未払い残業代3億9千万円を支給【気仙沼市】

気仙沼市は、平成24~26年度の時間外勤務手当として計3億8950万円を職員に支給することにしました。震災による復旧・復興事業で業務量が膨大となり、時間外勤務を強いられながら、財政への影響から支給していなかった分です。いろいろ批判はあるかもしれませんが、法令は順守しなければなりません。復興を遅らせることなく、時間外勤務を減らすための対策も示されました。

■ようやく法令を順守

気仙沼市の民間企業の給与は県内最低レベル(詳細は気仙沼復興レポート参照)で、震災前から市職員の給与の高さには批判がありました。このため、市職員のサービス残業が当たり前のようになっていましたが、市は認めずにきました。ところが、震災後の事態は悪化し、労働基準監督署から是正勧告を受け、さらに2人の職員が不払い分の残業代支給を求めて提訴したことで、市と職員労働組合で労使検討委員会を立ち上げて協議を重ねることになりました。

労使共同で実施した勤務実態調査では、24年度から3年間で約15万時間分のサービス残業が判明。市は態度をあらため、法令を順守して未払い分の残業代を支払い、今後は勤務実態に応じて正当な残業代を支給していくことにしました。復興予算による震災復興特別交付税が、職員の残業代にも充てられることが確認でき、財政見通しが良化したことも支給を決めた一因だそうです。

実態調査に基づいた時間外勤勤務手当の追加支給額等

■今までは予算内で打ち切り

今までは、前年実績に基づく予算の範囲内で残業代を支払っていました。予算は各課に割り振っていたので、なくなればサービス残業を余儀なくされていたのです。議会の答弁ではサービス残業はないと繰り返していたため、不払い残業代の予算化を審議した17日の市議会予算審査特別委員会で、菅原市長は「法令を順守していなかったことを強く反省している」と謝罪しました。

■残業抑制へ具体策

残業が増えることは、予算だけでなく職員の健康にも影響します。厚生労働省は月100時間を超える残業が、脳出血や心筋梗塞の原因になると問題視していますが、復旧・復興を進めるために月100時間以上の残業をしなければならなかった職員もいたそうです。市は残業を縮減するため、申請と許可制を徹底するなどの具体的な対策に取り組みます。

時間外勤務縮減の対策

とはいえ、復興に伴う業務量は膨大で、全国からの応援職員も満足に確保できていない状況が続いています。根本的な対策には業務量を減らさなければならず、復旧・復興事業にも優先度をつけたり、既存の事業を見直したり、仕事の効率化へ思い切った対策を取ったりすることが求められています。

■23年度の4億円分は権利放棄

ボランティアで復興を応援してくれる人もおり、この件で市民の皆さんから批判も出ています。そこで付け加えて説明しておきたいのは、23年度の不払い分である約4億円は、職員側が権利を放棄したということです。また、24年度からの不払い分を確認するための勤務実態調査でも、対象者の約2割が回答せず、追加支給の対象外になりました。いろいろな理由があるとは思いますが、支給を辞退した職員がいたのだと思います。

市役所が特別なのではありません。官民に関係なく、残業代が当たり前に支払われる地域にしていかなければなりません。そもそも気仙沼市内は零細企業が多く、従業員に超過勤務をさせるために必要な労使間協定を交わしていないところも多いと思われます。

■まだ他市よりも低レベル

被災した県内の他市と比べると、気仙沼市の残業代支給率(時間外手当÷給料)は最低でした。例えば24年度当初予算ベースで石巻市は9.7%、多賀城市は10.7%だったのに、気仙沼市は3.8%にとどまっていたのです。今回の追加支給分を加味しても、26年度決算ベースで塩釜市の15.3%、名取市の13.5%を下回る11.5%になります。

これも震災復興の中の教訓だと思います。災害前にできていなかったことは、災害後に悪化します。混乱を防ぐためには、普段からの対応が大切です。

詳しい経緯は、市議会に配布された資料のPDFデータ(経過説明資料)を参照ください。

 

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