復興のカギは「被災宅地108㌶の活用」

震災から3年5カ月、復興計画に基づいて気仙沼市の復興が進められているが、私はこの復興計画が100%達成できたとしても、気仙沼の復興は必ずしも成功しないと思っている。この計画は復興交付金制度が確定する前の23年10月に策定したものの、その後見直されたことはない。このため、計画策定後に発生した問題には対応できていないのだ。
問題はいろいろあるが、今回は被災宅地に特化して現状と課題を報告する。
震災によって浸水した土地は約1800haあり、市はこのうち1400haを災害危険区域に指定した。災害危険区域に指定すると、基本的に住宅が建設できなくなるという厳しい制限を受けるため、市は高台移転を誘導するとともに、使い道のなくなった被災宅地を買い上げることにした。買い取るのは、震災前に住居があった宅地のみで、何もなかった宅地、農地や山林は対象外となる。
被災宅地の買収状況住宅は制限されても、商業施設などは認められるため、土地所有者に市への売却意向を確認した。その結果、買い取り対象となる180ha(5000筆)のうち、売却を希望したのは108ha(3041筆)。市は26年7月末までに73ha(2090筆)を買い取った。残りも27年度までに契約を済ませる予定だ。
災害危険区域内の宅地買い取りは、防災集団移転促進事業によって進められている。住民が高台に移転した後、再び危険な低地に戻ることがないように国が買い取り費用の全額を負担する(元々は農地なども買い取る制度だったのだが、東日本大震災で緩和された)。気仙沼市内だけで130億円の予算が用意されている。
危険な区域に人を集めないための政策のため、本来は買い取った土地は活用しないことになっている。しかし、沿岸の広大な土地を行政が所有したまま活用できなければ、維持管理費の負担が続くだけでなく、巨費を投じて整備する防潮堤の意味する薄れてしまう。そこで、被災自治体は国に要望を繰り返し、民間へ譲渡・交換できる仕組みをつくってもらった。
ところが、買い取った宅地は点在しており、活用するといっても難しい状況にある。土地区画整理のように点在する土地を集約する制度もあるが、時間も手間も費用もかかる。市は現在、資材置き場、地域の花壇などとして一時的に貸し付けるルールづくりを進めているが、抜本的な対策にはたどり着けずにいる。先行する東松島市では固定資産税と同じ賃料で、一時的な利用に限って貸し出しているが、ボランティア団体や地域へ無償で貸し出したり、活用に関する取り組みを支援する仕組みも必要だろう。
この問題は、復興計画にはないが、被災地が復興するためにはとても重要な課題である。買い取り総額が130億円ということは、市が所有し続ける限り、税収が発生しない。土地の固定資産税は評価額の1.4%であり、130億円の土地を買収すると、毎年2億円近い税収を失うとこになるのだ。この土地を活用し、固定資産税どころか、市民の所得向上につながれば復興は大きく前進する。
魚市場前の被災宅地買収被災宅地の活用と、地域が抱える課題を一緒に解決することもアイデアによっては可能だ。例えば、点在する土地を若者に貸し出し、商売で芸術でも好きなことに取り組んでもらえば、人口を増やせるかもしれない。その土地は、企業や篤志家に1坪オーナーになってもらうなどして、固定資産税だけは市に納めてもらう。建物は、これから大量に余ってくる仮設住宅を活用できる。実は、被災宅地は水道などのライフラインがもともとあり、活用しやすいのである。
この問題は、災害危険区域を設定した被災自治体共有の悩みである。つまり、アイデア勝負だ。解決策を市役所だけで考えようとせず、市民に、気仙沼ファンに広く求めたい。
※左の地図は、気仙沼魚市場前の宅地買い取り状況。赤と緑色の土地が市の所有になる。

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