東大と共同研究で震災検証【一般質問の成果報告】

気仙沼市議会9月定例会にて9月17日、一般質問を行いました。議員になって5回目。当局が答弁しやすいように工夫し、震災検証、復興情報の発信、神山川の堤防整備に伴う景観保全、公共施設の総合管理計画策定について、それぞれ期待していた成果を得ることができました。

■東大との共同研究で震災検証へ

震災検証は、震災で1200人以上の市民が犠牲になった原因を検証し、気仙沼のみならず今後の防災に生かすための提案です。初めての一般質問となった26年6月で提言し、同年9月にも対応を確認していました。今回もその後の対応を確認したところ、すでにデータの整理を始めており、10月から東京大学との共同研究を始めるという説明がありました。

55※写真は気仙沼市震災アーカイブから

当日はチリで地震が発生し、日本にも津波注意報が出る可能性があったので、再質問は契約期間の確認にとどめましたが、いよいよ動き出した検証作業を応援していきたいと思います。なお、市役所内の震災対応は別に進めており、間もなく報告書がまとまる見通しです。

■復興情報発信に意識改革も

2点目に質問した復興情報の発信も、これまで質問したことの確認です。市民に復興の取り組みを知ってもらうため、26年9月の一般質問で公民館などへの資料掲示を提言していました。市は資料を掲示してくれましたが、更新がされていなかったため、念押しするための質問です。

情報発信の重要性を職員に認識してほしかったので、職員の意識改革も含めて質問しました。菅原茂市長から意欲的な答弁を得たほか、説明会の資料に質疑の概要も加えて掲示することについて、建設部長から「検討する」との回答を得ましたので、今後も注目していきます。

■神山川の堤防に一部緑化提案

今までは、新しい質問は三つにしていたのですが、じっくり議論するため、今回は二つに絞りました。

神山川の堤防計画については、インターンに来てくれた大学生と一緒に70人にアンケートし、コンクリート堤防の整備によって桜並木かが伐採されることについて意見を伺いました。その結果、地元内外にかかわらず半数程度の人が桜並木が伐採されることを知らず、中には計画中止を求める意見もあることが分かりました。そこで、景観への配慮、周辺の整備などについて気仙沼市がリーダーシップを発揮するように求めたのです。

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市の答弁は、「道路側の斜面の緑化などを含めて、地域住民の意向を再度確認するように依頼した」でした。再質問に対して、菅原市長は「市が関わらない誰もやらないという意識で始めたい」「(市として一度は計画を承認しているため)朝令暮改という批判を浴びたとしても、いま必要なことはやった方がいいという気持ちでないと進まない」と話しており、問題意識を共有してくれたと思います。

■28年度に公共施設等総合管理計画策定

最後に取り上げた公共施設等総合管理計画は、60分の持ち時間のうち30分以上を費やして質疑しました。人口が減少する中、復興事業によって新しい公共施設が計画されており、その将来的な負担が心配だったので、維持管理費の将来見通しなどをまとめた総合管理計画の策定を急いでほしかったからです。

市は、「28年度内の策定を目指している」とし、同じく来年度策定する市総合計画にも反映させる方針を示してくれました。学校施設を含めなくても公共施設の維持管理費に年間21億円かかっており、当面はこの水準を維持するものの、将来に向けてできる限り削減していく考えも示されました。

IMG_2802※南郷の災害公営住宅に併設されたコミュニティーセンター

私は東洋大学調査結果をもとに、気仙沼市の市民1人当たりの公共施設延べ床面積が5.1㎡で、全国平均の3.42㎡より高く、人口規模が同じ全国の40都市の中でも3番目に高いことを指摘しました。さらに、先進事例として注目される神奈川県秦野市などの例も出し、公共施設の再編とともに複合化がカギになることを訴えました。計画策定の担当部署、人員配置も確認しました。

■公共施設複合化は「有効な手段」と評価

菅原市長は、震災前の選挙で行財政改革を公約の一番目に掲げていた人ですので、この計画の重要性は認識していました。複合化は利用者の増加、アクセス整備の面からも評価できると考えているようで、「有効な手段」と答えてくれました。一方、この部分でも職員の意識改革が必要なようで、計画策定には外部の人材に頼ることも示唆しました。

おそらく、この公共施設等総合管理計画は市民にとって厳しい内容になると思います。人口減少によって税収が減る一方、公共施設の維持管理費は簡単に削減できず、将来的には老朽化とともに廃止という選択肢も現実味を帯びてきます。既存施設の建て替えはするけど、新しい施設は造らないという宣言をした自治体もあります。人口減少に対しては、地方創生のようなプラス思考の政策だけでなく、現実的な対処も必要です。その対処に必要なのが公共施設の総合管理計画であり、その策定過程に得られるデータこそが、市民理解のカギになります。今後も取り上げていかなければならない重要課題の一つです。

以下に一般質問の質疑の概要を掲載します。

 【震災被害の検証について】 

今川 震災被害の検証について、26年6月の質問に菅原市長は「今後の防災対策を推進する上で重要」と理解を示し、同年9月の質問では「11月までには情報を入手した上で震災犠牲者の検証を進める」と答弁しました。その後の状況を伺います。

菅原茂市長 1月に関係機関から亡くなられた方々の情報を入手し、データの整理を行っています。合わせて、気仙沼市の避難状況などを調査している東京大学と調査研究の在り方について協議を行ってきました。今後、同大学と共同研究に関する契約を締結し、避難行動における課題を調査することにしています。

今川 契約の締結見込みと契約期間は。

小野寺秀実危機管理監 締結内容を確認中ですが、契約期間は10月1日から29年3月31日の設定で協議を進めています。

【復興情報の発信について】

 

今川 復興情報の発信を求めた26年9月の質問後、公民館やスーパーなどに資料を掲示するようになりましたが、資料が更新されていません。避難道のように計画があっても市民に伝わっていないケースもあります。復興の仕上げに向けて、情報発信の重要性に対する職員の意識改革、もっと市民に分かりやすい情報提供が求められますが、市の対応を示して下さい。

菅原市長 昨年12月、復興事業の概要を広く市民に知らせるため、小・中学校や公民館などの公共施設、大型スーパーなどにイメージパースやパネルなどを掲示し、事業進捗に合わせて更新することにしていたので、過日、更新しました。行政情報、とりわけ復興情報の発信は、被災された多くの方々の生活再建、産業再生に直結する重要な行政事務ととらえていますので、適時、市広報やホームページに記載するほか、説明会で説明した資料を公民館等に掲示するなど、最新の情報発信に努めます。また、情報発信の重要性に対する職員の意識改革につきましては、庁内会議などを通して広報・広聴活動に対する職員の理解をさらに高め、これまで以上に積極的に取り組む意識の高揚を図っていきます。

今川 情報発信がいかに大切か分かってもらわないと意味がありません。説明会の資料掲示にあたり、宮城県のように説明会における質疑内容もまとめて公開しています。気仙沼市も取り組む考えはありませんか。

村上建設部長 内容にもよるが、検討させていただきたい。

今川 市民に計画が伝わらないと、どんな影響があるか、次の質問で具体例を示します。

【神山川の桜並木と市民憩いの場について】

今川 宮城県が計画している神山川の堤防工事によって、神山橋から条南中学校前までの桜がすべて伐採されることになりました。住民合意のもと、すでに工事が発注されているため、堤防計画そのものの議論は避けますが、この桜並木は市内に残された数少ない市民の憩いの場です。調査したところ、全面コンクリート張りの堤防で景観が一変することを、とても残念がっている住民がおり、地区外の市民の多くが伐採計画そのものを知らないことかが分かりました。気仙沼大川と同様に市民の関心事ですので、次の2点について質問します。

1.神山川の堤防について、景観を守るための表面処理などの工夫、遊歩道などについて、県とどのように調整しているのか示して下さい。

2.桜並木の伐採が避けられないとなれば、残された上流側が市民憩いの場になります。いまは雑草が生い茂っている河川敷、市が計画する条南中学校前の歩道橋、仮設住宅解消後に復旧する反松公園を総合的に整備することで、回遊性のある散歩コース、市民憩いの場を創出することができます。親しまれてきた桜並木が伐採される喪失感を補うためにも、魅力ある計画作りが求められます。ぜひ、気仙沼市がリーダーシップを発揮し、県、住民、専門家の意見を集約してほしいと思いますが、市の考えを示して下さい。

菅原市長 神山川の堤防の表面処理は、視覚的なインパクトを極力低減し、周辺への調和に配慮するため、粗面仕上げのコンクリートブロックを採用すると伺っています。また、河川堤防の天端上は散策可能となるほか、水際の捨石部を覆土し、水際空間の確保に努めるとともに、管理用の階段を両岸200mごとに一カ所、2mの幅員で整備する計画であると伺っています。しかし、本市としては神山川沿いの景観が損なわれることから、河川管理者である県に対し、道路側の斜面堤面の緑化などを含めて、再度地域住民の意向を確認するよう依頼しています。

次に市民の憩いの場にかかる市のリーダーシップについてお答えします。条南中学校より上流の神山川周辺は、右岸には防災集団移転団地や市立新病院を建設中であり、左岸には既成の市街地があることから、両岸を結ぶ歩道橋を整備することにより、新たな市街地の形成が図られることになります。このような中で、神山川の河川敷や上流域の桜並木、仮設住宅撤去後の反松公園は、地元住民をはじめ、多くの市民が憩い、スポーツななどを通じて交流できる場所としての活用が見込まれます。このことから、河川敷や歩道橋、及び反松公園といった各施設の関連を考慮した歩行環境の創出や桜をはじめとした草木の植栽などについて、河川管理者である宮城県や地元の方々とともに、市民が集い、憩える場所の確保に努めてまいります。

今川 斜面の緑化について、市としての関わりを確認したい。

村上部長 市としては緑化等が地元の方々の意向を踏まえて望むのであれば、検討していただきたいと県の方に話してあります。県で確認してもらった後に計画を進めてもらえばと思っています。

今川 堤防計画にも桜伐採にも地元が同意していることは理解していますが、最近になって桜伐採を知らなかったという市民の声が高まっています。そこで、議員インターンに来てくれた大学生とともに桜並木周辺で聞き取りアンケートを行いました。70人が協力してくれましたが、地元の人も地元以外の人も、桜伐採を知らない、知っている割合は半々という結果でした。桜伐採を仕方がない、伐採しないでほしい、景観と安全を両立してほしいという意見も3割ずつ分かれました。具体的な対策として、残った桜並木を充実させた方がいいという意見が多かったです。アンケートの結果、多くの方が、コンクリート三面張りでいいとは思っていないことが分かりました。市がリーダーシップして積極的に意見集約に取り組んでほしいと思いますがいかがですか。

村上部長 道路側斜面の緑化等について県に地元の意向確認を申し入れてありますので、確認の上になります。上流側には桜の木も多々あり、公園も仮設住宅がなくなった後の利用ということで、スポーツと緑化は相反することもありますが、自然景観、河川の水辺の環境ということも考えたいです。できる範囲で、日常的にも憩え、スポーツやさまざまなイベントにも活用できるようなことを考えさせてもらいたい。神山川の堤防工事に関しては、今後の説明、意見の集約などを見ながら、市の考えを県に話していきたいです。

菅原市長 市が関わらないと誰もやらないと思います。県はやらないと思って、かからないといけないということがこの種のことですし、公園も市のことですし、仮設住宅がいつなくなるかも市にかかっています。そういう意識で始めなければいけないと思います。道路側の傾斜堤面ですが、私も確認したら、事前説明で市長も了解していました。「堤防高は守りながらも景観を大切にしなければ」と市も言ってきましたので、県の方にもう1回いうというのは事務方として非常に大変だったと思うのですが、それは構わないです。市長が朝令暮改するという批判を浴びたとしても、いま必要なことはやった方がいいという気持ちでいかないと、こういうものは進まないと思います。どれだけ理解を得られるか分かりませんし、草刈りの問題も出てくる。そういうところも納得してもらわないといけない。県に丸投げするわけにはいかないので、一緒になってやっていきたいです。

今川 県に確認したところ、桜の伐採はなんとか来春の花見の後にできそうでした。できれば桜を切る前に、多くの人に納得してもらうことが大切です。仮設住宅が解消してからという答弁もありましたが、伐採前に急いで景観対策を進めてほしいです。アンケートに協力した地元外の方から、協力したいという話もあり、市民にも呼び掛けてほしいです。

【公共施設管理計画と市財政の見える化について】 

今川 気仙沼市では義務教育環境整備計画によって小・中学校の統廃合、児童福祉施設等再編整備計画によって保育所などの再編が進められています。さらに、復興事業によって新たなコミュニティーセンター、公園の整備、震災遺構の保存が予定されていますが、計画はそれぞれ進められています。本来なら、既存施設を含めて公共施設としての機能分担、将来的な維持管理費、地域バランスを含めて総合的に検討しなければ、将来に大きな負担を残す心配があります。そこで次の4点について質問します。

1.現在、新たな公共施設を整備する際、将来的な維持管理費、機能分担、地域バランスをどの部署が整理し、どのような仕組みで政策的な判断をしているのか示して下さい。

2.公共施設の維持管理費の総額について、震災前、現在、将来見通しを把握している範囲で示して下さい。

3.国が全国の市町村に策定を求めている(26年4月総務省通知)公共施設等総合管理計画は、所有施設の現状と経費の見通しを把握し、コスト縮減、老朽化対策などを示すことになっています。計画策定経費に対する国の支援は28年度までですが、気仙沼市の策定スケジュールを伺います。

4.南気仙沼地区で計画されている復興市民広場の芝生化、震災遺構、公民館やコミュニティー施設など新たな公共施設の整備、市が買い取った被災宅地の活用策、統合後の学校施設活用など、市財政に影響する計画が多いのに、個別に判断され、財政面での総合的な議論が不透明なことが心配です。公共施設等総合管理計画の策定に先行し、市の財政状況と公共施設の維持管理費を関連付けてまとめ、市民に周知するとともに、28年度に予定している市総合計画の見直し議論にも反映させることを提案しますが、市の考えを示して下さい。

菅原市長 本市において新たに施設を整備する際は、担当部署に置いて原案を作成し、必要な予算を確保して施工することになっています。なかでも規模の大きい施設等は重要施策と位置づけ、市長、副市長、教育長、自治区長、関係部課長で構成する政策調整会議で調整し、さらに重要と判断される施設は庁議にかけて最終決定することとしています。これらの審議のプロセスにおいて、市総合計画や新市建設計画、基本計画、震災復興計画など各種計画の位置づけや必要性を確認するとともに、施設規模や事業費、将来における費用負担、他の同種施設の整備状況、整備予定の市区域内における配置バランスなどを総合的に判断する仕組みになっています。

次に公共施設の維持管理費の総額についてお答えします。地方自治法等 の規定に基づき毎年度作成している決算統計に、施設管理費等の年間所要経費を集計しており、その金額は震災前の平成22年度で約22億円、26年度で約21億円とほぼ横ばいとなっています。本市としては当面この水準を維持し、将来に向けて可能な限り削減したいと考えています。しかしながら、決算統計の施設関係の集計対象には、様式上、学校施設や公営企業施設等が含まれておらず、市全体の施設管理経費はさらに大きくなりますが、現時点においてその総額は積算しておりません。

次に公共施設等総合管理計画の策定スケジュールについては、現在、他の自治体の策定状況等の情報を収集し、本市における進め方の検討を行っているところであり、来年度中の策定を目指しております。

次に本市の財政状況と公共施設の維持管理費の関連付けと市総合計画への反映についてでありますが、公共施設等総合管理計画の策定により本市の公共施設の維持管理経費の見通しが明らかになり、今後の方針も決定することになりますので、財政状況との関連付けや市民への周知については、同計画の策定に合わせて検討して参ります。また、次期の市総合計画の策定作業も来年度行うこととしておりますが、公共施設等総合管理計画の策定において議論される施設管理の基本的な考え方については市総合計画にも反映させるべきものと考えています。

今川 公共施設等総合管理計画の策定は26年4月に総務省から通知されていますが、多忙な復興期の策定になるのであまり急ぐ必要はないと考えていました。しかし、復興事業によって新しくできる施設が結構出てくると、将来負担を含めて総合的に判断することが必要なのではと心配になってきました。そこでいろいろ調べてみると、28年度が策定費用に対する国の支援の期限だと分かり、質問項目に取り上げました。答弁にあった維持管理費22億円には小中学校分が含まれていないということですが、把握できないものでしょうか。

畠山修財政課長 あらためて拾い直せば把握できますが、現在のところ数値はとっていません。

今川 先行して策定している市町の計画を見ると、どこでも人口が減っていく中で、公共施設は発展期の人口が多かったころの自治体規模に合わせて整備され、同じような時期に更新(建て替え)が必要になります。しかし、予算規模の縮小によって更新費用だけでも負担することが大変なので、新しい施設はつくれないという方針を打ち出しています。気仙沼市もピーク時に9万人以上いた人口が2040年には4万人台になることが推計されている。人口がピーク時の半分になるのに、公共施設はむしろ増えている。新しい施設はありがたいが、財政面の不安があります。

東洋大学のPPP研究所が24年1月に公表した「全国981市区町村の後期用施設延床面積データ」は、人口1人当たりの面積を調べています。気仙沼市は5.1㎡で、人口7万~8万人規模の40自治体の中では3番目に高い数値となりました。市町合併した自治体は高い傾向にあり、全国平均は3.42㎡です。市として市民1人当たりの延べ床面積は把握していますか。

畠山課長 現状では把握していませんでした。まさしく来年度策定予定の公共施設等総合管理計画の中で検討できればいいなと考えています。

今川 先日、リアス・アーク美術館を継続していくためには市民1人当たり200~300円程度の負担増でいいのだという説明がありましたが、そのように市民に分かりやすい説明が必要です。ただ、公共施設はたくさんあり、美術館のように単純な話ではなくなります。しかも、税収が減り、自由に使える予算は制限されます。そこで、注目されている神奈川県秦野市の公共施設総合管理計画を紹介しますが、なるほどと思ったのは、広報にとても力を入れていました。策定した後ではなく、なぜ計画を策定しなければならないのか、どういう方針で策定するのかという段階から市民へ丁寧な情報発信を行っています。痛みの伴う改革には、市民の理解が欠かせません。気仙沼市もぜひ広報に力を入れてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

菅原市長 公共施設の面積の統計は、取り方によって変わることもあるので、本格調査の時は同じスケールでやりたいと思っています。市民に理解してもらうためには、今回の地方創生で示した人口ビジョンが一つのきっかけになると考えています。先行事例の体育施設の在り方検討会はまさしくそういうことです。何も考え方を示さないと、ここにも野球場、こっちにも野球場ということになりかねません。それはできないだろうということを前提に、話を進めるというプロセスがいままさに求められていて、我々は人口ビジョンを作る中でそのきっかけを得たというふう考えています。おっしゃる通り、まずは市民の理解を得るということからしっかりやっていきたいと思います。

今川 私も運動施設の在り方検討委員会が財政の話なしで進んでいることを心配しています。だから基礎データだけでもいいので急いでほしい。人口のビジョン、市財政の中期シミュレーションは出ましたが、公共施設という観点ではまだデータがありません。復興当初は仕方ありませんでしたが、今後の5年間は復興だけでなく、地域課題の解決も並行して取り組まなければなりません。

地方創生が人口減少を食い止める攻めの政策ならば、公共施設の総合管理計画は対処療法的な守りの政策です。この二つを表裏一体で進めることが大切です。縦割りにならず、計画を策定するためには、担当部署と進め方がポイントになりますが、どのように考えていますか。

畠山課長 全体のとりまとめは財政課の管財部門を想定しています。しかし、「公共施設等」には道路や橋梁まで含んでいますので、全庁的な態勢をつくらなければならないと思っています。地方創生との関係については、公共施設等総合管理計画も人口ビジョンを立てて、それに基づいた計画づくりをしなければならないといわれています。地方創生の人口ビジョンと同じデータを使うことを想定しています。

今川 財政課と取りまとめることで心配なのは、財政を取りまとめる部署ですので、担当者の増員を自ら申告しにくいということです。大切な計画になりますので、しっかりとした人員配置をお願いします。市長いかがですか。

菅原市長 当市だけではないが、右肩下がりを前提に政策をすすめていくという経験は多くありません。当市は義務教育環境の整備を進めていますが、こういうことも過去にはなかったし、全市的に行うことは極めて困難だと思います。道路と橋梁も含まれるということでしたが、地域で市政懇談会をすると圧倒的に道路の要望が多いです。一方、地方創生の戦略会議や分科会の議論では、道路の話は一切出てきません。彼らの価値観に道路はないように見えました。この地域に住むために何が大切なのだろうかということです。だから、公共施設も一概に小さくしていいのかということもあろうかと思います。例えば、ただで使える体育館やテニスコートがあることが、もしかすると文明の高いまちかもしれない。そういうような、このまちに住むにはいいかもしれないということも含んだ議論も展開されなければいけないという意味で、非常に高度な政治判断が必要ですし、行政側もアンテナをはっていけるように、バランスのある人が携わっていかなければならないのです。

ですから、もしかして行政の人だけではできないかもしれません。情報収集がそんなにできないかもしれないので、外部の手も借りながら、人はしっかり対応していかなければなりません。そのためには、行革の話も進めていますので、今までになく外部の人も一緒に入ってたたき合いを始めています。そういうところで、カットできるものはカットして、人員も生み出していきたいと考えています。

今川 先ほど紹介した秦野市のキャッチフレーズは「未来につなぐ市民力と職員力のたすき」です。市民力も職員力もどっちも大切ということです。困難な政策ですので、人員配置はよろしくお願いします。北海道石狩市、愛媛県伊方市、富山県南砺市などの計画を見ましたが、キーワードは「複合化」「新しいハコモノはつくらない」「一元的なマネジメント」「活用が見込まれない施設の廃止」でした。秦野市も中学校との公民館の複合化に取り組んでいますが、私も複合化はポイントだと思います、気仙沼市も鹿折で認定こども園と児童館、図書館と児童センターで複合化を計画しています。どのような判断で複合化を決断したのですか。

菅原市長 もう1つ、鹿折の災害公営住宅と市民福祉センターも複合化施設となります。ここは利便性が高いということと、商店街を形成するところの脇に大きく駐車場を利用できるという意味で、にぎわい創出に全体としてつながり、シンボリックなものを早めにつくることによって、鹿折に戻ってくる人を促すということがありました。

図書館は駐車場がほとんどない珍しい図書館でした。実は、図書館は閉館したのに、(中央公民館内の仮施設の)利用者は減っていません。元の場所では中学生が主体で、あとはレギュラーメンバーでしたが、図書館を小さくして低地に持っていったら意外と人が来ているのです。災害復旧なので場所は変えられませんが、駐車場は100台近くに増えます。複合化することによって人を招き寄せられる要件を増やすことになります。

もう1つ、さっきの話からずっと感じているのですが、数を減らしていくと、アクセスは個人個人にとっては悪くなります。その場合、お金との関わりですけど、アクセスの部分を公共が担っていかないといけないかもしれません。太いアクセスで単純に結ばれれば、民間がやれるかもしれません。複合施設は利用者が多くなるという意味で大事なポイントだと思います。もちろん、建設整備費、維持管理という原点を含めて、有効な手段だと考えています。

今川 面瀬地区でも認定こども園、公民館の複合化を担当に持ち掛けたことがありますが、福祉と教育に部署がまたがるために進めにくいと感じました。部署を超える政策は誰かがコーディネートしないと進みません。これから新しい事業が進む中で、複合化の可能性のチェックは市長に頼らざるを得ないのでしょうか。

菅原市長 市長が毎回チェックするようではダメだと思います。それがまさしく職員の意識改革です。それがルーチンにならなければいけないと思います。例えば、私がいま職員の皆さんにきつく話すことがあります。建物を建てるときに起債や補助の説明がありますが、その起債や補助が別な事業に使えなかったのかと確認すると、もう入札してしまっていたりします。そういうことは報告に出てこない。何かということは差し控えますが、それは過去にもずっとあり、100万、200万円ではない。一方、ディオジャパンは、どのタイミングでも一番小さな損失で終わるというように各断面でチェックしながらやってきましたが、そういうことが起きてしまいました。私が言っているのは、これは罪ではないけれど、見逃したら罪だしミスと考えて下さいということを、きついかもしれないけど職員に話すように習慣づけています。そのことが全体として意識改革としていきわたる必要があるなと思っているところです。それを私というより、庁内の当たり前のルーチン作業として行えるような習慣をつけていきたいと思います。もちろん、計画策定においては、その場面のチーフが出てくると思いますので、その方にもそういう話をして、またそういう人がチーフになっていくということが必要だと思っています。

今川 復興後の重要な政策になりますので、ぜひ力を入れて下さい。気になる秦野市から職員を呼んで、職員に聞いてほしいくらいです。最後に秦野市のことをもう一つだけ紹介します。気仙沼市は「できませんとは言いません」というキャッチフレーズがありますが、秦野市は「ない袖は振れぬ」というキャッチフレーズもあります。おそらく、次のステップはそこにあるのだと思います。「できないことはできない」というところに進んでいかないといけないのかもしれません。

菅原市長 「ない袖は振れぬ」と言うためには、「できませんとは言いません」ということを徹底してやって、尽くしているということが皆さんに認められて初めて「ない袖は振れぬ」と我々の職場としては言えるのだと思います。そういう気持ちで進みたいと思います。

 

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