もう一つの「14.7㍍」。二十一浜の防潮堤

気仙沼市本吉町の小泉海水浴場で、高さ14.7mの防潮堤と河川堤防が計画され、その賛否で全国の注目を集めましたが、宮城県内にはもう一つの「14.7m防潮堤計画」があります。小泉海水浴場の近くにある二十一浜漁港です。見た目が12mほどになる直壁タイプの防潮堤は、ここだけだと思います。

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気仙沼市が管理する二十一浜漁港には震災で20mほどの巨大津波が襲っています。ここにはもともと防潮堤はありませんでしたが、他の海岸と同じように明治三陸級の津波(レベル1津波)を今後防ぐため、海抜14.7mの防潮堤が計画されました。前々から異論はなく、市としては「高さ・復旧位置で概ね合意した」と判断しています。

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小泉海水浴場は背後に土地の余裕があるので、緩傾斜堤という緩やかな勾配の防潮堤が整備されます。しかし、二十一浜漁港の背後地は狭く、中央に川もあり、すぐ背後に国道45号があるので、直壁タイプの防潮堤を計画し、今月18日にあらためて説明会を開きました。

 

国道に架かっていた橋は津波で流出し、現在は仮設橋で対応しています。新しい橋は津波の被害を受けない高さで建設することが決まっていますが、気仙沼市としては国道ののり面(海側斜面)を保護するとともに、現行ルートで復旧方針のJR気仙沼線、レベル1津波で浸水すると考えられる区域にある民家や生コン工場を守るため、新たな防潮堤が必要と判断しました。説明会では、住民側も受け入れたようです。今後、防潮堤の位置は微調整する可能性はあります。

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防潮堤が直壁タイプになったのは、地域から砂浜を残してほしいという要望があり、国道と砂浜の間の狭い土地で防潮堤整備を計画したからです。海面より少し高いところに整備するので、実際の高さは最大12mほどになります。二十一浜川には堤防を造らず、防潮堤に排水門を用意します。

JR気仙沼線の復旧は、必要な費用700億円のうち400億円を行政で負担すれば鉄路復旧する方針が示されています。津波対策として三カ所でルート変更を検討していますが、それ以外は防潮堤などによってレベル1津波から守られることがを確認できればルート変更しません。つまり、二十一浜の防潮堤整備は、気仙沼線復旧の条件となっているのです。ただし、鉄路ではなくBRTの専用道なら、バスが高台へ避難できるので、防潮堤で守る必要はないのです。

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2 Comments

  1. コーケやん

    先の津波で20mの津波に襲われたのになぜ防潮堤は14.7mなのですか? 防潮堤問題には、基本的に、この疑問がだれにもあります。国の官僚があわてて考え出したL1、L2の基準はごまかしというより、もう通用しないのではないかと思います。先きの3.11大震災がこれからの防災対策の基準になる事が自然で、なおかつ必要なのだと思います。日本国の西の方、南海トラフを震源とする大津波対策は当然にもL1、L2の区別はしてないと思いますよ。L1、L2に翻弄されているのは今どき東日本だけです。根拠薄弱なそのような基準があるから二十一浜の防潮堤がややこしい問題になるのだと思います。そのような基準がなければこの浜に14.7mなどという巨大防潮堤は不要なのだと思います。はっきり「いらない」のです。L1クラス(明治の津波)の津波に対してはここの人々はそもそも備えがあると思います。こんなに山が迫っていて避難すれば命を落とす事はない事を知っているのです。建物や漁港や道や鉄道に対策も地域の経験をもとにすれば、そして考えたり話し合ったりすればどうにかなるというはんもうど(浜人)のDNAがある思います。防潮堤に頼れば景観や産業や避難の面から…、もはや二十一浜でなくなる事も分かっていると思います。(長くなりました)結論をいえばL2クラス(平成の津波)への対策がだれも十分に分からないのです。平成クラスの津波では14.7mの防潮堤はなんの役にも立たないばかりか全ての施設、全ての人命をなきものにするでしょう。今後、東北では逃げないで先きの津波クラスの津波をものの考え方の基準にしなければなりません。子や孫にも平成の津波の事を語り継ぐのです。「L1の…」などと言ったらダメです。先きの津波、平成の津波の地道な検証が前提です。防災対策はもちろん避難という事が中心になります。なによりも「防潮堤の呪縛」からの解放が先決だと思います。どれも簡単ではありませんし、考え、実行すべき裾野は広いです。今川先生たちのリーダーシップに期待します。私にも微力ながら協力させて頂きたいと思います。

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    1. 今川 悟 (Post author)

      L2の被害を受けた地域で、L1の防災を考えなくてはいけないことが混乱の原因です。津波を色分けしないで、最悪の被害に備えることから始めるべきでした。
      とはいっても、新たなまちづくりを進めるには、何らかの線引きが必要だったことも事実です。まさか、それが堤防高になるとは思いもしませんでしたが…。堤防高にこだわり、防御効果に疑問を残したまま進んでいる二十一浜は、防潮堤問題を象徴する事例になるかもしれません。

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