被災8000世帯の選択

すっかりお堅いホームページになってしまいましたが、今回はさらに難しい住宅再建問題を考えてみましょう。
被災者生活再建支援金の基礎金交付状況から、気仙沼市で被災して再建が必要な世帯は8000世帯だと思われます。このうち、市外に出た人も含めて2900世帯が、自宅を修繕したり、アパートに移ったり、自力で移転新築したりして再建済みです。
残りは5100世帯ですが、これから完成していく災害公営住宅へ2200世帯、防災集団移転に966世帯が申し込んでいます。あと1900世帯は、集団移転にも災害公営住宅にも参加せず、みんな個別に再建するのでしょうか?もう少し掘り下げて考えてみましょう。
気仙沼市の住宅再建状況

冒頭に紹介した被災者生活再建支援金は、大規模半壊以上の大きな被害を受けた世帯を対象に、持ち家、賃貸に関わらず基礎金として最大100万円を支給しています。基礎金を受けた世帯が再建するとき、加算金(最大200万円)がもらえます。
気仙沼市では基礎金をもらった8000世帯のうち2936世帯が加算金をもらっており、被災世帯の三分の一は再建を果たしたということになるのです。加算金の内訳は、自宅の建設・購入が1595世帯(市外での再建も多い)、被災した自宅の補修963世帯、賃貸への入居378世帯でした。
この数字を市が24年7月に実施した意向調査に重ねてみると、被災した住宅の修繕はほぼ終了していることが分かります。個別での移転新築も落ち着いていくことでしょう。注視が必要なのは、意向調査で「検討中」と回答した960世帯の動向です。
気仙沼市は今年4月、「検討中」としていた仮設住宅入居者に絞って、再調査を実施しました。
531世帯が対象で、「自力再建」と回答したのは228世帯。すでに申請を締め切った災害公営住宅と集団移転を36世帯が希望しました。残る267世帯は「未定」「未回答」でした。市に求められるのは、この267世帯のフォローです。私は、何にも申し込まないまま、仮設住宅に取り残される世帯が出てくるのではないかと心配しています。なお、仮設住宅にいる約3000世帯のうち、1532世帯が災害公営住宅、711世帯が防災集団移転に申し込んでいます。
また、災害危険区域から外れるなどして、国の制度的な支援を受けられない世帯を対象とした市の独自支援制度も早急に見直す必要があります。
独自支援には復興基金から約70億円を用意しているのに、支給したのはまだ15億円だけです。大まかに3種類の支援メニューがあります。その中でも「災害危険区域から外れた世帯が再建する場合の利子補給などに最大300万円」は、1500世帯の利用を見込み43億円を用意しましたが、85世帯2億3千万円の申請にとどまっています。
危険区域から外れると、被災宅地を市に売却することができず、資金が確保できなくて自力での再建が難しくなります。このため、災害公営住宅に入居を予定している世帯の約半分に当たる1100世帯は、災害危険区域から外れた世帯になるそうです。危険区域外の世帯の自力再建が相当難しいことを物語っています。市は独自支援制度の利用見込みを早急に精査し、浮いた費用で補助金額を上げたり、新しいメニューを創設したりすることに取り組まなければなりません。制度の対象外となった世帯の住宅再建を応援するための交付金なので、余れば返金しなければなりません。独自支援は29年度まで利用できますが、再建を促進するためには、あまり時間の余裕はないような気がします。
もともと災害公営住宅への入居を抑制するためのお金が、災害公営住宅への引っ越し費用に使われる問題もあります。
どんな支援をすれば、悩んでいる人たちが気仙沼での再建に踏み切り、再建した人たちが救われるのか。私は地盤沈下した土地のかさ上げを支援することが一番だと思いますが、皆さんの知恵も貸してください。
なお、生活再建支援金の基礎金を受け取った8000世帯のうち、2227世帯が単身世帯でした。

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