海岸保全計画とパブリックコメント

宮城県は新たな防潮堤に向けて、三陸南沿岸と仙台湾沿岸の「海岸保全基本計画」の見直しを進めています。きょう15日には、専門家や地域代表による宮城県沿岸会議が仙台市で開かれ、計画案が示されるとともに、パブリックコメント(意見公募)の結果が報告されました。パブリックコメントには103件もの意見が寄せられましたが、計画にはほとんど反映されないようでした。

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海岸法に基づいて海岸管理者である宮城県が策定する海岸保全計画は、「防災」「環境」「利用」が総合的に達成される基本方針と施策を示すことになっています。現在の計画は平成16年に策定したものなので、東日本大震災の教訓を踏まえた内容に変更します。

■意見公募に103件

主な変更は、数十年から百数十年に一度のレベル1津波を防ぐ新たな防潮堤整備が盛り込まれることです。このため、パブリックコメントの反響は大きく、23人から103件もの意見が寄せられました。そのほとんどが新たな防潮堤計画への疑問で、高さの決め方、環境への影響などを疑問視する内容でした。

23人のうち6人は県外からの意見提出でした。103件の内訳は、海岸の防護に関する内容が55件、環境が35件、利用10件、合意形成28件などでした。県が一つ一つの意見に回答しています。

■最悪の想定公表は「もう少し時間かかる」

沿岸会議で配布された資料は、一般と報道の傍聴者分は終了後に回収されてしまいましたが、気になってメモしたのは「背後に保全すべき重要な施設等がなく、一定の条件が整った防潮堤は原形復旧としている」「(津波防災地域づくりに関する法律に基づいた最悪の津波浸水想定は)防災移転促進区域に指定された跡地利用計画が確定しておらず、建築物も含めた地形データが十分に把握できないことから、もう少し時間がかかる」などといった回答でした。

私が指摘した小鯖漁港の南側防潮堤の目的は、「津波襲来時に集落が孤立するのを防ぐために必要と考えているので理解してほしい」とあった。具体的に効果を疑問視した箇所についても、従来の説明と変わりはありませんでした。

■受益地域=レベル1津波の想定浸水域

新たに分かったのは、公表されていた施設整備計画案にあった各海岸の「受益地域」(地図の青色の斜線エリア)が、新たな防潮堤がない場合のレベル1津波の想定浸水域ということです。つまり、このエリアが防潮堤で守られる区域ということになります。

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また、補足資料として、受益区域の状況が一覧表になってありました。海岸ごとに、背後にあるものが農地なのか、住宅地なのか説明しています。海岸保全施設なので、治山施設、河川堤防分は記載されていません。

■農地やJR施設も防護対象に

三陸南沿岸の計画案には、防護すべき地域として「海岸保全施設が整備されない場合に、設定する津波・高潮による浸水等によって海岸背後の人命、家屋や農地、幹線道路、JR等の諸施設に対する被害の発生、さらには地域経済活動にまで影響を及ぼすことが想定される地域。また、浸食によって貴重な海浜や周辺環境が損なわれることが想定される地域」と記載してありました。

沿岸会議の委員からは厳しい意見が多かったです。防潮堤の維持管理について財源を含めた試算を求めたり、孤立集落をつくらないためだけの防潮堤整備の費用対効果を問題視したりしました。気仙沼商工会議所の菅原昭彦会頭、気仙沼観光コンベンション協会の加藤宣夫会長も、合意形成の進め方、観光への影響などについて問題提起しました。

■専門家が提言「急がずに考えては」

専門家からは、災害復旧分は27年度以降も国が全額負担する方針が示されていることから、「急がずに環境への配慮を考えてほしい」という指摘もありました。気仙沼市魚町に計画されている余裕高分のフラップゲートについて、「塩釜で余裕高を無くせるのなら気仙沼でも無くせる。やめる方向性も考えてほしい」と苦言を呈した専門家もいました。

委員の意見は計画案に多少なりとも反映されるようですが、大筋はほとんど変わりそうにありません。

■計画は7月に大臣提出

計画案は7月中に関係市町の意見聴取、大臣への提出を予定しています。そのころには計画も公表されます。パブリックコメントの内容と回答も公表されます。

 

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