防潮堤工事契約に反対した理由【定例会速報】

気仙沼市議会定例会の報告です。予算や主要議案などは後日詳しく報告しますが、今回は防潮堤の工事契約に反対した理由を説明します。

【契約額7億円。誤った情報のまま合意形成】

定例会には、最終日の追加提案として5カ所(唐桑大沢、只越、岩井沢、宿浦、藤浜、川原)の防潮堤工事契約が提出されました。私はこのうち岩井沢と藤浜に反対しました。

理由は、正しい情報のもとで地域と合意形成していないからです。

小原木地区にある岩井沢漁港の場合、レベル1津波を防ぐ海抜11.3mの防潮堤を整備します。契約額は6億9876万円で、2019年3月の完成を予定しています。

※防潮堤の位置図、平面図、断面図は次の通りです。

市の説明によると、合意形成のために2012年7月から2017年2月まで意見交換会と説明会を計8回開催して地域の同意を得ました。観光地である大理石海岸にコンクリート堤を造るのに疑問は残りますが、堤防高より1~2mほど低いところに修繕した民宿があり、防潮堤の必要性は妥当といえます。

しかし、今回は防潮堤の必要性を判断する以前の問題がありました。

【災害危険区域は無堤で津波シミュレーション】

この地区の災害危険区域を決めるとき、市はレベル1防潮堤がない設定でレベル2津波シミュレーションを実施していたのです。当然、11.3mの防潮堤を整備すれば、シミュレーション結果は変わります。

居住を制限する強制力を持ち、防災集団移転に参加でるかどうかを決める災害危険区域は、地域の将来を左右する重大なものです。防潮堤整備によって、災害危険区域の内容が変更する可能性については、しっかり説明しなければならないことなのです。

※下図は小原木地区の災害危険区域です。

私は災害危険区域の設定と実際の防潮堤計画が異なることを問題視し、市議会でも度々取り上げてきました。市も問題を認め、なるべく早く住民に説明すると約束していました。

それなのに、正しい設定で津波シミュレーションを再実施しないどころか、災害危険区域の設定がまるで違うことを地域に伝えないまま防潮堤の最終同意を得て、工事契約を提案してきたのです。

しかも、岩井沢の説明会では「レベル1防潮堤を条件に災害危険区域を設定した」と誤った情報を伝えていたことも分かりました。これでは、住民が「防潮堤をつくらないと災害危険区域が広がってしまう」と誤解する可能性もあります。工事契約を認めれば後戻りできません。誤りを伝えて正しい説明をしていない状況で、合意形成したとは認められないのです。

【プロセスを問題視】

私は防潮堤計画に反対したのではありません。合意形成に至るプロセスを問題にしているのです。

産業経済常任委員会では賛成3人、反対2人で議案が通過し、本会議でも賛成16人、反対6人で議案は成立しました。私の反対討論に対して、「住民の要望に応えるべき」「何度も説明会を重ねている」という賛成討論がありましたが、要望も説明会も正しい情報の上に成り立つべきと私は考えています。議案は認められましたが、今後は市の説明責任をしっかり果たしてほしいと思います。

なお、宿舞根漁港の藤浜北・南の防潮堤についても、岩井沢と全く同じ理由で反対しました。

防潮堤はレベル1津波を防ぎますが、レベル2津波については減衰させるだけでなく、大谷市街地や小泉海岸で分かったように条件によっては増大させる危険性もあります。背後地に災害危険区域だけなのに安易に整備すれば、将来的に建物がなくなったときに、何のために防潮堤を整備したか分からなくなってしまう恐れもあります。今後も反対も辞さない覚悟で、市の防潮堤問題に向き合っていきます。

※3月11日付の三陸新報の2面記事で、私の反対討論の真意がうまく伝わっていませんでした。「災害危険区域はL2津波を想定したものだが、実際に整備する防潮堤はL1津波対応であることから、現在の指定区域は適切でない」という反対理由だと、私は災害危険区域について全く理解してなく、すべての防潮堤計画に反対しなければなりません。主旨を理解して反対に加わってくれた議員のためにも、反対理由をホームページにまとめました。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*