三陸道の開通見通しと復興予算

東北地方整備局が「27年度予算を踏まえた道路事業の見通し」を公表しました。三陸道は気仙沼市内で3か所の開通時期が示されました。最新の状況は下表の通りです。

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予算の配分だけでなく、用地取得の状況も開通時期公表の材料となります。今回は歌津~歌津北(4㎞)、唐桑北~陸前高田(10㎞)が平成30年度、気仙沼~気仙沼港(1.7㎞)が平成31年度の開通予定であることが発表されました。宮古市や釜石市でも整備が進んでいます。

■復興予算継続が前提

開通時期は、「28年度以降の復興関係予算の継続」を前提にしています。三陸道は復興のリーディングプロジェクトとして国費が進めてきましたが、県負担を復活させる方針が示されています。

整備の遅れを心配する声もありますが、32年度までの「復興・創生期間」までは地元負担率が軽減されるので、裏を返せば、32年度までの集中投資することになります。すると、早ければ32年度、遅くても33年度の全線開通を期待できます。

■残りの区間も33年度まで❔

なお、開通見通しが公表されていない区間のうち、歌津北~本吉(8㎞)、気仙沼港~唐桑南(7.3㎞)の開通時期は、「着手後概ね10年程度を目指すものの、完成に向けた円滑な事業実施環境が整った段階で確定予定」としています。事業着手は23年度ですので、10年後は33年度になります。

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3 Comments

  1. O.M

    先生、おはようございます。
    今からする質問がここに適当かはわかりませんが、失礼ながらさせていただきます。

    先生は、復興費地元負担についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
    宮城県の村井知事は「全額負担がベストだが、国予算編成が本格化する前に条件闘争をして、いい条件を引き出す。入り口論で止まっている暇はない」と、地元負担を前提とした現実論を展開しています。これは岩手、福島の知事とは対照的です。

    宮城県は手早く「基幹的」事業125事業をとりまとめ、とりまとめた結果を国との駆け引きに使うようです。
    気仙沼市が選んだ主な基幹的事業は、
    1、魚町・南町避難路整備事業
    1、追悼記念施設整備事業
    1、大谷海岸防潮堤背後地整備事業となっています。

    このような流れに、宮城県の各被災自治体の反発も少なく、「やむなし」という声が多いようです。気仙沼の菅原市長も同様の思いのようですが、一部負担の範囲が想定外に広かった部分に驚かれているようです。

    厚かましいかもしれませんが、地元負担について深い部分をお聞きしたいので、地元負担に関する流れを列記しました。
    私個人としては、感情的な議論かもしれませんが、阪神淡路大震災よりも手厚い補助を受け、補助が多かった分だけ不法行為も大小限らず多くなっています。その事実を見れば、私は「東北が変わらなければいけない」と感じ、地元負担もやむを得ない、と考えています。
    答えにくい質問で、質問も長くなってしまいましたが、地元負担についての先生自身のお考えをおきかせください。

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  2. 今川 悟 (Post author)

    O.Mさん、結論から言うと、個人的には地元負担は当然だと思います。しかし、被災自治体ができる限り粘って交渉しているのは、将来的な不安があるためですので、そこはご理解ください。

    争点が地元負担になっていますが、ここはちゃんと整理して考えてほしいです。

    本来なら、最初から要綱で27年度までとしていた復興交付金事業計画の期間について、「32年度まで延長する」という発表があるべきでした。そもそも、被災自治体は「27年度が締切なのだから急がなければならない」と市民にも説明してきましたし、それを前提に担当部局も動いてきました。

    復興交付金の延長という明るいニュースの次に、基幹事業以外の地元負担を話し合ってほしかったです。中身は同じでも発表の手順を変えるだけで、被災者が受け取るイメージは変わります。メディアは地元負担の報道ばかりで、首長の「地元負担があれば遅れるかもしれない」「縮小や中止もありえる」という国と交渉するための発言が、仮設住宅で暮らす人たちにどれだけの不安を与えているか、ちゃんと考えなければなりません。

    正直にいうと、被災地にも税金の無駄遣いはあります。復興の混乱期で仕方のなかった面はありますが、被災地以外の地方も苦しい中、いつまでも国費に頼り続けるわけにはいきません。気仙沼市は追悼祈念施設(10億円)まで全額国費負担を求めてしまいましたが、神戸市は市民が募金を集めて追悼施設を整備しました。私も母を失いましたが、犠牲となった市民みんなの慰霊施設は、やはり私たち市民がちゃんと負担すべきと思います。

    被災者への不安という面とは別に、被災地外へのメッセージとしての問題もあります。地元負担を争点にしたまま被災地の反対が続くと、被災地外からは厳しい見方をされてしまいます。広々とした災害公営住宅、100坪の防災集団移転宅地、最新規格の道路、無駄との指摘もある防潮堤などを全額国費で整備するうえ、震災前にはなかった観光施設まで効果促進事業で建設しようとしているのですから、地元負担を求められるのは当然です。対外的には、いままでの支援に感謝する姿勢が第一にしたいのに、被災地が甘えているという印象になっていることは否めません。

    そもそも論になりますが、被災した自治体の多くがもとから財政難に苦しんでいました。そこに復旧・復興事業が入ってきたのですから、元に戻るためには激変緩和措置が必要です。これから復興の仕上げに向かうわけですが、国と地方との話し合いの時間がこの問題にはがり使われるのはもったいないです。もっと別に議論するべきことがあります。

    最後になりますが、本当に大切なのは28-32年度の復興予算枠です。地元負担の大小にかかわらず、予算そのものがなければ意味がありません。地元負担ばかり争点になっていますが、残り5年で必要な費用は被災3県が積み上げた8兆3900億円に対し、国の想定は5兆8000億円でした。地元負担があれば希望する事業をすべて進められるのか、それとも予算内でしか認められないのか、そこがハッキリしないと、地元負担の是非もわからないと思います。
    ※復興予算については、26年5月の復興レポートのテーマにしました。制度の仕組み上、被災地間で予算の奪い合いになり、コスト意識が欠如することが問題になっていました。

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  3. O.M

    先生、いつも丁寧な返信をしていただきありがとうございます。
    私も、国も地方もこの状況はおおよそ想定内にもかかわらず、『入り口論』ばかりに目が行く現状に歯がゆい思いを抱いています。先生のおっしゃる通り、交渉の手口の1つとして理解できますが、一部の自治体やマスメディア(特に地方新聞)は感情論から『入り口論』を展開しています。これでは、「国・東北以外の自治体」と「東北」の意識がますます乖離する状況を生みだすように思います。これは東北の本意ではないでしょう。私の感覚なら、地方自治体は、国の予算配分に応じて、基幹事業+優先順位が高い付随事業(効果促進事業)をボトムアップ式に積み上げ、ここの事業に関してもコストカットをしていくものと考えてきました。しかし、自治体はそういう意識がまだ低いように見えます。マスコミにも問題があるのかもしれません。
    ですから、私は村井知事の現実論に賛同しますし、先生のコメントで出た「28-32年度の復興予算枠」を視野に入れた基幹事業の選定作業をたたき台にした議論を早くすべきだと感じています。
    どちらにしろ、先生のおっしゃる通り一番弱い立場に置かれている被災者の精神的・経済的ケアを現実的にどう達成していくかという方向に、どんな立場の人間も向かってほしいです。

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