小泉中、馬籠小は29年4月に統合へ。さらに進む小・中学校再編【気仙沼市】

気仙沼市立小泉中学校、馬籠小学校が29年3月末で閉校し、津谷中学校、津谷小学校へ統合することになりました。保護者と地域の理解を得て、26日の市教育委員会定例会で承認されました。2月の市議会定例会に学校設置条例の改正が提案され、正式決定します。ここで気仙沼市の小・中学校再編の状況をまとめておきます。

■第2段階(29年)で5校を統合。複式学級解消へ

市教委は急激な少子化を受け、25年6月に気仙沼市義務教育環境整備計画を策定しました。10年間を3段階に分けて小・中学校の統合を進める計画で、すでに第1段階で浦島小(25年4月)、落合小(26年4月)、白山小、小原木中(27年4月)が近接校に統合されています。

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27~29年度の第2段階では、29年4月に月立小を新城小に、小原木小を唐桑小に、水梨小を松岩小に、馬籠小を津谷小に、小泉中を津谷中に統合する計画です。小学校は複式学級の解消、中学校は規模の小さい学校の解消を目的にしています。

保護者と地域の理解を得ながら統合することが条件となっているため、本年度に入って説明会(懇談会)が重ねられてきました。ところが、5校それぞれで保護者と地域の反応が異なっています。そこで市教委は、保護者の理解が得られた小泉中と馬籠小を先行して手続きを進めました。

■馬籠小は保護者が統合望む

山間部にある馬籠小は、現在の児童数が32人です。2学年合わせて16人以下(1年生を含む場合は8人以下)だと複式学級になりますが、馬籠は3・4年生と5・6年生が複式で、同じ教室で1人の担任が教えています。住民登録を見ると、児童数は今後増加する可能性かありますが、複式学級の解消には至りません。

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市教委は保護者、地域と3回ずつ懇談会を開き、津谷小・中学校向けの説明会も行いました。そして8回目となった地域懇談会(今年1月13日)には保護者や地域住民ら45人が参加し、一定の理解を得て、29年4月の統合へ進むことが決まりました。

馬籠小

地域住民は地域の衰退を懸念して反対していましたが、保護者が「子どものことを第一に考えてほしい」と早期統合を求めました。

「複式だと5年生で6年生の算数まで勉強することもあり、中学校で忘れてしまうのではないかと心配だった。特に高学年は学力の差が出てしまう」「1年生が3人だけで2年生一緒に体育をしているが、やはり2年生との差は大きい。多人数の同学年の中だと活躍出来たり、自分の力が分かったりするのではないか」「少人数に慣れると、多人数の中で自分の意見を通せなくなることが心配」「どうせ中学校は津谷に通うことになる。馬籠小からだと慣れるのに時間がかかり、津谷への劣等感もある。どうせなら小さいうちに一緒になった方がいい」

■住民からは少子化対策への不満も

母校がなくなる寂しさを乗り越え、保護者が相次いで統合に賛同する中、地域住民は「160年続いた学校の閉校を簡単に認められない。閉校してすぐに校舎を再活用できるように進めてほしい」「地域には賛否両論があるのに、意見を言えない雰囲気がある。もっと意見を出し合い、納得した上で決めないと小さな集落にしこりが残る」「少子化対策も不十分な中での統合は理解できない。子どもを増やす努力が先だ。地方創生にも逆行している」という慎重論も出ました。

意見が出尽くしたところで、菅原茂市長は「地域振興と教育環境を取引することはできない。地域づくりは大人の責任。統合準備には1年が必要で、統合を先延ばしすれば子どもたちが犠牲になる」と説得。この懇談会を最後に、統合準備に入ることにしました。

■小泉中は「統合やむなし」

学区内の多くが津波被害を受けた小泉中は、内陸部にある津谷中へ統合する。現在の生徒数は42人。今後も減少を続け、33年度には27人になる見通しです。部活動は女子バレーと男子バスケ、男女のソフトテニスだけで、男女それぞれ2種目しか選択肢がありません。津谷中だと野球、サッカー、卓球、美術、吹奏楽も選択できます。

小泉中でも保護者と住民が一緒になった懇談会だと意見が出にくいので、保護者だけの懇談会を開き、保護者からは一定の理解が得られました。今年1月18日の最後の懇談会は、保護者と住民ら30人が参加。保護者からは人数が少ないことで、部活も学習も行事も負担が大きくなっていることが説明され、「母校がなくなるのは寂しいが、子どものことを考えると仕方がない」との意見が多かったです。

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■「延期すると子どもが流出するリスクある」

一方、住民からは「復興途中に中学校がなくなれば、地域のダメージ大きい。統合は仕方ないが、復興の方向性が見えるまで3年くらい延期してほしい」「懇談会への参加者が少ない。幼稚園や小学校の保護者の意見も聞いてほしい」などと要望しました。

菅原市長は「3年延期すると、その間に子どもが流出リスクもある。決めたら早い段階で進めないと別な弊害が出てくる。決定しないと統合準備も進められない」などと理解を求めた。これは統合計画が発表されると、最初から統合先へ入学する傾向があり、結果的に延期するほど児童・生徒数が見込みよりも流出することになる心配を説明しています。計画を公表して進めている中、延期することにもリスクがあります。

小泉中

小泉中、馬籠小ともに、統合後はスクールバスを運行します。朝は1便、帰りは2便の予定です。学校跡地や校舎の活用は、地域の意見を聞きながら庁内の検討組織で検討していきます。

■どうなる?未決定の3校

市教委はこれまでの統合の教訓を踏まえ、1年の準備期間が必要だとしており、29年4月の統合には、もう準備を始めなければなりません。市議会2月定例会で議決されれば、子どもたちの交流会、教員間の情報交換、統合準備組織の立ち上げを進めていきます。こうした準備のため、統合前年度は教員を増やして対応するので、人事異動もからんできます。この段階で意思決定しないと、29年4月の統合は困難になるのです。

水梨小

ところが、馬籠小より児童数が少ない月立小(児童数30人)と水梨小(28人)、そして中学校がなくなったばかりの小原木小(33人)は、保護者や地域との合意形成には至らず、新たな懇談会の予定もありません。市教委は27年度に予定していた計画の見直し作業を進め、計画を見直してから説明に出向く考えです。見直しは第3段階も一緒ですので、見直し案ができるのは3月に入ってしまいそうです。そこから29年4月の統合を目指すのはかなり困難です。

■計画見直しと合わせて統合延期の是非判断

市教委は「年度内いっぱい理解を得るための努力をし、場合によっては年度をまたぐ可能性もある」と議会で答弁していますが、先延ばしの可能性が濃厚になってきました。

地域の望みどおりですが、延期のリスクを忘れてはいけません。白山小は統合前年に入学を予定していた児童2人が、統合先の鹿折小に入学しました。入学して1年で統合するなら、最初から統合校へ入学させようと考えるのが親心です。統合先の方が保育所・幼稚園の友人が多いということもあります。現在、入学する学校の変更届を受け付けていますが、その結果に注目しなければなりません。

そもそも、「年度内いっぱい理解を得るための努力をする」という答弁とは異なり、月立小は昨年8月、小原木小は昨年10月、水梨小は昨年11月の懇談会が最後になっています。29年に入学や卒業を予定している保護者は、どうなるか分からずに不安を抱えているのです。市教委は年度途中で決定する可能性も示していますが、複式学級のカリキュラムを統合に合わせて変更するなどの対応、学校行事を合同で行うための調整も必要で、大きなリスクを伴います。

■第3段階では6校を統合

30~33年度の第3段階では、中井小と唐桑小、小泉小と津谷小、大島小と鹿折小、大谷中と階上中、大島中と鹿折中、条南中と気仙沼中の統合を計画しています。第2段階の懇談会では「子どもを増やせないか」という指摘もありましたが、団塊ジュニア世代が出産期から抜けた後の現実的な状況を理解してもらう必要があります。

50年間の気仙沼市出生数推移

現在、計画見直しに向けて各校のPTA役員と懇談会を開いていて、2月2日には一巡する見込みです。複式学級の解消と異なり、適正規模を目指した統合ですので、地域の理解は欠かせません。児童・生徒数が同規模の学校もあり、どちらへ統合するのかも大きな課題です。第2段階までは教育の視点が重視されましたが、第3段階では地区の単位、公民館機能、地域振興を含めて総合的な視点が求められます。

 

 

 

 

2 Comments

  1.  震災前の出生児数から勘案しても第3段階を計画の通り実施しても早晩学年一学級校が林立することになってしまうと懸念していましたが、震災後の出生児数推移からは確信に変わりました。
     生徒が少ない中学校は先生方が複数教科を掛け持ちしたり多忙な教頭先生が教科指導に入ったりするので学習面も心配ですし、選択できる部活動の偏りや部員不足は生徒たちが可哀想。気仙沼市は隣の岩手県と違って中学生の部活加入は任意のはずですが生徒が少ないと加入を強要する空気感にも繋がるので「やりたい部活じゃないのにやらざる得ない」生徒たちが出てるはずです。
     第1段階・第2段階に重ねた統合は不憫にも感じますが統合時の在校生が卒業してしまえば児童生徒本人への影響は無いはず。第3段階はさらに2段階に分けても良いのでもっと踏み込んだものにして欲しいと改めて思います。

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  2. 今川 悟 (Post author)

    統合計画の見直し案は3月に公表予定です。第二段階の統合対象校の保護者や住民からは「子供が増えるかもしれない」という期待の声がありました。
    復興への期待、地方創生への期待によるものですが、現実の問題は伝わっていない気がします。
    今後加速する少子化をどのように伝えていくかが重要になりますが、あまりネガティブすぎると問題を深刻化させてしまいます。そもそも教育委員会がどこまで認識しているかも課題です。

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