3年に及ぶ議論が終結【内湾防潮堤】

全国初のフラップゲート式防潮堤が導入される気仙沼市の内湾地区。3年以上続いた話し合いが終結し、いよいよ工事発注をすることになりました。完成は29年度の予定です。

市街地と海が隣接する内湾地区は、古くからの中心市街地。菅原茂市長が「気仙沼の顔」と復興に力を入れ、土地区画整理事業などが進められています。

この海岸を気仙沼漁港として管理する県は、当初、海抜6.2mの防潮堤を計画していました。しかし、海が見えなくなることに住民が反発。打開策を探るため、市全体を巻き込んだ防潮堤を勉強する会が発足し、内湾復興のアイデアを募るコンペも行われました。

※コンペの最優秀賞作品です。
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コンペの最優秀賞だった直立浮上式防波堤(海底から浮き上がる防潮堤)は、県知事の猛反対にあって断念しました。今年2月になって、国交省が和歌山県で進めていた試験導入の工事も「地震によって海底で変形して浮き上がらない可能性がある」と取りやめることになりました。結果的には、気仙沼で導入を見送ってよかったことになりました。

■フラップゲート導入

堤防高6.2㍍→実質4.1㍍

堤防高は、津波シミュレーションの見直しによった24年12月に5.2mに、最終的には港町の一部無堤化による影響で5.1mまで下がりました。途中で湾口防波堤という案もありましたが、魚町側は余裕高の1m分をフラップゲートにすることで合意しました。

フラップゲートは、津波襲来に合わせて起き上がる壁です。普段は倒れているため、実際の堤防高は海抜4.1mになります。さらに背後地を盛り土することで、道路からの見た目の高さは1.3mほどになり、人の目線から海が見えるようにしたのです。

南町側は、直立堤の海側を盛り土して緑地とする計画です。背後地に建つ公共施設とデッキで結ぶことで、コンクリートの防潮堤はほとんど見えなくなります。見える部分のコンクリートについても、デザインや景観などで景観に配慮することにしています。

※27年4月6日の内湾まちづくり協議会全体会で配布された資料です。
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これから工事を発注し、県議会6月定例会に契約案を提出し、6月下旬にも契約する予定です。防潮堤の本体工事から入り、フラップゲート、陸閘(出入口ゲート)の工事、公園整備と修景工事を追加していきます。

さまざまな意見が出ていた内湾地区の計画がまとまったのは、まちづくり協議会による話し合いの結果でした。市が事務局となり、県もパターン別の津波シミュレーションを示し、村井知事が気仙沼に出向いて話し合いに参加したことで、多くの住民が「納得」したのです。いろいろなアイデアを出したうえで、可能性を探り、メリットとデメリットを整理したことで、ゆっくりではありましたが、議論は確実に前進してきました。

話し合いがまとまらない他の地区では、同じ意見の繰り返しになったり、十分な知識がないまま思いをぶつけあったり、住民と行政が対立する構造になったりしています。「急がば回れ」のことわざのとおり、大きな問題を解決するためには、地道だけど筋道をたてた議論が大切なのです。

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