無駄な防潮堤を見直し【一般質問速報】

気仙沼市議会12月定例会で16日、一般質問を行いました。災害危険区域の見直し、防潮堤計画について成果がありましたので報告します。

今回の質問では、小・中学校の統廃合、災害危険区域の見直し、市管理漁港の防潮堤について質疑しました。いずれも部署間の連携不足を取り上げ、具体的な課題を提起しました。

■小中学校の再編について

小・中学校再編については、保護者が反対する学校で29年4月の統合時期の延期の可能性が出てきたので、地域懇談会の在り方、統合先延ばしの影響を指摘しました。統合に反対する気持ちは分かるのですが、その影響で新入生が減っていく問題を取り上げました。教育的配慮から具体的な話に踏み込めませんでしたが、統合対象校の中には新入生が予定の半分以下になりそうな地区もあるということを指摘し、懇談会の在り方について提言しました。

■災害危険区域は半分の海岸で設定が変更

災害危険区域は、市内87海岸のうち43海岸で、指定時の設定と堤防高が変わったことが明らかになりました。

堤防高が変われば災害危険区域も変わります。変更の影響が大きいのに見直しがなかったことについて問題提起し、来年度の当初予算で津波シミュレーションをかけ直し、災害危険区域の変更について検討することが説明されました。変更の考え方も示されましたが、まちづくりの上の災害危険区域と、防災上の設定とである程度使い分けざるを得ない状況が分かったと思っています。

■赤牛、津谷大沢漁港の防潮堤見直しへ

防潮堤については、無駄なものを洗い出すような質問を心掛けました。特に復旧の見通しのない線路を守るための、津谷大沢、赤牛漁港について、計画の見直しの可能性が高まったことは大きな成果と考えています。それぞれ10億円程度の事業費ですが、増税による復興予算で整備することには疑問がありました。JR気仙沼線は守らなくてもいいことになりましたが、国道45号の法面(のりめん)を守るために必要だという考え方は、さらにチェックしていかなければなりません。

赤牛、津谷大沢ともに地元説明会を開催して同意を得たばかりだったため、見直しはとても重たい決断だったはずです。菅原市長は気仙沼のためになるなら「朝令暮改も恐れない」という考えを持っており、今回も市民目線で無駄な防潮堤の見直しに踏み切ったものと評価しています。赤牛、津谷大沢の防潮堤の問題は、後日あらためて報告したいと思っています。

■海岸ごとのチェック表導入

提案した海岸ごとの防潮堤計画のチェック表について、指摘した通りに導入する考えが示されたことも評価したいです。

一般質問の要旨は次の通りです。PDFデータはこちら⇒一般質問の要旨

201512月気仙沼市議会定例会 一般質問 要旨  

★小・中学校統合計画の見直しについて

小・中学校を統合する気仙沼市義務教育環境整備計画の見直しについて、昨年12月の一般質問で、白幡教育長は「27年度末を想定している」「前倒しの必要性も視野に入れる」と答弁した。この答弁から1年が経過した。29年4月までに統合を計画している5校について、地域や保護者との話し合いと今後の進め方、計画見直しの状況に関して、次の4点について質問する。

問① 29年4月までの第二段階で統合の対象となった小原木小、月立小、水梨小、馬籠小、小泉中の地域懇談会で、「準備のため、統合前年となる来年の2月定例市議会で条例改正手続きが必要」と説明した。そのためには、27年中に市長・副市長等が出席する地域懇談会を開催するスケジュールも示したが、残された時間はわずかだ。現実的に29年4月までの統合は可能なのか。

《白幡教育長》 これまで延べ20回にわたり、第二段階対象校5校へ出向き、教育委員会が主催する懇談会やPTAからの要請に応じた会議を通じ、理解と協力をいただくことに努めてきた。懇談会や会議で、学校統合の不安を払拭しながら、計画の必要性を説明し、誠意を持ってあたってきたが、地域の方々や保護者の理解を得るために、時間を要していることは事実だ。教育委員会としては、懇談会等で一定の理解を得たところは、整備計画通り、29年4月の統合に向けて準備に取り組んでいく。

 《小松教育次長》 統合準備には1年間が必要と説明してきた。概ね理解を得ている学校は早々にいろいろなスケジュールの方に入っていきたいと思っている。一方で、過去の例では1年かけなくても実施できた学校があるので、教育委員会としては年度いっぱい理解を得るための努力をし、場合によっては年度をまたぐ可能性もある。一定程度の理解を得た段階で、市長・副市長の出席をお願いしたい。

《菅原市長》 根本は教育の問題としてしっかり理解して頂くことが必要だが、いまの教育には複式学級の解消が必要なことが十分説明されているのかということが不安だ。そのことが説明されれば、相当な理解を得られると思う。校舎の利活用の検討は、統合ありきと思われるデリケートなことだが、地域で活発な話題となるのであれば、統合する前から意見を聞いていくことは必要だと思う。

問② 計画では「保護者並びに地域住民の理解を得ながら統合を進める」としたが、第二段階の統合対象となる5校で、保護者や地域住民を対象に懇談会を開催した結果、計画通りの統合に理解は得られたのか。

《白幡教育長》 統合にはもう少し時間を要する学校もあり、引き続き理解を得るために丁寧な説明を行う。疑問や不安を払拭するとともに、引き続き理解と協力をいただくように努力していく。

《小松教育次長》 子どもの数が減少している事実、そして第二段階では複式学級を解消することへの理解を概ね得られていると思うが、地域の理解を得るのに時間を要している。各校の状況についての答弁は控えるが、教育委員会として29年4月の目標に向けて、引き続き懇談会で説明していく。

問③ 第三段階における3033年度の統合対象校でもPTA役員を対象とした懇談会が始まった。「年度末を想定している」としていた義務教育環境整備計画の見直しは、第二段階、第三段階の統合年度についてどのように整理していく考えなのか。また、今年4月に統合した白山小では、前年の新入生が2人の予定からゼロになった。第二段階の対象校でも、「どうせ統合するなら」と統合の前年から統合予定校へ入学する子どもが増える傾向が見られる。統合計画が小規模化を加速させており、もっとスピード感を持った対応が求められているのではないか。

《白幡教育長》 教育委員会では、今年度が見直しの時期となっていることから、整備計画の第二段階の対象校だけでなく、第三段階の対象校にも出向き、PTA役員を対象とした懇談会を行い、児童生徒にとって適切な教育環境について意見交換を行っている。未実施の学校もあり、早急に行うように調整する。見直し案の策定までにはもう少し時間を要することから、年度末を想定している。

《今野学校教育課長》 議員の指摘通り、統合対象校で指定校の変更願いを出そうという傾向はつかんでいる。1月に入学通知を出すので、それ以降の動きになると思う。

《小松教育次長》 これまでは、来年入学予定の保護者にも懇談会に参加してもらったこともあり、今後も対象者を拡大する必要があると考えている。学校側と相談して対応したい。

問④ このまま小・中学校の統合だけが進めば、学校がなくなった地域がさらに衰退することを住民は心配している。昨年12月の一般質問でも指摘したが、統合の提案とともに、地域の振興策を一緒に話し合うべきと思う。市長部局からの職員参加も含めて、地域懇談会の在り方の改善について市の考えを伺う。

 《白幡教育長》 これまでの地域懇談会では、統合後の学校施設の利活用を含め、教育問題だけでなく、道路整備や地域振興策について質問されることがあり、必要に応じて市長部局の職員に懇談会への出席を依頼し、地域の方々に説明を行ってきた。地域振興など、市長部局と一緒になって検討すべき課題もあり、懇談会の際には関係部局職員の同席を依頼し、実りある意見交換となるように努めていく。

★災害危険区域と防潮堤計画について

震災から4年9カ月が過ぎ、気仙沼市内のほとんどの海岸で防潮堤の整備計画が固まり、工事も始まろうとしている。防潮堤の全体的な議論は昨年12月の一般質問で行ったので、今回は災害危険区域の問題を含めて、より具体的に、個別の計画に踏み込んで次の9点について質問する。

問① 247月に指定した災害危険区域は、防潮堤をはじめとする新たな構造物を設定した上で、東日本大震災と同じ規模の津波で浸水が想定されるエリアで建築制限をかけた。この構造物設定が変更になった場所はいくつあるのか。災害危険区域の設定に大きく影響すると考えられる場所については、具体的な場所を示せ。

《菅原市長》 災害危険区域は24年7月に内湾地区を除く全地域に、26年8月に内湾地区で指定し、現在に至っている。整備について住民合意が得られた防潮堤の中には、当初のシミュレーション時の構造物等の設定と異なる箇所が生じており、市内で整備予定の87海岸107地区のうち43海岸47地区で高さが変わっている。なお、構造物等の変更に伴う全体としてのシミュレーションは行ってないが、これまで地元と協議を進める中で、個別にシミュレーションを行った小鯖地区、鮪立地区、鶴ヶ浦地区は、その影響があると捉えている。

問② 災害危険区域指定のための構造物設定に変更があった場所について、市としての今後の対応を示せ。また、災害危険区域が変更される場合、被災宅地の買い取り、防災集団移転への参加資格、再建した住宅へ影響するケースへの補償について、どのように取り組む方針なのか。防潮堤が無堤からレベル1に変更されることで、災害危険区域が変わる可能性があるのに、そのことを説明しないで防潮堤計画に合意した地区もあることは問題ではないか。登米沢では計画が変更したのにも関わらず、実際と異なる設定のまま災害危険区域内で2mの盛り土をして再建した家もある。災害危険区域から外れる可能性を十分に説明すべきではなかったのではないか。

《菅原市長》 災害危険区域の変更は、まず再シミュレーション結果が住戸に影響を及ぼす場合、関係する方々の事情を聞いた上で、計画の変更を行うかどうかを決定する。できるだけ不利益を被る人が出ないようにすることを原則としたい。具体的には、見直しによって被災宅地が新たに災害危険区域となる場合は、対象となる方々の意向により、被災宅地の買い取りや防災集団移転への参加を案内する。なお、見直し前に受けた被災宅地の買い取りや各種の住宅再建に影響が生じることはない。すでに再建した住宅が新たに災害危険区域となる場合には、今後の新築、増改築に制限が生じることなどを十分に説明するとともに、個々の事例によっては利用可能となる支援制度も案内しながら理解を得ていきたい。

災害危険区域の変更は、計画がすべて固まってから津波シミュレーションをかけるのが正しいと思うが、大きな影響があるところは早くしていきたい。災害危険区域の考え方については、どこまでシミュレーションの結果だけに頼っていくかとなると、ある程度は運用というところがないと、住宅再建や土地利用に不利益が出てしまう。そういう観点で考えていかざるを得ないと思っている。四角四面でやっていくことにやや無理がある。やがて、津波防災地域づくり法によって、より保守的な形で設定される。災害危険区域だけに頼るよりも、より安全な対策が取れると思う。

津波シミュレーションにはお金がかかり、復興予算で確実に補填されるという自信もなかったので、最初は職員もためらっていたが、登米沢の件は、シミュレーションをかけた方がいいと思った。部署の連携が必要だった。市民に無駄なお金を使わせることがないようにしていきたいと思う。登米沢の方には必要があれば担当から声をかけさせていただく。

《西城建築住宅課長》 再シミュレーションは28年度当初で予算化し、速やかに実施したいと考えている。その準備に向けて早々に取り組みたい。

問③ 津波に対する危険を強く訴えようと、東松島市は災害危険区域を「津波防災区域」とし、山元町も同様に変更する準備を始めている。震災から5年の節目を迎えるに当たり、気仙沼市でも名称変更を検討する考えはあるか。

《菅原市長》 現名称は広く市民に認知されているものと考えており、いまだ復興事業も進捗中であることから、当面、名称変更の考えは持っていない。やがて津波防災地域づくり法によって、新たな地域指定も考えており、そのときの混乱も考えると時期尚早と考えている。

問④ 市管理漁港に計画しているレベル1津波対応の防潮堤について、その防潮堤によってレベル1津波を防げるエリアに、住宅がない海岸はあるのか。ある場合、それぞれ何を守るために防潮堤を整備するのか。

《菅原市長》 市管理漁港で計画しているレベル1防潮堤は、32カ所で計画している。そのうちレベル1津波を防げるエリアに高台移転等により住宅がない海岸は、現在のところ11カ所ある。内訳は、生活道の被災により人家の孤立を防ぐ箇所として館、滝浜(唐桑)、宿舞根の宿浦、鶴ヶ浦東部の4カ所、県道、国道、JRを守る箇所として只越、赤牛、大沢(津谷)、蔵内、蔵内草木沢の5カ所、商店・飲食店など地域産業を守る箇所として長崎、地域振興のため地元から必要とされている箇所として前浜(本吉)となっている。この11カ所のうち、蔵内草木沢地区を除き、災害危険区域内には現在も住宅が残っている。

問⑤ 館漁港ではレベル1津波に対応した海抜11.3mの防潮堤が計画されている。ここは無堤の設定で災害危険区域を指定した。防潮堤計画の説明会において、防潮堤を整備することによって、レベル2津波の想定浸水域が変わり、災害危険区域も変更になる可能性を説明したのか。

《菅原市長》 館漁港は震災直後、守るものがないと考え、無堤として災害危険区域を設定し、24年7月に開催した市民説明会で説明した。その後、再建した住宅とお寺がレベル1津波で生活道が被災し、孤立することが判明した。地元との協議を重ねた結果、レベル1防潮堤を整備することで地元合意を得て、計画を進めている。災害危険区域の変更があるか、ないかについては、構造物位置などが固まってきたことから、シミュレーションを依頼しており、結果が出たら次回の説明会で地元に説明したいと考えている。

問⑥ レベル1津波対応の防潮堤によって、レベル2津波の減衰効果があることが説明されてきたが、引き波が妨げられることによって浸水域が拡大する危険性について市としてはどのように考えているのか。

《菅原市長》 指摘の通り、防潮堤背後に一定の平坦部があって、第一波などにより防潮堤背後の窪地内の水位が満水となり、その後に到達する津波がレベル1防潮堤を越水する場合には、浸水範囲が拡大する可能性があると認識している。このため、当該危険性も考慮した上で災害危険区域を指定した。

問⑦ JR気仙沼線の法面を守るために整備するという津谷大沢漁港、赤牛漁港の防潮堤(海抜9.8)について、その必要性の説明を求める。沿岸を通る気仙沼線のレベル1津波防御について、JR、宮城県とどのように調整しているのか。

《菅原市長》 両漁港とも漁港背後に国道45号があり、また、湾の中央部に河川が流れ出る地形となっている。宮城県では公共交通機関や国道をレベル1津波からの防護対象としており、市においても両漁港での国道法面を防護する防潮堤が必要であると考えており、地元説明会でも理解をいただき計画を進めている。両漁港とも国道との間には、被災したJR気仙沼線があることから、防潮堤の設置案についてJR東日本と詰めていく。なお、JR東日本はこの地域において、鉄路での復旧の場合は内陸移設、BRTでの本復旧の場合は国道45号利用との方針を示している。

現場レベルの話になると、正式にBRT化していないので、線路はまだあり、JRとしては守ることになってしまう。それは無駄な話なので、職員にはやめるように指示した。今後はJRとどういう防潮堤を造るか協議していくことにした。見直しの程度がどのくらいになるか分からないが、JRを守ろうとすることではないことだけは確かだと思っている。

問⑧ 防潮堤はさまざまな課題を含んでいるが、工事に入れば後戻りはできない。後世に疑問を残さないため、海岸ごとにチェック表の作成を提案する。説明会の状況、守るべきものなどを整理するためのもので、市長や担当者が代わってもしっかり説明できるように、現在はまだないというチェック表が必要だと思う。

《菅原市長》 海岸ごとの説明会記録や守るべきものなどを個々に整理はしているものの、全体をまとめたものとして整理したものはないことから、議員の指摘どおり、将来にわたりチェック表として活用できるものを整理していきたいと考えている。

問⑨ 復興庁の政務官だった山本ともひろ衆議院議員が今年910日に気仙沼市を訪問した際、朝日町に整備された直壁タイプの防潮堤について、菅原市長が「後世に残るひどいものです」「市長でなければ賛成しなかった」と発言したと、山本議員がネットに投稿した文章を見た。この発言が本当だとしたら、その真意を説明せよ。

 《菅原市長》 記憶が定かではないが、そのような発言をしたと思う。被災地の市長としては、中央防災会議で示された方針を理解し、それに従っていることが政務三役を含めて共通認識だという前提であるとの認識の上で会話した。また、その方針に従って整備を進めていることを話した。

「後世に残るひどいもの」については、安全なまちづくりにおいては、このような形の防潮堤も造らざるを得ない、それだけ現場は頭を悩ませながら取り組んでいることを伝えた。「市長でなければ賛成しなかった」については、背後の土地利用などに関わらず、見た目の景観などだけで率直な感想を発言できる立場であればそう言っただろあうという意味だ。防潮堤に関する様々な課題について、具体的な事例等を示し、現場の状況をよく理解して頂くためのものである。

なお、市としては、当該エリアは背後に産業地帯や市街地を抱えており、その安全な土地利用を考え、レベル1の高さが必要と判断している。仮に十分な土地があれば、傾斜堤などで景観への対策をするところだが、結果として景観にそぐわなものになっている。県は植栽で緑の壁とすることなどを検討しており、私はいま出来うる努力を行っていると受け止め、了とした。

 

 

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