石巻赤十字病院と気仙沼の関係【視察報告】

気仙沼市議会の市立病院建設事業調査特別委員会で、埼玉県春日部市、群馬県富岡市、宮城県石巻市を行政視察してきました。新病院の建設が進む中、病院間連携、付属看護学校の役割などを学んできました。

委員8人のうち7人が参加。人口や病院規模が似ていたり、公立の看護学校があるなど、気仙沼の参考になる三つの病院を視察してきました。

■春日部市立病院 看護学生にも奨学金

今夏の開院に向けて市立病院の移転新築工事が行われている春日部市では、老朽化した現病院では小児科医が一斉に退職するなどの問題があり、新病院の計画が加速したといいます。363床、22診療科の新病院では診療ブースを増やしたうえで、曜日によって割り振りを変えるなどして待ち時間対策とします。予約方法をどうするかが課題だそうです。

市立看護学校はもともと病院の付属校でしたが、独立させました。都心から35㎞圏にありながら、授業料が安いので市外からも学生が集まります。市立病院で働くと返済が免除される奨学金(月3万円)を用意しており、毎年30人の看護師採用枠の中で、8~9割は市立看護学校の卒業生が占めています。
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■公立富岡総合病院 電子カルテの先進地

富岡市と甘楽町による富岡地域医療事務組合が開設する公立富岡総合病院(337床)では、平成14年に電子カルテシステムを先駆的に導入しました。完治が望めないがん患者のための緩和ケア病棟、健診センター棟の新設、退院時アンケートやナイトスクールの実施などでも注目されています。

富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合が開設して医師会が運営する「公設民営」の富岡看護専門学校は、准看護師が看護師になるための夜間定時制です。公立病院に就職する学生は1~2割程度。公立病院では定年後の再任用を希望する看護師が多く、新規採用の見通しを立てることが難しいそうです。

■石巻赤十字病院 気仙沼から年間135人入院

希望して視察先に入れてもらった石巻赤十字病院は、日本赤十字社宮城県支部が開設する民間病院ですが、支部長は宮城県知事という公的な位置づけの高い病院です。460床、28診療科で1104人もの職員がいます。新たに設定された石巻・登米・気仙沼医療圏では最大規模で、この医療圏では唯一の救急救命センターがあります。

昨年3月に災害医療研修センター、7月に救命救急センターの機能を拡充するための北棟が完成しました。施設も研修も充実し、臨床研修医の倍率が5倍という東北トップクラスの人気を誇ります。医師数も充実していて、気仙沼市立病院に小児科医などを定期的に派遣しているほか、大島診療所の支援も続けています。

26年度の患者数は入院が延べ15万5730人、外来が27万5266人でした。このうち気仙沼市からの入院は延べ2172人(実質135人)で、外来患者は2245人でした。

昨年10月から12月の外来患者を分析すると、気仙沼市から通院したのは641人で、このうち30%が血液内科を受診しました。消化器内科、乳腺外科、小児科、外科は5~7%の割合でした。今後、三陸道の延伸によって、気仙沼市立病院との連携が重要になりそうです。28年度策定の宮城県地域医療構想に注目です。

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■看護学校の役割を再考

今回は、食堂や売店の状況、キッズコーナー、外来の待ち時間対策、看護学校の授業料や役割などに重点を置いて私は視察してきました。新病院に併設される看護学校の位置づけには特に関心があり、やはり気仙沼の場合、市立病院に就職する割合が極端に低いのに、授業料が安く、市民の負担によって成り立っていることが課題だと実感しました。ちなみに月額授業料は市立病院付属が1万1000円に対し、気仙沼医師会付属高看が4万円です。医師会の方が地元定着率が高いと考えると違和感があります。

各地で導入されている看護学生への奨学金制度も、市立病院の採用計画がハッキリしないと導入は困難です。この授業料や奨学金の問題は、移転までにしっかり議論したいと思います。

団塊世代の高齢化による影響が心配されている「2025年問題」「2030年問題」についても再認識させられました。新病院で新設するリハビリテーション科の採算性の課題も指摘され、28年度に行われる診療報酬の改定に十分注意するようにアドバイスを受けました。

 

 

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