神山川堤防の署名に協力して頂いた皆様へ

【4712人の想いで計画見直しへ】

「津波に耐えた桜並木を守りたい」と、気仙沼市の市街地を流れる神山川の堤防計画を見直してもらうため、昨年4月に署名活動を行い、4712人の協力を頂きました。一度は地域が計画に合意し、工事契約が宮城県議会で承認されていましたが、昨年8月に県は説明会を再度開催し、地盤隆起の踏まえて見直すことを約束してくれました。下の図はそのときの説明資料です

【地盤隆起を水準点に反映】

今年2月に国土地理院が地盤隆起に伴う水準点の見直しを発表した後に、見直し計画の説明会が開かれる予定でした。春を迎えて桜が満開になっても音沙汰がなく、心配された方もいたと思われますが、いろいろと調整に時間がかかってしまいました。今月19日午後6時30分から、気仙沼中央公民館条南分館(条南中学校隣り)にて説明会の開催が県のホームぺージで発表されましたので、協力いただいた皆様に報告します。

【19日に見直し計画の説明会】

私が考えている説明会のポイントは次の通りです。

・地盤隆起によってどれだけ水準点が上がったか(水準点が上がるほど残せる桜の木が増えます)

・前回の説明会で5本程度とされていた桜を何本保存できるか

・署名を添えて要望していたコンクリート3面張り区間の短縮をどのように検討したか

・これから続く地盤隆起は随時反映されていくのか

銀河鉄道999の松本零士さんが神山川の桜並木をテーマにした絵本出版を発表するなど、時間の経過とともに桜保存への市民の想いは強くなっています。その一方で、近くに住む人からは「洪水が不安。早く堤防をつくってほしい」という声も少しずつ高まっているのも事実です。

署名活動(神山川の桜並木保存を求める署名用紙)は堤防に反対したのではなく、津波に対する安全を確保したうえで、できるだけ桜の木を残すことを主旨としました。説明会が対立の場にならず、建設的な話し合いの場になることを望んでいます。

堤防高を変えず、環境と安全は両立できる】

説明会を前に専門家の話を聞く機会に恵まれました。神山川の堤防問題を知った九州大学大学院の島谷幸宏教授が、気仙沼を訪ねてきてくれたのです。

島谷教授は、国交省が設置した「河川・海岸構造物の復旧における景観検討会」の座長を務められた方です。この検討会の議論に基づいて、景観に配慮するための手引きがまとめられています。

状況を説明しながら神山川を見てもらいましたが、緑豊かな景観をとても気に入ってくれました。そして、「いまの技術なら、環境と安全を両立することができる」と教えてくれました。そもそも、津波が直撃する海岸防潮堤がレベル2津波でも壊れないようにする「粘り強い構造」が、河川の上流まで適用されていることを問題視していました。

【コンクリート3面張りは過剰なのか】

神山川の堤防は、矢板の上にコンクリート基礎を築いてから盛土し、さらに厚さ50センチのコンクリートブロックで覆う構造です。これは海岸防潮堤と同じ構造で、重いコンクリートを乗せるために矢板を打ったり、深さ3mもの地盤改良までしなければならなかったりしているのです。

島谷教授には、東日本大震災で神山川の土堤を越流した津波の映像を見てもらいました。レベル2津波でも土堤が壊れず、川の中の木柵さえ無事だった状況を確認して、「コンクリートブロックはやりすぎ。現在より少し強化すればいい」とアドバイスしてくれたのです。「粘り強い構造」は1m以上の越流にも耐えられるように設計されており、神山川には過剰の構造だということでした。

ただし、堤防高を下げることは住民の不安を招くため、堤防の構造を工夫することで、津波や洪水に対する安全と、桜並木などの環境を両立することがポイントだそうです。そのために専門家による検討組織を設置するのなら、協力してくれるという話も頂きました。時間的に厳しいかもしれませんが、復興の教訓は「急がば回れ」です。後悔しないためにも、安全と環境を守る方法を考えたいものです。

【全区間完成まで再考の時間を】

ちなみに、神山川の堤防工事は、区間を分けて進めており、右岸の一部は地盤隆起分を反映させることなく、当初の計画通り完成しています。堤防高が上がるために、神山川橋の架け替えも仮橋を用意してから行うため、すべての区間が整備されるのはまだ先です。堤防の効果はすべて完成して発揮されるため、せめて、神山川橋の架け替えと合わせて桜並木の区間を工事するように調整し、その工法を検討する時間をつくってほしいです。

なお、神山川の堤防に関しては、今川悟ホームページでたびたび取り上げていますのでご参照ください。基本的な問題は2015年9月のブログ気仙沼復興レポート㉖に、署名活動については2016年4月5月のブログに、署名後の説明会の内容は8月のブログにまとめてあります。地盤隆起に伴う水準点変更については6月のブログ気仙沼復興レポート㉘を見てください。

地盤隆起については、国土地理院が電子基準点で毎年公表しています。気仙沼市(基準点は気仙沼小学校)は震災で65センチ沈下しましたが、6年間で28センチ隆起しました。この1年間だけでも3センチの隆起が確認されています。今後の隆起を考えると、堤防高も多少調整する余地があるような気がします。水準点にどのように反映されていくのか注目したいです。

 

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