気仙沼西高校を圏域防災拠点に【宮城県】

災害時に被災地支援の拠点となる「宮城県広域防災拠点」の基本設計(素案)が公表されました。宮城野原に17haもの運動公園を整備し、普段はサッカーやソフトボールなどに利用し、災害時には自衛隊や消防などの支援部隊、全国から集まる物資の拠点とします。この広域拠点と連携する圏域拠点を気仙沼西高校に指定します。

■支援部隊と物資集配の拠点を

東日本大震災では医療、救助、救急、消火活動、緊急物資の集配など、あらゆる面において県外からの支援に頼りました。しかし、その活動拠点が十分ではなかったため、せっかくの支援を生かしきれませんでした。

もし、もっと備えをしっかりしていれば、救えた命がたくさんあったかもしれないのです。

この教訓をもとに、宮城県は26年2月に広域防災拠点基本構想・計画を策定。さらに基本設計を進め、計画を具体化させました。

■仙台に広域防災拠点【事業費300億円】

公開された基本設計の素案によると、広域拠点は宮城野原の仙台貨物ターミナル駅(楽天KOBOスタジアム宮城の隣り)が移転することを前提に整備します。交通アクセスが良く、自衛隊の駐屯地や災害拠点病院が近くにあるからです。

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17haの運動公園として整備します。事業費は300億円。普段はサッカーやラグビーができる芝生広場は、災害時に消防や警察のベースキャンプに、ソフトボール場は物資の集配拠点になります。車両1000台、人員6000人が一時集結できます。ヘリコプター7機の駐機スペース、防災センターも整備します。32年度の一部開園を目指しています。

宮城県広域防災拠点基本設計_page023宮城県広域防災拠点基本設計_page024■県議会の指摘で「圏域拠点」を追加

基本構想・計画にはなかった「圏域防災拠点」は、県議会からの指摘をもとに選定しました。

宮城野原の予算を承認する際、「市町村と緊密な連携を図りつつ、県民理解のもと事業執行に努めること」を求める意見が附帯されたことで、仙台以外への効果を求めたものとみられます。

この「圏域防災拠点」は、市町村が設置・運営する「地域防災拠点」が被災等で利用できない場合、「広域防災拠点」と連携して圏域内の市町村を支援します。

想定される機能は以下の通りです。

・活動区域の定まった部隊の集結及び拠点機能

・配送区域の定まった物資の集積・配送機能

・人員や物資を搬送するためのヘリコプター離着陸機能

気仙沼・本吉圏域は、気仙沼西高校を圏域防災拠点として気仙沼市と南三陸町をカバーします。気仙沼西高校は30年3月で気仙沼高校へ統合しますが、その統合が選定理由になったかは分かりません。震災時は、警察の支援部隊の拠点になっていました。

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圏域防災拠点の選定基準について、県は1月の総務企画委員会で「既存施設の活用を前提に、地域の配置バランスを考慮した。指定避難所との重複もできるだけ回避し、ヘリの着陸の確保も要件とした」「5haくらいの規模が理想的」と説明しています。

■8圏域の拠点整備費「最大7億円」と試算

県が主体となって開設・運営する圏域防災拠点の詳細は不明ですが、7月21日の県議会総務企画委員会では、県内8カ所の圏域防災拠点の整備費が「最大7億円」と試算していることが明らかにされました。物資を保管する大型で屋根付きの倉庫やベースキャンプ場の確保が必要との見解も示されています。

なお、物資は市町村が運用する「地域防災拠点」へ直接輸送することを基本としています。「圏域防災拠点は」は「地域防災拠点」が機能できない場合に立ち上げることになります。

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■28年度に運営マニュアル作成

27年度は、石巻をモデル地区にして圏域防災拠点の運営マニュアルづくりが行われます。その他の圏域は28年度にマニュアルを作成し、運営資機材を順次整備していきます。

宮城県は、この基本設計に対する意見を募集中です。詳しくは宮城県ホームページにて。9月2日締め切りです。

 

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