるようになったり、母親が働く理由が増えています。かつては子守りを任せられていた祖父母も定年延長などによって働いていることが多くなっています。

今では、0歳児は5人に1人、1~2歳児の3人に1人が保育施設に預けられている状態です。

求職活動のために保育所を利用できるように条件が緩和されたことも、低年齢児の保育ニーズが増えた要因の一つです。入所保留児童26人の保育希望の理由の内訳は、就労12人、求職活動11人、介護・看護、疾病・障害、妊娠・出産が各1人でした。年度途中に入所を希望するケースも多く、待機児童はさらに増える可能性もあります。

母親の産休はもちろんのこと、育児休暇をしっかりとれるようになれば、0~2歳の保育ニーズは低減されます。しかし、零細企業が多い気仙沼では、産休をとれずに退職するケースも珍しくないのです。低年齢児を保育施設で預かるための公費負担と照らし合わせて、民間企業の育児休暇取得を市が支援することも検討しなければなりません。

【保育施設の再編整備計画を見直し】

待機児童解消のため、2017年度に鹿折認定こども園が誕生し、新年度からは新生保育園の定員が10人増えます。市内の0~2歳児の受け入れ定員は3年間で26人も増えていますが、ニーズ増に追い付いてません。既存の保育所を再編して認定こども園を増やしていく再編整備計画がありますが、民間施設との役割分担、多様化しているニーズへの対応などを踏まえて新年度に見直すことになっています。8月頃に施設整備の方向性が明らかになる見通しで、2019年度から見直し後の計画を具現化していく方針です。

気仙沼の保育所でもう一つの課題は小規模保育所です。認定こども園の完成に合わせて統合する計画でしたが、施設整備を上回るペースで入所児童数が減少し、休所・閉所が相次いでいます。最近では、落合、水梨の閉所に続き、2017年度から前沢保育所(面瀬地区)が休所し、新年度からは小原木保育園も休園することになりました。

新しい施設ができないまま休所になると、子育て環境は悪化してしまいます。歩いて通えた施設が利用できなくなり、送迎の負担も増えてしまいます。気仙沼の子育て政策は後手後手になっているといわざるを得ません。出生数を大幅に増やすという目標を掲げている以上、抜本的な対策が求められています。

小規模保育所の運営費は年間8800万円です。単純計算で児童1人当たり190万円。保育料は月3000円から1万7000円です。人数が極端に少なくなっている中で、税金を子育て支援に効率的に使う方法をもっと議論しなければなりません。

※下の資料は子ども・子育て会議で配布された資料の一部です。

 

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