陸前高田市の復興祈念公園計画【その内容とは】

気仙沼市のお隣の岩手県陸前高田市で、全国的に注目される「高田松原津波復興祈念公園」の基本計画案がまとまりました。4月18日から意見公募がスタートし、19日には陸前高田市で市民説明会が行われました。計画案の概要をお伝えします。公園は32年の供用開始予定です。

気仙沼市民も大好きだった場所なので、高田松原の詳しい説明は省きますが、年間100万人が訪れていたそうです。陸前高田市の復興計画では、その高田松原のメモリアル公園化が「住まいの再建」に次ぐ2番目の重点事業に位置付けられました。

市民による署名活動などによって、被災各県に1カ所ずつ整備を検討していた国営の追悼施設の誘致にも成功。国、県、市によって基本構想、基本計画案をまとめました。

■公園面積は130㌶「南気仙沼の26倍」

その基本計画案によると、公園の区域は130haです。南気仙沼地区の復興市民広場でも5haですので、いかに広大な公園か分かると思います。

下の図は震災前の施設配置図ですが、かつては道の駅をはじめ、県立高田松原野外活動センター(キャンプ場やテニスコート)、市営球場、海と貝のミュージアム、B&G海洋センター、ユースホステルがあった区域です。赤い点線で囲まれたエリアが復興祈念公園になります。

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テニスコートでは気仙沼市の大会も開かれていました。海と貝のミュージアムが好きだった気仙沼市民も多く、実は私の母が年間パスポートを持っていて、長男をよく連れて行ってくれました。

■公園内に国営の追悼施設

公園は国道45号沿いの賑わいを取り戻すことなども目的とし、整備の基本方針は以下の通りとしました。

・失われたすべての生命の追悼・鎮魂
・東日本大震災の被災の実情と教訓の伝承
・復興への強い意志と力の発信
・三陸地域に育まれた津波防災文化の継承
・公園利用者や市街地の安全の確保
・歴史的風土と自然環境の再生
・市街地の再生と連携したまちの賑わいの創出
・多様な主体の参加・協働と交流

この130haの公園区域を、追悼・鎮魂の場、市民憩いの場などに分けて空間配置しました。

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■防潮堤の上に「祈りの場」

下の図は公園完成後のイメージです。追悼・鎮魂の場には、奇跡の一本松、道の駅の被災施設、ユースホステルを震災遺構として保存し、国営追悼・祈念施設を整備します。物販などを行う地域振興施設、震災伝承施設の整備も計画しました。祈りの場は、海が見える防潮堤(2線堤)の天端を検討しています。

この図では見えませんが、市民憩いの場には、野球場、サッカー場などを復旧させます。

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■松原復活に50年の月日

海岸には、もともと2つの堤防があったので、1線堤は震災前と同じ海抜3mで復旧し、2線堤(震災前は5.5m)は12.5mのレベル1津波対応にします。1線堤はほぼ復旧し、2線堤も28年12月の完成予定です。工事用の桟橋は撤去中です。

1線堤と2線堤の間の12.1haに、松林を復旧させます。3m盛り土してから植栽します。市民による植樹も予定していますが、2線堤の堤高を超えるような松になるまで50年ほどかかるそうです。

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■砂浜の自然再生は困難

課題は2㎞にも及ぶ海岸の砂浜の再生です。自然回復が困難と判断したため、砕石で埋めた後、表面に砂の搬入を予定しています。27年度に200m区間で試験施工し、モニタリングしてから工法を決めます。

 

なお、陸前高田市では、奇跡の一本松、ユースホステル、道の駅のほか、気仙中学校の被災校舎、4階まで津波が到達した定住促進住宅も保存予定です。復興交付金では1自治体1つの保存費用しか認められませんが、陸前高田市の場合は岩手県が積極的に動いたようです。ただ、ユースホステルの保存は未確定です。

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■管理運営、市民参加も検討

基本計画案を作成するための検討委員会には、空間デザインのワーキンググループのほかに、協働デザインのワーキンググループが設置されました。市民参加がなければ、持続的な公園づくりが難しいと考えたからです。

段階的な組織づくりを進め、最終的には公園を維持管理する指定管理団体、行政、コーディネーター、各施設の管理団体、サポート企業などによる「円卓会議」の設置を提案しています。

■供用開始は32年度

国営追悼・祈念施設や周辺施設の供用開始は、震災10年の平成32年度の予定です。東京オリンピックの開催年でもあります。

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そのころには、三陸道が全線開通し、気仙沼~陸前高田の移動時間は短縮されます。道州制や市町合併も進んでいるかもしれません。県や市の壁を越えて、震災の教訓を発信し、交流人口を増やしていく方法もちゃんと考えなければなりません。今でも、気仙沼市の宿泊施設から陸前高田市を訪れている観光客はたくさんいます。

計画案は、東北地方整備局のホームページで公表され、5月18日まで意見募集しています。陸前高田市の公園づくりをこれからも継続して見守っていきたいと思います。

 

 

 

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